
これまで当店がリリースしてきた1972年のレッド・ツェッペリン来日公演タイトルによって、二度目の来日公演は初来日より劣るのではなく、ZEPの音楽性が根本的に変わり始めた時期であったことを痛感してもらえたのではないでしょうか。ライブの序盤でプラントの声が出ない…程度に決めつけてかかると、まだまだ若さを保ったZEP最後の時期の躍動を聞きのがしてしまうことになる。そんな中でも一番見過ごされているのが72年の来日で最終日のライブとなった京都公演であるように思えてなりません。夏のアメリカ・ツアー・終了後、最初のライブ活動だった東京二回の公演で調子を取り戻したZEPですが、続く大阪二回の公演において、素晴らしい演奏を披露しています。特に大阪二日目のライブはアンコールで「Stand By My」を披露するほどの余裕を見せつけてくれたZEPですが、今回リリースされる京都公演が翌日のライブだったにもかかわらず、それまでより短めに切り上げてしまったことがマイナスに働いてしまい、二度目の来日公演の中でも特に印象が薄い日だと決めつけられた感がありました。他に京都公演が見過ごされた原因としては、この日のアイテムがあまり存在しなかったことも挙げられます。特に武道館初日や大阪二日目と比べれば雲泥の差。果たして72年の京都公演がそれほどまでに印象が薄い、あるいは精彩を欠いたライブだったのでしょうか?いいえ、それは違います。確かに演奏時間は短く、当時の新曲「Dancing Daysとアコースティック・コーナーと呼ぶべき「Bron-Yr-Aur Stomp」がカットされてしまった点は大きなマイナス・ポイントでしょう。これは明らかにZEP側が「今日は短く済ませよう」という意思が働いたことの証拠です。しかし今回のリリースで実際の演奏を聴いてみてください、オープニングの「Rock And Roll」で聴かせるプラントの声など、72年来日公演のどの日よりもしっかりと歌えているではないですか。さすがに武道館からライブを続けてきただけのことはあります。ZEPの場合は間を置いたツアー日程よりも、続けて行われたスケジュールの時の方がエンジン全開になりやすいということはマニアなら常識ではありますが、この日が正にそれに該当する調子の良さ。中でもプラントはそれが際立っています。むしろペイジの方が「Misty Mountain Hop」で乱調気味なフレーズを弾いてしまったくらい。しかし彼が乱れようとも、一切揺るぎない好調ぶりを見せつけてくれたのがリズム隊。中でもボンゾはオープニングからトップ・コンディションで相当にアッパーな状態であることが伺えます。この爆裂ドラミングですが、やはりまだまだ若々しいグルーブ感の中で編み出されている点が72年らしいところ。73年ヨーロッパの超弩級ドラミングとはまた違った魅力にノックアウトされてしまう。前半はプレイのムラが見え隠れしていたペイジも新曲コーナーになると一気に気合が入ってしまうから解りやすい(笑)。そう、この日は「The Campaign」と紹介された「The Song Remains The Same」になると、正に閃きに溢れたフレーズが続出。この滑らかさも72年という枠内ならではのスピーディなプレイに舌を巻くばかり。それが「Dazed And Confused」になると、奔放という言葉がぴったりと当てはまるプレイまで聴かせてくれるほど。むしろ短いライブにするつもりでステージに上がったことが吉と出たのでしょう、オープニングから若々しい勢いを感じさせるZEPはライブ終盤でこの日の名演を矢継ぎ早に生み出してくれます。まずは「Stairway To Heaven」。残念ながら現存する二種類のオーディエンス録音はどちらもこの曲でカットや回転ムラが生じており、両方を合わせても完全収録と安定した状態の実現は不可能です。もちろん今回も二つのソースを合わせた最長編集ではありますが、何しろ演奏が素晴らしいだけに、この状態は惜しまれます。それでも聴くに値する演奏であり、終盤におけるペイジの自由な弾きまくり感、それ以上に若さを保ったプラントのスクリームがスタジオ・バージョン寄りの雰囲気で歌われた最後のライブ・バージョンであることを考えると、もはや歴史的名演の域でしょう。それ以上に歴史的名演、それでいてある種のフィナーレとなってしまったのが「Over The Hills And Far Away」。そもそもライブの後半で演奏されたということ自体が、新曲扱いであるこの時期においても非常にレアな場面なのですが、それ以上にレアで感動的なのがプラントの歌声。彼の喉がエンジン全開であるライブの後半に演奏されたことが功を奏し、プラントがこの曲をスタジオ・バージョンの旋律で歌い切れた最後のライブ・バージョンとなっているのです!武道館から大阪二日目まで、既に72年の来日公演において、彼がこの曲を元の旋律で歌おうとして玉砕してしまう場面が連日捉えられています。ところがこの日に限って、この位置に演奏されたおかげでプラントがあの高いメロディ・ラインを歌い切って見せた場面、そのフィナーレが京都だったという事実は、日本のZEPファンにとってあまりに大きな事実。終盤の「Whole Lotta Love」における躍動感あふれる演奏や展開がまた素晴らしい!イントロを弾き始める前から、ペイジとボンゾがハードな雰囲気のアドリブ・フレーズで会場の雰囲気を盛り上げ、前の曲に続いて絶好調なプラントが、それこそ72年夏のアメリカばりに自由なメドレー展開でスクリーム。やはりこれだけZEPのライブ音源が出揃った上で時間が経過した今、72年来日公演で漂う若々しいZEPのグルーブ感は最高です。1973年から始まる円熟とスタジアムの日々が迫りつつあったこの時期でも、ZEPが京都の小さなホールで「Over The Hills And Far Away」のような名演を披露していたことには驚きを禁じえません。そして嬉しいことに、そんな貴重な京都公演が非常に良好なオーディエンス録音で残されているのです。例の「Stairway To Heaven」トラブルはいかんともしがたいものがありますが、驚くほど見事な録音状態は大阪二日間とはまた違ったオンな音像、何よりも小さな会場の臨場感をキャッチしてくれた優秀なもの。さすがに武道館初日の域にまでは及ばないのですが、それでも上質な録音であることに疑いの余地はありません。にもかかわらず、今から二十年近く前にリリースされた「MIRAGE」はベスト・タイトルとの評価を受けたものの、当時の風潮を反映したイコライズが施された状態であり、この音源のよりナチュラルな状態での収録がZEPマニアの間で渇望されていたものです。今回、上位マスターの入手によって、二種類存在する京都音源のベスト・ソースとの誉れ高き、この音源のナチュラルさを生かした状態でのリリースが実現しました。ライブ後半で際立つZEPのスパークした名演を、ようやく原音に忠実な状態で楽しめるのです。実は72年の京都が名演だった…そう再確認出来る日が遂にやって来たのです!
Live at Kyoto Kaikan, Kyoto, Japan 10th October 1972
Disc 1 (56:10)
01. Intro 02. Rock And Roll 03. Black Dog 04. Misty Mountain Hop 05. Since I've Been Loving You 06. The Song Remains The Same 07. The Rain Song 08. Dazed And Confused
Disc 2 (40:46)
01. Stairway To Heaven 02. Over The Hills And Far Away 03. Whole Lotta Love 04. Immigrant Song