本作は、黄色いジャケットと共に伝説的な存在となっている2枚組のオリジナルLP「GREEK TO ME(Monomatapa Records 34-010)」から復刻したもの。そこに記録されているのは「1980年9月9日ロサンゼルス公演」です。名作「THERE AND BACK」は1980年の6月にリリースされ、アルバムにも参加したサイモン・フィリップス、モー・フォスター、トニー・ハイマスを従えて北米ツアーを開始したのは8月31日。本作のロサンゼルス公演は、その極初期にあたる6公演目なのです。この日は「L.A. NIGHTS」でも聴くことができましたが、本作はまったくの別録音です。そのサウンドはアナログ特有の暖かみにあふれつつも、素晴らしくクリアなもの。現場となった“グリーク・シアター”は約6,000人を収容する野外会場のため、やや距離感があるのは否めませんが、逆言えば、それほどの巨大空間とは思えないほどに楽音がしっかりと粒立ってもいる。ギターのニュアンスはもちろん、低音を轟かせるシンセのヴァイヴさえも滑らか。元となったアナログ盤も、国内のLPコレクターが秘蔵していた新品同様状態のものを使用し、スクラッチノイズも1つひとつ丁寧に除去。オリジナルLPには約半音ほど高く収録されていましたが、それも正しいピッチに修正いたしました。残念ながら、録音そのものたるカセット・マスターは発見されていませんが、現在可能な地球上最高クオリティをめざしたのです。オリジナルLPは2枚組と言えどもショウの全編ではなく、曲間を詰め、「Led Boots」「Going Down」が未収録(オリジナルLPには「Blue Wind」以降がごっそり抜けているようにクレジットされていますが、これは当時のミスです)。同日フルの別録音「L.A. NIGHTS」の登場により、もはや役目を終えた感もありましたが、やはりこの音を聴くとまた別の感慨が沸き立つ。スピーカーから流れ出てくるのは、幾度となくターンテーブルに乗せた日々が蘇るサウンドであり、記憶のどこにもないほど美しい再生音でもあるのです。全盛・絶好調のジェフの調べに乗って、“懐かしさ”と“新鮮さ”が入り交じる不思議な感覚の1枚。長い長い客席録音の歴史、ジェフの歴史、そして、愛し続けてきたマニアたちの歴史、その重みと想いが詰まった伝統録音もまた深い。“ツアー極初期”と“ツアー後期”、“新名盤”と“伝統録音”。異なる表情で魅せる“1980年のジェフ・ベック”をたっぷりと味わい尽くしていただきたい。その想いを78分15秒詰め込んだライヴアルバム、今週末あなたのお手元へお届けします。
Live at Greek Theatre, Los Angeles, CA. USA 9th September 1980 PERFECT SOUND Taken from the original 2LP records "Greek To Me"(Monomatapa Records 34-010) (78:15)
1. Star Cycle 2. El Becko 3. Too Much To Lose 4. The Pump 5. Cause We've Ended As Lovers 6. Space Boogie 7. The Golden Road 8. Diamond Dust 9. Scatterbrain 10. The Final Peace 11. Blue Wind 12. Goodbye Pork Pie Hat 13. You Never Know
Jeff Beck - Guitar Tony Hymas - Keyboards Mo Foster - Bass Simon Phillips - Drums