
「ウドは漢でしたよ」……そんな言葉を添えて送られてきた大傑作ライヴアルバムが登場です。本作の主役は、誰あろうジャーマン・メタルの創始者、ウド・ダークシュナイダー。本業U.D.O.でも変わらぬ金属魂を貫く大御所ですが、今回はACCEPTの名曲だけを演奏するプロジェクト“DIRKSCHNEIDER”名義。「このツアーを最後に二度とACCEPTの曲は歌わない」の宣言と共に果たした来日公演なのです。本作は、そんな記念碑ツアーを極上サウンドで描ききったオーディエンス・アルバムです。今回の来日は、全3公演。まずは、その概要から見てみましょう。
・5月11日:大阪・梅田CLUB QUATTRO 【本作】・5月12日:名古屋・ボトムライン・5月13日:東京・品川プリンス・ステラボール
このように、3日連続公演となりましたが、本作が録音されたのは初日「5月11日:梅田CLUB QUATTRO」でした。記録したのは、金属録音で右に出る者はない日本が誇る名匠“西日本最強テーパー”氏。大阪・名古屋を中心に活動する名録音家で、魂からヘヴィメタルを愛する方。昨今はIRON MAIDENやAVANTASIA、STRYPERと東京録音にも果敢に挑戦されるようになりましたが、DIRKSCHNEIDERは意義が意義だけに、31年前に名盤『STAYING A LIFE』を生み出した地を選択されたそうです。そんな意義に加え、大阪公演を選んだもう1つの理由はサウンド。あだ名の通り、西日本のあらゆるライヴスペースのスウィート・スポットを熟知されていることもあり、梅田CLUB QUATTROは彼の庭。さらに今回は、新機材も導入されたそうで、“ウド最後のACCEPT”を鉄壁の体制で録音しにかかったのです。万全の意気込みを証明しているのが、本作のサウンド。常々サウンドボードにしか聞こえないド直近サウンドをモノにし、「会場で実際に聴いた音よりも良いってどういうこと!?」との絶賛を集める氏ですが、その彼のコレクションでもズバ抜けた絶品サウンド。卓直結サウンドボードのごとき極上ぶりがいつもに増して凄まじく、もはや脳内再生レベルの苛烈さ。実際、ギターのピッキングからチョーキングのニュアンス、ハイハットのちょっとした1打、ベースのゴリゴリ感に至るまで、どの1音を取っても豊かで繊細で艶やか。録音ポジションは「内緒(笑)」の一言でかわされてしまいましたが、猛烈な楽音が轟く中、狭いライヴハウス一杯に充満する大合唱さえ遠いという不思議な音像なのです。そのサウンドで刻まれた“ウド最後のACCEPT”の素晴らしいこと……。『STAYING A LIFE』の縁から大阪を選んだわけですが、その歌声は、かの大名作ライヴアルバムとまったく変わっていない。実際、本作には『STAYING A LIFE』収録曲の大半が演奏されている(「Neon Nights」「Love Child」「Dogs on Leads」はなし)わけですが、31年の時間などなかったかのように遜色がありません。しかも、『STAYING A LIFE』にはない「Starlight」や「Midnight Mover」「Losers And Winners」「I’m A Rebel」、さらには当時はリリースされていなかった『RUSSIAN ROULETTE』の「Monsterman」「T.V. War」といった名曲群もたっぷり。さらには、現在の本家ACCEPTですら望めない「Winterdreams」「Midnight Highway」まで聴けるのです。マーク・トーニロを迎えて第2の黄金期を謳歌している本家ACCEPTも素晴らしいものではありましたが、やはりこの声。似ているではなく、唯一無二の当人だからこそ“本物の説得力”に溢れているのです。もちろん、バックの演奏陣も素晴らしい。さすがに低音コーラスに本家ほどの厚みはありませんが、現行U.D.O.そのものだけにタイトな演奏力もコンビネーションもばっちり。ツイン・ギターは伝統を重んじながら現代的でフラッシーな個性をまぶし、見た目も御大ウドにそっくりな息子スヴェン・ダークシュナイダーのドラミングもタイトなグルーヴを叩き出しています。今回をもって、ACCEPTの名曲を封印してしまうウド。もう、本物の声で名曲群を聴く機会はない………そんな感傷も沸々と沸いてしまう。ところが、ここにいる御大は惜別の挨拶などなく、ただひたすら名曲を歌い、吠え、歌わせる。正直に告白すると、特別なツアーにも関わらず、現行U.D.O.のメンバーを引き連れたコンセプトに“お手軽感”も感じました。集客の口実であろう、と。しかし、そうではなかった。その演奏にも歌にも“本気の鋼鉄魂”が溢れていて、齢64歳にして新たな門出に立つ生き様を見せつけた。この大傑作をモノにした“最強”氏も、それを現場で身に染みたからこそ「ウドは漢でした」と語っていたのです。IRON MAIDENはおろか、JUDAS PRIESTさえも存在しなかった1968年、BLACK SABBATHと同じ年にACCEPTを結成し、48年間にわたって“ドイツ産ヘヴィメタル”の魂を歌い続けてきたウド・ダークシュナイダー。その彼が人生の岐路に立ち、男気溢れるヘヴィメタルを吠えた。その刹那を名録音家が尽きぬメタル愛で記録しきったライヴアルバムの銘品です。公式/非公式の別に関係なく、“本生重金属”の光沢輝く大傑作。漢の生き様、どうぞ刮目してお聴きください。
Live at Umeda Club Quattro, Osaka, Japan 11th May 2016 ULTIMATE SOUND(from Original Masters)
Disc 1(57:36)
1. Just a Gigolo (Intro) 2. Starlight 3. Living For Tonite 4. Flash Rockin' Man 5. London Leatherboys 6. Midnight Mover 7. Breaker 8. Head Over Heels 9. Princess of the Dawn 10. Winterdreams 11. Restless and Wild 12. Son of a Bitch
Disc 2(62:37)
1. Up to the Limit 2. Midnight Highway 3. Screaming for a Love-Bite 4. Monsterman 5. T.V. War 6. Losers And Winners 7. Metal Heart 8. I'm A Rebel 9. Fast As A Shark 10. Balls To The Wall 11. Burning 12. My Way (Outro)
Udo Dirkschneider - Vocal Andrey Smirnov - Guitar Kasperi Heikkinen – Guitar Fitty Wienhold - Bass Sven Dirkschneider - Drums