
1992年、やけに熱かった秋の夜を覚えている方も多いのではないでしょうか。そう、20年ぶりにELPが日本に戻ってきた、あのツアーが今週蘇ります! 本作は、ELP再来日ツアーの中でも、渋谷公会堂2公演を極上サウンドで収録した4枚組アルバム。10年ほど前に「REACH HIGH NOON」としてリリースされたマスターを、オリジナル・カセットから再度デジタル化、現在リマスターでトリートメントして仕上げました!そのサウンドはまさに完璧。デジタルが当たり前となって久しい現代録音と比べても半歩も引かず、クリア極まる直球の楽音に、じんわりと深みを纏っていくような響き。絶品です。大好評により追加に次ぐ追加を重ね、全8公演となったジャパンツアーでしたが、本作こそがその頂点に間違いありません。ツアー頂点なのは、サウンドだけではありません。これまた秋雨のようにクリアに降り注ぐ歓声も素晴らしい。なにしろ、20年ぶりの来日です。そこには、1972年の後楽園を体験した人も、できなかった人も、その後にELPに目覚めた人も、みんながいた。青春の思い出が、夢への憧れが、そしてEL&POWELLで来てくれなかった恨みが(笑)、渋公の空間に圧縮されているのです。オープニングの「Karm Evil 9」を迎える歓声から「ついに!」の思いの丈が爆発しますが、大騒ぎでめちゃくちゃ……とはならない。演奏が始まるや、3人の一挙手一投足を見逃すまい、一声を、一音を聞き逃すまいという緊張感がみなぎる。初来日の熱狂は、巨大なスタジアムをアイドル人気ばりの狂乱でしたが、20年後の熱狂は音楽と想いに溢れかえった集中力なのです。しかも、この渋公は追加公演ではなく、最初に公表された日程。つまり、この日は、再来日を心の底から願い続けたファンが一斉に飛びつきチケット争奪戦となった日。会場には、それに勝ち抜いた猛者が集っていたわけです。もっとも熱いの想いが渦巻く、狭い渋公の空間。まさに「ナンバー1のLive in Japan」と言っても過言ではありません!その想いが目頭に熱く染みるのも、リアルなオーディエンス録音ならでは。例えば、曲の冒頭で沸騰する大歓声がスッと引き、曲の展開で再びどよめくまで、会場に響くのは3人の音楽だけ。その間、観客は物音ひとつ立てない。その無音の中にじっと集中する緊張感が聞こえてくるのです。「Close To Home」や「Creole Dance」で最後の一音を確かめると、一気に弾けだす拍手と歓声。仮に、この日のサウンドボードが発掘されたとしても、この“熱い静寂”は捕らえきれていないことでしょう。“熱い静寂”に応える3人の熱演は、まさに再結成ELPでも最高のライヴ。この時、キースは47歳、グレッグは44歳、カールも42歳になったばかり。アイドルのような若々しさこそありませんが、音楽家としてはたっぷりと脂が乗っている。アルバム「BLACK MOON」ではグレッグの太い声に違和感も覚えましたが、ライヴでは太さが深み、説得力に転化されている。「From The Beginning」「Still You Turn Me On」「Lucky Man」の3連発で聴かせるディープ・ヴォイスの旨みは、今だからこそ一層胸に迫ります。それにしても、1曲ごとに驚喜し、「Honky Tonk Train Blues」ではビシッとそろった手拍子でリズム隊と化す観客。本当にあの時の気持ち、痛いほどリアルに蘇ります。18日、19日ともに同テーパーによる美麗サウンドで、統一感たっぷりながら、それぞれの味わいもしっかりとある。特に大きいのは「Tarkus」。18日には終盤でリボンコントローラーを持ったキースが客席に飛び込んで客席は騒然。代わって19日は、グレッグのベースのチューニングの問題で「Eruption」の途中で演奏がストップ。再び最初からやり直す有名なアクシデントが発生する。そのどちらもウルトラ・クリアに聴けるのです。そして、ショウのクライマックスは、たっぷりと大作&メドレーを3連発で畳みかける終盤に訪れます。特に約23分の「Pictures At An Exhibition」は、あの光景が眼前に蘇る傑作テイク。「エンジョイシテイマスーカ!」のかけ声(18日)で始まり、いたずらっぽくブレイクを入れ、キラキラとしたシンセサイザーが降り注ぎ、オーケストラヒットが妙に新鮮で、ドラムソロに繋がっていく……あぁ、そうだった。こうだったよ! 観客の押さえきれない想いと一体となって迎える大団円の感動。そして、整然としながらも鳴り止まぬ拍手を切り裂くファンファーレ!! まったく、とっくに熱くなった目頭から汗がこぼれちまいますよ……。時代の狂乱をパックした1972年初来日のタイトル群も素晴らしかったですが、心を鷲づかみにしてグラグラと揺さぶってくるのは、間違いなく本作。あの日、あの場にいた方はもちろん、他の会場でご覧になった方も、後から切歯扼腕した方にも、観客の想いがこれほど熱く伝わるライヴ・アルバムはそうありません。ディスク2の最後、ひとりの観客が「楽しませてもらったよ!」と叫ぶ。
Live at Shibuya Kokaido, Tokyo, Japan 18th & 19th September 1992 PERFECT/TRULY PERFECT SOUND(from Original Masters)
Live at Shibuya Kokaido, Tokyo, Japan 18th September 1992
Disc 1(55:22)
1. Karn Evil 9 2. Tarkus 3. Knife Edge 4. Paper Blood 5. Black Moon 6. Close To Home 7. Creole Dance 8. From The Beginning 9. Still You Turn Me On 10. Lucky Man 11. Honky Tonk Train Blues 12. Romeo And Juliet
Disc 2(52:16)
1. Pirates 2. Promenade 3. The Gnome 4. Promenade 5. The Hut Of Baba Yaga 6. Carl Palmer Drum Solo 7. The Hut Of Baba Yaga 8. The Great Gates Of Kiev 9. Fanfare For The Common Man/America/Rondo 10. Finale
Live at Shibuya Kokaido, Tokyo, Japan 19th September 1992
Disc 3(58:16)
1. Karn Evil 9 2. Tarkus (Breakdown) 3. Tuning 4. Tarkus (Re-start) 5. Knife Edge 6. Paper Blood 7. Black Moon 8. Close To Home 9. Creole Dance 10. From The Beginning 11. Still You Turn Me On 12. Lucky Man 13. Honky Tonk Train Blues 14. Romeo And Juliet
Disc 4(52:36)
1. Pirates 2. Promenade 3. The Gnome 4. Promenade 5. The Hut Of Baba Yaga 6. Carl Palmer Drum Solo 7. The Hut Of Baba Yaga 8. The Great Gates Of Kiev 9. Fanfare For The Common Man/America/Rondo 10. Finale