1976年5月28日から8月22日まで、計53ステージ行われた「リレイヤー」リリース後のツアーは、5人が順次ソロ・アルバムを発表した時期でもあるため、通称「ソロ・アルバム・ツアー」と銘打たれることに。そのアメリカのみで行われた本ツアーの序盤となる、6月4日テネシー、メンフィスのミッドサウス・コロシアムでのショーを、新発掘された当時としては良好なオーディエンス・レコーディングにて、ほぼコンプリート収録。前年10月リリースのハウのソロ・アルバムから、この5月にリリースされたジョンソロまで、順に発表された作品の中から、日変わりで各々の曲をセットリストに組み込んだこのツアーは、長いイエスの歴史の中でもユニークかつ珍しいもので、熱心なファンからは評価の高いツアーとして知られるもの。さらにヨーロッパのコアなファンがレビューしているように、この日のパフォーマンスは70年代イエスのライブ史の中でもベストのひとつに挙げられており、とにかく勢いといい、キメといい、ジョンのヴォーカルといい、これ以上はあり得ないといえるテンションと超絶プレイの連続。まず、この時期のみの「火の鳥」に代わるオープニングS.E. "Apocalypse"に続くお馴染み"Siberian Khatru"からして、エンディングのキメで、アランがフィルを叩き、その後ハウの超絶ソロの後ろではクリスのバースト気味ランニング・ベースが炸裂。その爆走ぶりは次の"Sound Chaser”でのモラーツとのかけ合いも同様で、どちらがソロを取っているかわからないほど。そしてもちろんこのツアーならではの、各メンバーのソロ・タイムも素晴らしく、そしてアンコールでは、イントロのセッション風アレンジがユニークな"Roundabout"、そして”Sweet Dreams”でこの大狂乱はエンド。同ツアーからはサウンドボード音源も存在するものの、音質クオリティーへのこだわりなど吹っ飛ぶ最もアグレッシヴなパフォーマンスはファン絶対必聴。
DISC ONE : 1. Apocalypse/2. Siberian Khatru/3. Sound Chaser/4. I've Seen All Good People/5. Song of Innocence/6. Hold Out Your Hand / You by My Side/7. Leaves of Green/8. Clap/9. Long Distance Runaround/10. Keyboard Solo/11. Harp Solo
DISC TWO : 1. Heart of the Sunrise/2. Gates of Delirium/3. Roundabout/4 Sweet Dreams
[Live at Mid South Coliseum, Memphis, Tennessee, USA June 4th 1976]
Jon Anderson (Vocals) Chris Squire (Bass Guitar,Vocals) Steve Howe (Guitars,Vocals) Patrick Moraz (Keybords) Alan White (Drums)