
“誰もが欲しがる声”と“誰もが欲しがるギター”。その2つがたった一度だけ交わった奇跡のライヴアルバムが登場です。 “誰もが欲しがる声”の持ち主、それはもちろんポール・ロジャースです。リッチー・ブラックモア、ジミー・ペイジといった歴史的なギターヒーロー達が組みたがり、同業者のロッド・スチュワートやロバート・プラントでさえ、リスペクトを惜しまないザ・ヴォイス。一方の“誰もが欲しがるギター”とは、ゲイリー・ムーア。オジー・オズボーンやデヴィッド・カヴァデール、ロニー・ジェイムズ・ディオが理想のギタリスト像として名を挙げ、パートナー選びの際にも“彼のようなギターを弾くヤツ”と指針にしたギタリストの中のギタリストです。そんな2人がステージを共にしたのは、長いロック史の中で、たった一夜だけ。アルバム「MUDDY WATER BLUES」でも1曲「She Moves Me」で共演してはいますが、ライヴではこの日、「2006年10月3日ロイヤル・アルバート・ホール公演」だけです。当時、“QUEEN+PAUL RODGERS”としての活動をメインにしていたポールですが、2006年4月にワールドツアーを一区切り。その後に短いながらもソロ活動を行っていた。本作は、そのソロ公演にゲイリーがゲスト参加した模様を収めたオーディエンス・アルバムなのです。 そのサウンドは、“奇跡の夜”という絶対的な価値に相応しい驚異的なサウンド。録音者本人から直接渡されたオリジナルDATマスターを使用しているのですが、鮮度だけでなく楽音のクリアさも絶品中の絶品。「まるでサウンドボード」と呼ぶには多少距離もあるものの、それがロイヤル・アルバート・ホールの上品な会場音響を感じさせ、いっそ匂い立つようなムードたっぷり。その空間を突っ切ってレーザーのように真っ直ぐ届く楽音も鮮烈な録音なのです。そして、そのクオリティで描かれるライヴは、ポールの栄光のキャリアを総括するようなベスト・セット。FREE、BAD COMPANYはもちろんのこと、THE FIRMやソロに至るまで彼の代表曲がずらり。そして演奏陣も実力派ぞろいで………止めた。ヤメヤメ、こんな事をグダグダ書いていても仕方ない。本作には、唯一無二のゲイリー・ムーアとの奇跡の共演が封じ込まれているのですから、そんなことに字数を使っている場合じゃないんです。ロック史に名声輝く両雄が並び立ったのは、マディ・ウォーターズの「Standing Around Crying」「Louisiana Blues」と、アルバート・キングの「The Hunter」の3曲。ディスク2の冒頭でポールがスペシャル・ゲストとしてゲイリーをコールすると、会場中から喝采が巻き起こり、彼以外の何者でもないギターがこだまする。そして、ポールが情感たっぷりに「Standing Around Crying」を歌い出す………。図太く、軋みながら咽び泣くギターに、情念のヴォーカルが重なり、絡み、呼び合う。なんと、なんと芳醇な音世界なのでしょう! もちろん、この2人を結びつけたのはブルースへの深い愛。しかも、そのレパートリーはシカゴの首領、マディ・ウォーターズの名曲なのです。わざわざカバーアルバムまで作ったポールのマディ愛は言わずもがなですが、実はゲイリーもまた、マディをこよなく愛している。ロックギタリストの性からか、彼のブルースというと60年代のモダン・ブルースやスクィーズ・ギタリストへの傾倒がクローズアップされがちではあるものの、実は彼の最後の来日公演で開演前のBGMに流されたのは50年代の黄金時代シカゴ・ブルースばかりだった。もちろん、マディ・バンドのジミー・ロジャースとはあまりにもスタイルが違うわけですが、ゲイリーはゲイリーなりのスタイルで泣きに泣き、ポールは彼自身の黄金のノドをもって応えるのです。 さらに次曲「Louisiana Blues」を終えて(ちなみにロバート・ジョンソンの旅仲間でもあったブルースマンのジョニー・シャインズによると、この曲はロバジョンが書き上げながら録音されなかった幻の曲でもあるそう)ゲイリーは一度引っ込みますが、ショウ終盤の「The Hunter」で再登場。FREE時代からのポールの十八番を、ゲイリーのねちっこいギターが再び彩る。これまた、恐ろしいほどに濃厚で鮮やかなブルース・フィーリングがロイヤル・アルバート・ホールの空間に充満し、観客の熱狂を呼び込むのです。ロイヤル・アルバート・ホールの現場に集った人々が、目の前に広がる光景がいかに貴重なものなのか、その根底に流れるブルースへの想いがいかに深いのかを理解してはいないでしょう。しかし、だからこそ、良い。ブルースは骨董品として眺めるものではなく、息づく呼吸を楽しむものだから、小理屈などヌキにして楽しめなければ意味などないからです。本作の芳醇な旨み、観客の心からの熱狂は、それを満たしている。貴重極まる奇跡の瞬間を真空パックしていながら、2人のレジェンドによる息づく極上のブルースを極上の客席サウンドで記録したライヴアルバムなのです。今は1人でも多くの方に、この素晴らしい奇跡の夜を聴いていただきたい。たかがロックミュージシャンだからこそ奏でられる深くて鮮やかなブルースが存在することを知っていただきたい。その一念を込めたリリースなのです。ぜひ、長いロック史でも二度はなかった奇跡を語り継いでください。その証言者となってください。
Live at Royal Albert Hall, London, UK 3rd October 2006 PERFECT SOUND(from Original Masters)
Disc 1(44:36)
1. I'll Be Creepin' 2. The Stealer 3. Ride On A Pony 4. Be My Friend 5. Radioactive 6. Closer 7. Warboys 8. Feel Like Makin' Love 9. Bad Company 10. Smile
Disc 2(52:45)
1. Standing Around Crying(with Gary Moore) 2. Louisiana Blues(with Gary Moore) 3. Wishing Well 4. Saving Grace 5. All Right Now 6. Far Distant Shore 7. Little Wing/Angel 8. I'm A Mover 9. The Hunter(with Gary Moore) 10. Seagull
Paul Rodgers - Vocal Kurt Dengler - Guitar Howard Leese – Guitar Lynn Sorensen - Bass Ryan Hoyle - Drums