
ベルリン時代の盟友ブライアン・イーノと創り上げた『1.OUTSIDE』。その快作を引っさげ、13年ぶりに武道館へ戻ってきた1996年のボウイをオリジナル・マスターで綴ったライヴセットが登場です。本作が録音されたのは、6度目の来日公演より「1996年6月4日・5日:日本武道館公演」。2日連続公演のうち、初日をディスク1・2に、2日目をディスク3・4に配したオーディエンス録音です。その中身に迫る前に、まずは“OUTSIDE JAPAN TOUR 1996”の全体像から確認してみましょう。
・6月4日:日本武道館 【本作ディスク1・2】・6月5日:日本武道館 【本作ディスク3・4】・6月7日:名古屋センチュリーホール・6月8日:広島厚生年金会館・6月10日:大阪城ホール・6月11日:九州厚生年金会館・6月13日:福岡サンパレス
このように、1996年のジャパンツアーは全7公演。本作は、その1・2日目でした。そんな武道館2DAYSを収めた本作の要は、素晴らしいクオリティ。かねてよりいくつかの既発が登場している武道館ライヴではありますが、本作は日本を代表する名録音家の手によるもの。主に70年代後期から80年代にかけての名作で知られる方で、90年代に入ると作品数が減るものの、その腕はずっと冴え渡っていた。本作は、そんな名人が武道館2日間を丸ごと捉えた逸品録音なのです。しかも、本作は録音家本人から直接譲られたマスターをダイレクトに使用。1996年の日本公演を聴くには、“これ以上はない”ライヴセットなのです。実際、本作から流れ出るサウンドは、オリジナル・マスターだからこその鮮度が瑞々しい。「まるでサウンドボード」と呼ぶにはわずかな距離感もありますが、だからこその空間感覚が素晴らしい。具体的な録音ポジションは伝わっていないものの、既発を一蹴するクリアさを誇りつつ、独特な八角形空間も体感できる。現場の観客が大いに熱狂しているのも伝わりますが、それが妙に遠くて演奏や歌声が遙かに力強く捉えられているのです。同一録音家の作品だけに両日とも基本は統一ですが、特に素晴らしいのは2日目。先ほど「サウンドボードと呼ぶには距離感が……」と書きましたが、楽音・歌声そのものの艶やかさ、クリアさはサウンドボードに引けを取らない。その上で、武道館音響が美しさを引き上げているのです。そんなサウンドで描かれる武道館ライヴは、他のどの来日公演とも違う『1.OUTSIDE』の世界。ポップ色が大きく後退し、猟奇趣味的な新作コンセプトを前面に押し出したショウは、今の耳にも鮮烈。しかも、この両日は“OUTSIDE TOUR 1995-1996”全体で見ても、気迫のこもった素晴らしいパフォーマンスなのです。その秘密は日程。先ほども「日本公演の初日・2日目」とご紹介しましたが、実はワールドツアー再開の初日・2日目でもあるのです。ここでちょっと“OUTSIDE TOUR 1995-1996”の全体像を見てみましょう。
・1995年9月14日-10月31日:北米ツアー(27公演)・1995年11月14日-1996年2月20日:欧州ツアー#1(40公演)《3ヶ月半後》・1996年6月4日-13日:日本ツアー(7公演)・1996年6月15日-7月21日::欧州ツアー#2(20公演)
このように、“OUTSIDE TOUR”は前半67公演+後半27公演で構成されていました。本作は、そのツアー第2部のキックオフ公演。それだけに、本作に詰まったライヴは心身共にコンディション万全。その上、ツアー第1部に参加していた盟友カルロス・アロマーやピーター・シュヴァルツ、ジョージ・シムスが抜け、バンドは8人から5人へシェイプアップ。世界を巡って互いの呼吸を掴みながら、新しいアンサンブルに挑戦するフレッシュさも満点。責任の増したリーヴス・ガブレルスやマイク・ガーソンの奮起はもちろん、彼らを支えるようなボウイの歌声も熱いのです。その新しい風は、2日間で変化するセットリストからも感じられる。特に初日は曲数が多く、「I Have Not Been To Oxford Town」「Baby Universal」「Teenage Wildlife」が聴ける。いずれもこの時期ならではの曲ですが、特にレアなのはTIN MACHINEの「Baby Universal」。一般的に正当な評価が得られず、ボウイの歴史でも影の薄いTIN MACHINEですが、彼自身は後悔するどころか、こうして解散後もこだわりを持っていた。それが透ける熱演が聴けるのです。さらにこの初日は、TIN MACHINEにも参加していたリーヴス・ガブレルスの誕生日でもあった。本作でもアンコール後にくだけたバースデイソングも聴けますが、「Baby Universal」も彼へのプレゼントだったのかも知れません。代わっての2日目は、曲数こそ初日に及ばないものの、アンコールの冒頭にアカペラで歌い始める「My Death」も美味しい。“OUTSIDE TOUR”では時たま歌ってきたジャック・ブレルのカバーですが、それが1973年以来の復活。ジギー・スターダスト時代を想い出されるひとときなのです。さらに、本作最後の「All The Young Dudes」には、ちょっとしたゲストも顔を出します。1990年の東京ドーム、1992年のTIN MACHINEを経て、“SERIOUS MOONLIGHT TOUR 1983”以来13年ぶりに戻ってきた“BOWIE AT BUDOKAN”。その全貌を、名録音家のオリジナル・マスターで描いた史上最高クオリティの4枚組です。新たな世界、新たな編成を携え、常に前に進んでいた20年前のボウイ。彼の姿が鮮烈に蘇るライヴアルバムの大傑作。どうぞ、心ゆくまま存分にお楽しみください。
Budokan, Tokyo, Japan 4th & 5th June 1996 TRULY AMAZING/PERFECT SOUND(from Original Masters)
Live at Budokan, Tokyo, Japan 4th June 1996
Disc 1 (65:46)
01. Intro 02. The Motel 03. Look Back In Anger 04. The Hearts Filthy Lesson 05. Scary Monsters (And Super Creeps) 06. I Have Not Been To Oxford Town 07. Baby Universal 08. Outside 09. Aladdin Sane 10. Andy Warhol 11. The Voyeur Of Utter Destruction (As Beauty)
12. The Man Who Sold The World 13. A Small Plot Of Land 14. Strangers When We Meet
Disc 2 (61:46)
01. Diamond Dogs 02. Hallo Spaceboy 03. Breaking Glass 04. We Prick You 05. Jump They Say 06. Member Introductions 07. Lust For Life 08. Teenage Wildlife 09. Under Pressure 10. "Heroes" 11. Happy Birthday 12. White Light White Heat 13. Moonage Daydream 14. All The Young Dudes
Live at Budokan, Tokyo, Japan 5th June 1996
Disc 3 (59:11)
01. Intro 02. The Motel 03. Look Back In Anger 04. The Hearts Filthy Lesson 05. Scary Monsters (And Super Creeps) 06. Outside 07. Aladdin Sane 08. Andy Warhol 09. The Voyeur Of Utter Destruction (As Beauty) 10. The Man Who Sold The World 11. A Small Plot Of Land 12. Strangers When We Meet
Disc 4 (63:03)
01. Diamond Dogs 02. Hallo Spaceboy 03. Breaking Glass 04. We Prick You 05. Jump They Say 06. Lust For Life 07. Under Pressure 08. "Heroes" 09. My Death 10. Member Introductions 11. White Light White Heat 12. Moonage Daydream 13. All The Young Dudes
David Bowie – vocals Reeves Gabrels – guitar Gail Ann Dorsey - bass, vocals Zack Alford – drums Mike Garson – piano