
929やデストロイヤーと違ってライブ全体を捉え切った優等生的サウンドボード録音が存在しないことが災いし、一般的なZEPライブ・ファンの間では知名度が低めな一方、ZEPマニアの間では絶大なる人気を誇る73年ヨーロッパ・ツアー。ペイジとボンゾを中心として、文字通り鬼気迫るプレイが繰り広げられた黄金期。当店でもミュンヘン、ハンブルクにオッフェンバッハ、そして近年登場したリヨンといった具合でアイテムをリリースしてまいりましたが、マニアの方から多く寄せられたのが「ウィーンは?」という声でした。先の理由によって驚異的な名演が量産された時期の中においても、極めつけの名演との誉れ高き3月16日のウィーン公演。際立つ演奏の素晴らしさはもちろん、この日は非常に音質の良いオーディエンス録音が存在することで古くからアイテムが生み出されてきたライブでもありました。一聴するとサウンドボード録音ではないのか?と錯覚しそうになるほど驚異的にオンな音像。もちろん73年ヨーロッパ・ツアーにおいては別格のクオリティであり、その音質の良さがこの日の凄まじい演奏を克明に伝えてくれた点も大きかったかと思われます。そんな73年ヨーロッパ・ツアーは「Dazed And Confused」以降から記録されているサウンドボード録音が多く残されているという不思議な現象が起きました。やはりこれは本ツアーにおけるペイジとボンゾの強烈なインタープレイの応酬を記録しようという意思が働いた結果だとしか思えないのですが、以前からマニアの間で評価の高かったこのツアーが、それらのサウンドボード録音の登場によってさらに高まったのは事実でしょう。幸いウィーン公演に関しても「Dazed And~」の途中から録音ボタンが押されたサウンドボード録音が存在します。複数が存在するオーディエンス録音に関しては、LP「WRENCH IN THE WORKS」などでおなじみ「source 1」の音質があまりにも素晴らしい。そうした音質に優れた音源が存在することからサウンドボード録音と「source 1」で構成されたアイテムが多く生み出されることになりました。しかし意外なことに、これまで作られてきたハイブリッドなタイトルは総じて何かしらの欠点があったのです。複数の音源を組み合わせることによって「source 1」とサウンドボードだけでは収録し切れない部分が補われたまではよかったのものの、複数の音源を組み合わせたが故のピッチの狂い、さらに音質を統一すべく施されてしまったイコライズなど、ハイブリッドな内容が故の問題を多く抱えていたのです。さらにはサウンドボード録音パートでの編集が混在するアイテムなどもあったほど。結局のところ、ライブ全体を構成する上で「source 1」とサウンドボードの優位性は揺るぎません。 そうしたハイブリッド・アイテムの中でマニアにもっとも評価が高かったのは、数多く生み出されたアイテムではなく、ネット上でおなじみ「WINSTON REMASTER」だったというのは意外だったかもしれません。その秘訣は先の二大音源のナチュラルな質感を保ちながら組み合わせていた点にあります。ところがベスト・バージョンとの評価が高かった「WINSTON REMASTER」も肝心の「Dazed And Confused」を始めとして、二枚目のディスクに相当するパートにおいては音源によってピッチが違う問題を放置プレイしてしまった大きな欠点があったのです。そして何よりも「WINSTON」バージョンの登場からも相当な時間が経過してしまった(にもかかわらず評価は高いままだった)今回のリリースに当たっては、この問題を徹底的にブラッシュアップ。例の「Dazed And~」で起きたつなぎの粗さなどは「source 2」を被せて徹底的にアジャスト。元の「WINSTON」バージョンを愛聴されてきたマニアの方であれば、もはや別次元と言っていいほどに生まれ変わったリスニング上の安定感に圧倒されること間違いなし!さらに今回のリリースにおいては「WINSTON REMASTER」の補填要員として使用した「source 2」の全長版を三枚目と四枚目のディスクに収録。こちらも1973年のオーディエンス録音としては驚異的にオンな音像を誇りますが、何といってもペイジのギターの音がド迫力のバランスで捉えられたもの。とはいってもリスニング上のバランスが飽和状態となってしまうほどのものではなく、例えば69年ボストン・ティー・パーティーのような爆音ではありません。バランス的にはずっと秀でたものであり、ペイジのギターの迫力に圧倒されつつも、それでいてこの日のZEPの強烈な演奏を楽しめる、非常に魅力的な別録音を最近になって登場したマスターから収録。しかも登場時にこれまた放置されていた高めのピッチをアジャスト。