
16年ぶりの新作『THE PRELUDE IMPLICIT』が話題をさらっているKANSASですが、その発表直前となる極上グレイテストヒッツ・ライヴが登場です。本作が録音されたのは「2016年8月6日ロサンゼルス公演」。『THE PRELUDE IMPLICIT』リリースの約1ヶ月半前のステージで、まだ新曲ナシ。70年代から80年代初期の大代表曲だけでガッツリと固めたベスト選曲ライヴのオーディエンス・アルバムです。現在、KANSASは新作と名盤『LEFTOVERTURE』40周年をテーマにしたツアーを行っている最中ですが、そんなタイミングでなぜ、通常のベスト選曲ライヴの本作が登場したのか? その答えはクオリティ。よく「まるでサウンドボードのような……」と表現することがありますが、本作の次元はそれどころの話ではなく、「これがサウンドボードじゃない?」「放送なんでしょ?」と疑問符が頭の中を回るようなサウンドなのです。もうこの言葉だけで説明しきったようなものなのですが、その端正・詳細にして図太い楽音、ほとんどない歓声……本当に放送音源のようです。しかし、ヘッドフォンでよくよく耳を澄ますと、確かに本作はオーディエンス。曲間でさえも目立たないような遠く遠くで熱狂する大観衆が確実にいる。これがなんとも良いムードを醸している。現場となったのは、野外公演“パーシング・スクエア”に設営された会場なのですが、恐らくステージから遠く離れたPA塔に向けて真っ直ぐ録音したのでしょう。出音とテーパーの間には何も存在しない直結感がありながら、確実に“その場”を感じさせる空気感もある。野外ならではの開放感というか、暑い8月の夏祭りの気温というか。その空間に、美しいヴァイオリンの調べが踊り、マイクの口元感さえある歌声が広がっては残響ゼロで消えていく。とんでもないダイレクト感と匂い立つ空気感。その双方を極上に押さえた“客席録音の理想”が現出しているのです。そのサウンドで描かれるKANSASのしょうがまた、特級。現在進行中のコンセプチュアルなショウとは違い、ファンが聴きたい曲“だけ”を思う存分、たっぷりと演奏。そのラインナップは大名盤『POINT OF KNOW RETURN』を軸としつつ、1975年『SONG FOR AMERICA』から1983年『DRASTIC MEASURES』限定。その豪華ぶりは“盛り上がる曲ランキング”の上位を全部拾ったというか、それこそファンの人気投票でもやったのか?というほど徹底的ベスト・セットなのです。“良い音”・“良い曲”・“良い演奏”。今週同時リリースされるELOの『RADIO CITY MUSIC HALL 2016 2ND NIGHT(Uxbridge 599)』も3要素の頂点を極める超傑作でしたが、そのKANSAS篇とでも言えそうな1本(もちろん、本作はELOの共通点は“激クオリティ”の1点だけ。何の関係もありません)。KANSASのファンかどうかでさえ、些細な問題。シンプルに“凄い音”・“凄い曲”・“凄い演奏”が詰まった音楽作品に触れたい方全員にお勧めする“音楽アルバム”の大傑作です。現在、始まったばかりの“『LEFTOVERTURE』40周年ツアー”の録音が届くのも楽しみですが、その前に是非とも味わっておきたいライヴアルバム。
Live at Pershing Square, Los Angeles, CA. USA 6th August 2016 ULTIMATE SOUND
Disc 1(50:27)
1. Introduction 2. Point of Know Return 3. Paradox 4. Play the Game Tonight 5. The Wall (Preceded by Manion Keyboard Solo) 6. Reason to Be 7. Dust in the Wind 8. Miracles Out of Nowhere 9. Icarus - Borne on Wings of Steel
Disc 2(42:16)
1. Closet Chronicles 2. Hold On 3. Down the Road 4. Portrait (He Knew) 5. Sparks of the Tempest 6. Fight Fire With Fire 7. Carry On Wayward Son