
仙台から福岡まで、列島を駆け巡る最新ツアーが話題沸騰中のTOTO。その最新ライヴ・イン・ジャパンが登場です。約2年ぶりの再来日にはあまり久々という感じではありませんが、今回は今までとは違う。昨年のマイク・ポーカロ逝去を乗り越え、再結成後の初アルバム『TOTO XIV』を引っさげてのジャパン・ツアーなのです。気になるショウの内容……の前に、まずは日程を確認してみましょう。
・3月3日:仙台サンプラザホール ・3月4日:パシフィコ横浜 【本作】 ・3月7日:日本武道館 ・3月9日:Zepp FUKUOKA ・3月10日:広島上野学園ホール ・3月12日:大阪あましんアルカイックホール ・3月14日:大阪フェスティバルホール ・3月15日:名古屋市公会堂
このように、今回のジャパン・ツアーは大阪の追加公演を含めて全8回。そのうち、本作はジャパン・ツアー2日目となる「2016年3月4日・パシフィコ横浜」公演のオーディエンス・アルバムです。録音したのは、東京・横浜を中心に活動しているテーパーで、今までも当店にいくつもの録音を提供してくださっている名手。今回、彼は“パシフィコ横浜”と“日本武道館”の2公演を録音しており、“パシフィコ横浜”録音が本作、“日本武道館”録音は「LIVE AT BUDOKAN 2016」としてご紹介することになりました。いつも名録音を提供してくださる名手だけに、さぞや素晴らしいサウンドだろうと再生してみると、いつも以上に凄い。言わば「まるでサウンドボード」というタイプの録音で、太い芯とクリア極まる輪郭の楽音がやたらめったら美しい。近年のデジタル録音は、美しくて当たり前なほどに進化していますが、その基準を持ってしてもそうそうないレベル。特に強烈なのは、重点音の豊かさ。ぶっといベース・サウンドがパシフィコ横浜の壁を、床を、そして空気を震わせているのが分かる。コンサート現場で大音量の低音に風圧を感じたことのある方もいらっしゃると思いますが、まさにあの感覚がスピーカーから押し寄せる。ヘッドフォンで聴こうものなら、耳の中に風圧を感じるほどなのです。しかも、その低音ヴァイヴが艶やか。太く大きくても耳障りどころか、滑らかな感触が快感。何の意味はなくても、ビロードや猫の背中をなで続けたくなるように、いつまでも聴いていたいほど耳に心地よい肌触りなのです。古今を問わず、低音は客席録音の永遠の課題だと思っていましたが、まさかここまで見事に捉えきるとは……。あまりに見事な低音に筆が進んでしまいましたが、もちろん重低音に埋め尽くされたサウンドなどではありません。もし、そうならプレス化などしない。素晴らしく豊かな低音であっても、あくまでアンサンブルを支える一要素でしかなく、上物たちとのバランスも端正に録音されているのです。どうやらスピーカー前の10列目前後から録られたようなのですが、出音をダイレクトに拾った激近感、大歓声が背後に広がる立体感は実に実に素晴らしい。シンセやコーラスが親しげながらも重厚な音世界を描きつつ、ビシッと揃った手拍子を背中に背負っているかのようなスペクタクル。まさに最新機材ならでは、オーディエンス録音ならでは、そして名手テーパーならではの業物なのです。そんなサウンドで描かれる最新TOTOは、現役感あふれるライヴとなりました。デビュー作「TOTO」から80年代の名曲群を散りばめつつ(90年代の曲は「On the Run」「The Road Goes On」のみ)、ショウの軸は9年ぶりの新作『TOTO XIV』の新曲。オープニングの「Running Out Of Time」をはじめ、シングルにもなった「Orphan」「Holy War」「Burn」、さらには日本盤ボーナストラックの「Bend」まで。新曲の半分6曲が演奏されたのです。さらに今回はロビン・トロワーの「Bridge of Sighs」をテーマにしたスティーヴ・ルカサーのソロタイムも9分以上も披露。2010年の再結成以降、グレイテスト・ヒッツなショウの多かった彼らだけに、非常に新鮮です。また、そのフレッシュな空気感をしっかりと封じ込めたドキュメント感覚も素晴らしい。なにしろ、開演前BGMも約6分に渡って収録。客層が客層だけに大騒ぎにはなりませんが、じっくりと期待感が募っていく空気がスピーカーから吹き出し、現場の室温まで伝わるかのよう。その中を「お待たせいたしました。まもなく演奏を開始いたします……」のアナウンスが流れ、堰を切ったような喝采が沸く。そんなリアル・ムードは、全編淀みなくパックされ、アンコールの大団円を迎えた後の「ただ今を持ちまして、本日のコンサートはすべて終了いたしました。押し合わないよう、ゆっくりと出口の方へ……」アナウンスまで、当日のすべてを完全収録しているのです。思い起こせば、『TOTO XIV』がリリースされたのは今からちょうど1年前。世界中から歓待を受け、各国のチャートを賑わす久々の成功作となりましたが、マイクの訃報から1週間も経たないタイミングと重なり、どこかしら喪失感も漂って聞こえました。しかし、その新曲を携えて日本にやってきたTOTOに喪失感はなかった。本作にはマイクを失った悲しみではなく、前を向いて進む彼らがいるのです。未来に向けて再び力強く歩み出したTOTO。その日本に残した足跡を極上サウンドで味わえるライヴアルバム。ぜひ、彼らと同じ時を呼吸するあなたへ。
Pacifico Yokohama, Yokohama, Japan 4th March 2016 TRULY PERFECT SOUND(from Original Masters)
Disc 1 (60:28)
1. Pre Show Music 2. Introduction 3. Running Out Of Time 4. I'll Supply The Love 5. Burn 6. Stranger In Town 7. I Won't Hold You Back 8. Hold The Line 9. Georgy Porgy 10. Afraid Of Love 11. Bend 12. Pamela
Disc 2 (75:09)
1. David Paich Piano Solo 2. Great Expectations 3. Without Your Love 4. Bridge Of Sighs / Lukather Solo 5. Holy War 6. The Road Goes On 7. Orphan 8. Rossana 9. On the Run / Goodbye Elenore 10. Africa
Steve Lukather - guitars, vocals, keyboards David Paich - keyboards, vocals Steve Porcaro - keyboards, synthesizers, vocals Joseph Williams – vocals Leland Sklar - bass Shannon Forrest - drums, percussion Mabvuto Carpenter - vocals, percussion Jenny Douglas-Foote - vocals, percussion
Lenny Castro - percussion, backing vocals