ピーター・ガブリエル時代のベストライヴとなった2CD「DEFINITIVE MONTREAL 1974」。この超傑作の大元となったのは、1974年に放送されたラジオ“CHOM-FM”でした。しかし、この番組は、GENESISのライヴだけでなく、ライヴ本編の前にガブリエルのインタビューとピーター・ハミルのライヴも放送しました。本作は、その本編前を収録したラジオ・アルバムです。冒頭部分とは言え、その長さは73分に及ぶ長大なもの。まず第一部はガブリエルのインタビュー・パート。電話を交えたインタビューが2つに分けて約25分ありますが、聞きものはむしろ間に挟まる1972年のBBCセッション「Twilight Alehouse」「Return Of The Giant Hogweed」。数あるBBCセッションの中でも本編ライヴで演奏されなかった曲を選んだと思われますが、これまたオフィシャル級の凄まじいサウンド。特にシングル「I KNOW WHAT I LIKE (IN YOUR WARDROBE)」のB面曲だった「Twilight Alehouse」のスタジオライヴは非常に貴重です。そのガブリエルに紹介されて始まるのが、もう“ひとりのピーター”、ハミルのパフォーマンス。これこそが、本作最大の魅力です。当時のハミルはVAN DER GRAAF GENERATOR解散から2年が経っており、4thソロアルバム「IN CAMERA」を完成させたばかり(リリースはこの3ヶ月後)。このライヴは約30分で6曲が収録され、アコースティックギター1本の弾き語りスタイル。本編プレス2CDほどのクオリティとは言えないものの、貴重なソロパフォーマンスが放送音源で聴けるわけです。アコギ1本の弾き語りということもあり、ガブリエルと並び称される演劇的なヴォーカルが鮮烈で、まさに“耳元”でハミルが囁き、吠えるFM録音なのです。英国きっての演劇ヴォーカルで名を馳せたピーター・ガブリエルとピーター・ハミル。その両雄の歌声が1974年という同じ時代、同じ番組で流れた。この鮮烈な時代感覚を最高のサウンドで記録した1本です。VAN DER GRAAF GENERATORもお好きなプログレ・ファンの方はもちろんのこと、GENESISやガブリエル個人のファンの方にも、ぜひ“もうひとりの傑人”を聴いていただきたい。それほど珠玉の歌声が詰まった絶品ライヴです。本編と合わせて番組の完全形が聴けると言うだけでなく、プログレッシヴ・ロック史に輝く、“2人のピーター”が気を吐いていた1974年の空気を発散するラジオ・アルバム。ぜひこの機会にお試しください。
University Sports Arena, Montreal, Canada 21st April 1974 CHOM FM Broadcast (73:05)
Peter Gabriel
1. Peter Gabriel on air interview pt 1 2. Twilight Alehouse (BBC Live 25th September 1972) 3. Peter Gabriel on air interview pt 2 4. Return Of The Giant Hogweed (BBC Live 2nd March 1972)
Peter Hammill (Support Set)
5. Introduction by Peter Gabriel 6. Solitude 7. Time For A Change 8. The Birds 9. Out Of My Book 10. Slender Threads 11. German Overalls