何しろこの日はペイジのギター・プレイがキレまくっていますので、この絶妙な録音バランスも非常に魅力的なものへと響きます。ライブ前半の「Over The Hills And Far Away」、さらに「The Song Remains The Same」辺りは凄まじいの一言。彼のギター・プレイを過小評価する人などには、絶対にこの日を聴いてほしい。確かに75年以降プレイのタッチがが粗くなって行く一方だったのは事実ですが、だからこそ73年ヨーロッパ・ツアーでペイジがみせた閃きは別格。「弾けてる」や「弾きまくり」では生ぬるい。「弾き倒す」ペイジがここにある!もちろん「source 2」にもカット箇所が散在しますので、そこには他の音源を補っています。中でも「Dazed And Confused」では「San Francisco」が始まった瞬間にサウンドボード録音へと切り替わり、「Whole Lotta Love」の17分台後半では一瞬の欠損までもそれで補填してみせた、違和感のまったくないアジャストぶりも聴きどころ。 そしてこの日もう一つの要がペイジと同じように閃きを見せたボンゾのドラミング。このツアーにおいて聴かれた彼のプレイ、それはいつものヘビー・グルーブに輪をかけてスカッとした叩きっぷり。それでいてドカドカとキメまくるのだから愉快なことこの上ない。スローな「Since I've Been Loving You」や「Whole Lotta Love」内の「I Can’t Quit You」パートにおいても、ペイジが弾かないパートを激しく盛り立てるなど、彼との阿吽の呼吸ぶりがとにかく素晴らしい。正に絶頂と呼ぶにふさわしい彼らがこの日の頂点に登り詰めた瞬間、それが「Dazed And Confused」でしょう。ただでさえ名演が量産されたこのツアーの「Dazed And~」でしたが、その頂点と呼ぶべき演奏がここに。前半からしてボンゾのドラミングが冴えまくり、ペイジと二人で驚愕の展開を見せるのですが、頂点は何といっても弓弾きが終わったところ。またしても弾き倒すペイジとボンゾの駆け引きが壮絶で、そこからいつもの展開へと戻る場面のスリリングなこと。もはや匠の技と言っても過言ではない、最高のインタープレイがサウンドボード録音と極上オーディエンス録音の両方で楽しめてしまう、究極の名演73ウィーン究極のタイトルが遂に登場。今回ばかりは絶対にお見逃しなく!
Stadthalle, Vienna, Austria 16th March 1973 Audience Source 1 + 2 / Soundboard
Disc 1 (57:02)
1. Intro.2. Rock And Roll (Aud Source 1) 3. Over The Hills And Far Away (Aud Source 1) 4. Black Dog (Aud Source 1) 5. Misty Mountain Hop (Aud Source 1) 6. Since I've Been Loving You (Aud Source 1) 7. Dancing Days (Aud Source 1) 8. Bron-Yr-Aur Stomp (Aud Source 1)
9. The Song Remains The Same (Aud Source 2) 10. The Rain Song (Aud Source 2)
Disc 2 (73:57)
1. Dazed And Confused (Aud Source 2) & (Aud Source 1 / SBD Matrix) 2. Stairway To Heaven (Aud Source 1 / SBD Matrix) 3. Whole Lotta Love (Aud Source 1) & (Aud Source 1 / SBD Matrix) & (SBD) 4. Heartbreaker (SBD)
Audience Source 2
Disc 3 (57:03)
1. Intro. 2. Rock And Roll 3. Over The Hills And Far Away 4. Black Dog 5. Misty Mountain Hop 6. Since I've Been Loving You 7. Dancing Days 8. Bron-Yr-Aur Stomp 9. The Song Remains The Same 10. The Rain Song
Disc 4 (73:00)
1. Dazed And Confused 2. Stairway To Heaven 3. Whole Lotta Love 4. Heartbreaker