1991年10月10日の大阪公演はMasterportがリリースしていた名盤「Dreams 1991」がリリースされていました。その極上音源を今回リマスター収録にて再リリース。この日の音源は当時ラジオで生中継されたものをエアチェックしたものでしたが、ようやくアップグレード版でのリリースが実現します。リマスターと言っても大元の音源がとてもエアチェックだとは思えないほど完璧なクリアネスを誇る見事な受信状態でリリースされており、今回も音質のイメージを大幅に変えるような手は加えていません。1991年と言えば比較的近年の印象がありますが、それでも今や二十年以上前の放送を録音した音源です。それがここまで鮮度抜群な状態で残されていたのは奇跡だとしか言いようがありません。もちろん生中継時の内容がショウを完全に流したものではなく、終盤が未収録な状態と言う点は今回も変わりません。しかし今回の収録に当たり、バンド・メンバーのソロ・コーナーからマイケル・ブレッカーのサックス・ソロのナレーションが被さるパートをカットしたことからディスク一枚でコンパクトに収まるパッケージが可能となりました。こう言っては何ですが、カット部分もサイモンの楽曲部分に影響する個所ではありません。よってこの編集はむしろ聴きやすく、圧倒的に納得していただける収録状態であるかと思います。そしてこの来日公演は「Graceland」の南アフリカ・サウンドの大成功に次いで、今度は南米ブラジルのミュージシャンと共に録音したアルバム「The Rhythm Of The Saints」を引っ提げてのものでした。サイモンのワールド・ミュージック路線における絶頂期の来日公演、あるいはリリース直前だったライブ・アルバム「Concert In The Park」の構成を踏襲したものでした。そのサウンドもサイモンのソロ・ステージの主軸となった感がありますが、今改めて聴くと全体的にゆったりした演奏が多く、より最近のサイモンのライブ・サウンドよりも穏やかな雰囲気が新鮮に感じられることでしょう。The Boy In The Bubbleなどはこの後のステージで演奏のアレンジがハードに変化して行きましたが、この時点ではそんな気配もなく、やはりゆったりとした演奏がとても新鮮に響き渡ります。さらにこのツアーにおける過去のナンバーの解釈がまた面白く、例えばMe And Julio Down By The School Yardなどは元のバージョンよりも明るい調子で演奏され、何よりもS&GナンバーBridge Over Troubled Waterが途中からレゲエに豹変するところがこの時期のサイモンのサウンド志向を物語っていると言えるでしょう。そしてS&G時代からの日本における絶大な人気を受けてサイモン自身も日本びいきとなり、後に阪神タイガースのファンとなったのは有名な話です。実際にここでもPloofの演奏中にタイガースの帽子が投げ入れられたことに応えてすかさず「Hanshin Tigers people back again」歌って見せた場面は有名ですが、こうして実際に聴いてみると本当に楽しい瞬間であったことが実感できます。その見事なクリアネスを誇る音質だけでなく、このような日本のステージならではの雰囲気までも捉えた名音源のリリースが遂に実現しました!
Live at Castle Hall, Osaka, Japan 10th October 1991 STEREO SBD (79:55)
1. The Obvious Child 2. The Boy In The Bubble 3. She Moves On 4. Kodachrome 5. Born At The Right Time 6. Train In The Distance 7. Me And Julio Down By The Schoolyard 8. I Know What I Know 9. The Cool, Cool River 10. Bridge Over Troubled Water
11. Proof 12. Michael Brecker Saxophone Solo 13. Steve Gadd Drum Solo/Instrumental 14. Cecilia 15. Graceland 16. You Can Call Me Al
Paul Simon - Vocal, Guitar John Selolwane - Guitar Ray Phiri – Guitars Vincent Nguini - Guitar Richard Tee - Piano, Vocals Armand Sabal-Lecco – Bass Steve Gadd - Drums Cyro Baptista - Percussion Dom Chacal - Percussion Mingo Araujo - Percussion
Sidinho Moreira - Percussion Tony Cedras - Accordeon, Keyboard, Guitars Chris Botti - Trumpet Michael Brecker - Saxophone, EWI Reginald 'Briz' Brisbon - Background Vocals The Waters - Background Vocals Barney Rachabane - Saxophone, Pennywhistle
STEREO SOUNDBOARD RECORDING