
着実に終末へと歩んでいく解散ツアー“THE END”。BLACK SABBATHとの最後の対面を記録線がためか、世界中のテーパーが超・極上録音を生み続けていますが、またもや素晴らしいライヴアルバムが誕生しました。最新ライヴなのに、なんともヴィンテージ感覚が漂う不思議な1本、それが本作「2016年8月25日マンスフィールド公演」のオーディエンス・アルバムです。毎度お馴染みですが、最後のツアーだけに日程も噛みしめていきましょう
・2016年1月-3月:北米レッグ#1(18公演)・2016年4月:オセアニアレッグ(7公演)・2016年6月-7月:欧州レッグ(17公演)・2016年8月-9月:北米レッグ#2(19公演)←★今ココ★・2016年11月-12月:北米#3&南米レッグ(10公演)・2017年1月-2月:UKレッグ(9公演《BLACK SABBATH解散》
このように、現在は「北米レッグ#2」の真っ最中。すでに旧作の解説でもお話ししましたが、今回の解散ツアーは極上音源の宝庫。これまでも世界各地から大量の名録音が飛び出してきました。前回の『BRISTOW 2016(Shades 675)』の解説では「北米に戻ってきてから、極上音源の出てくるスピードが鈍ってきた」とお伝えしましたが、その後、やはり盛り返してきた。ブリストルから間も空けないマンスフィールドは更なる傑作となったのです。ここで、日程でも確認してみましょう。
・2016年8月17日ワンタフ公演(北米#2の初日)・2016年8月19日カムデン公演・2016年8月21日ブリストウ公演 『BRISTOW 2016』・2016年8月23日ホルムデル公演・2016年8月25日マンスフィールド公演 【本作】
これが「北米レッグ#2」の冒頭5公演。本作は『BRISTOW 2016』からわずか2公演後となるライヴアルバムなのです。日も近いし、セットも同じなので何も違いはないかというと、そうではない。本作は極上サウンドの上に何とも味わい深いヴィンテージ感覚まで漂わせている傑作なのです。最新録音を「ヴィンテージ」と表現するのは何とも奇妙な話ですが、本作にはそうとでも言うしかない感触が宿っている。何が「ヴィンテージ」かといえば、サウンド。音源異常事態の“THE END”の例に漏れず、本作も「まるでサウンドボード」と呼ぶに相応しい極上サウンドのわけですが、微妙な感触が妙に埃っぽい。カン違いしないでいただきたい。ショボいサウンドを無理やりホメてるわけではないのです。本作の楽音はこれまで同様……いえ、それ以上に骨太で力強い。ダイレクト感も限りなく距離感ゼロですし、ノイズも音割れも一切ありません。まさに最新デジタル器材ならではのビビッド感たっぷりなのです。ただ、感触が「滑らか」ではない。「艶やか」ではない。どこか武骨で不愛想。それが妙に70年代のムードを想い起こさせるのです。繰り返しますが、本作は間違いなく最新録音ですし、クオリティは70年代よりも途方もなく優れています。そうですね、言うなれば「まるで70年代の放送音源」とでも言えばいいでしょうか。真新しくも懐かしい、そんなサウンドなのです。もちろん「70年代みたい」というのは、BLACK SABBATH録音に対してはホメ言葉。とにかく、本作の「Snowblind」を聴いていただきたい。今なお、衰えを知らないトニー・アイオミ、ギーザ―・バトラー両名のサウンドが70年代感覚を取り戻したかのようなサウンドで響き、その感触をアダム・ウェイクマンのメロトロン・サウンドが増幅する。トミー・クルフェトスは決してビル・ワードではありませんが、2012年からサポート4年にもなるせいか(これはデビューからカリフォルニア・ジャムに至るほどの年月です)楽曲への理解度は比類なく、もはや“ビルに次ぐ”次元に到達している。それが70年代ムードさえ漂う極上サウンドでスピーカーから吹き出す。超協力音源ひしめく“THE END”だけに軽々に最高傑作とは言えませんが、その候補にもなりえるし、無二の個性も発散する1本なのです。再び勢いを増してきた“THE END”の音源事情。その盛り返しを象徴するような見事なライヴアルバムです。本当は言うべきではないのかも知れませんが、正直に告白すれば“THE END”はショウ毎に大きな違いがあるわけではありません。アンダーグラウンド・サウンドを愛される方でも、そうそう何作も聴かれる方は限られているでしょう。でも、私たちは誰も聴かないものを意地になって出し続けているわけではありません。こうしてリリースし続けられるのは、世界中の録音家が“俺の理想のサバス・サウンドがコレだ!”と言わんばかりに個性的で強烈な銘品を生み出してくれるから、そしてそんな想いを(無意識下にでも)感じ取って音源を愛されている皆さまがいてくださるからです。そんな方々と共に、最後の“THE END”を併走できる。これがどれほど心強いことか。
Live at Xfinity Center, Mansfield, MA. USA 25th August 2016 TRULY PERFECT SOUND
Disc 1(58:56)
1. Black Sabbath 2. Fairies Wear Boots 3. After Forever 4. Into The Void 5. Snowblind 6. War Pigs 7. Behind The Wall Of Sleep 8. N.I.B.
Disc 2(43:24)
1. Hand Of Doom 2. Rat Salad 3. Iron Man 4. Dirty Women 5. Children Of The Grave 6. Paranoid