
元CAMELのアンディ・ウォードも参加していた初期MARILLION。その強烈サウンドボード・アルバムが登場です。本作に刻まれているのは「1983年7月26日ニューヨーク公演」。デビュー作『SCRIPT FOR A JESTER'S TEAR』リリース後に実現した、初のアメリカ・ツアーを収めたライヴアルバムです。『SCRIPT FOR A JESTER'S TEAR』ではオリジナル・メンバーのミック・ポインターがドラムを務めましたが、その後のツアー中にアンディやジョナサン・ムーヴァー、イアン・モズレイと激しくメンバーチェンジを繰り返していました。今週はジョナサン参加の超貴重盤『BAUNATAL 1983(Amity 508)』も同時リリースとなりますので、まずは激動の流れを日程で整理しておきましょう。
・2月19日-3月9日:英国#1(4公演)《3月13日『SCRIPT FOR A JESTER'S TEAR』発売》・3月15日-4月18日:英国#2(29公演)《ミック・ポインター離脱→アンディ・ワード参加》・5月12日-7月3日:欧州#1(7公演)・7月14日-8月8日:北米#1(19公演) ←★本作★
・8月25日+27日:英国#3(2公演)・9月18日-23日:北米#2(5公演)《アンディ離脱→ジョナサン・ムーヴァー加入》・10月1日:西ドイツ公演《ジョナサン脱退→イアン・モズレイ参加》・10月27日-30日:英国#4(4公演)《11月『FUGAZI』録音開始》・12月27日-31日:英国#5(5公演)
これが1983年の活動概要。『SCRIPT FOR A JESTER'S TEAR』リリース直後の母国ツアーまではミックでしたが、その演奏にフィッシュが不満を持ち解雇。代わって参加したのがアンディでした。すでにCAMELでの実績があったためにオーディションもなく加入が決定。それまで母国でしか活動していなかったMARILLIONはヨーロッパ大陸、そして北米へと旅立っていったのです。本作のニューヨーク公演は、そんな初の北米ツアー9公演目にあたるコンサートでした。そんなショウで記録された本作は、鮮烈なド直結感に目も醒める強烈サウンドボード。ひと口にサウンドボードと言っても様々な個性がありますが、本作は「まるでオフィシャル」とは絶対に言えないタイプ。芯も丸出しなら鳴りも極少で、FM放送や公式ライヴ盤のような飾りは一切なく、今そこで弾き出されているノートがそっくりそのまま脳みそに飛び込んでくる。卓直結でしかあり得ないサウンドなのです。もちろん、それが悪いわけではない。公式盤のように磨かれていませんし、コンサートの体験感はほぼゼロ。しかし、だからこそ生まれる超絶な生々しさが圧倒的で、バンドそのものがゼロ距離を超えて脳内侵入。脳みそに土足でズカズカ上がり込んでくるシンクロ感は強烈無比なのです。冒頭「He Knows You Know」でPAトラブルでバランスが狂うのですが、それさえもが凄まじいドキュメント感。これもまた、ブートレッグでしか味わえない異次元の音楽体験です。そして、そんなサウンドの主役が初期MARILLIONだからたまらない。近年、オフィシャルでもアーカイヴが進んでおり、アンディ時代も1983年レディング・フェスがボックス『EARLY STAGES』に収録されました。しかし、本作はその公式盤でも聴けない「Chelsea Monday」やシングルB面曲「Three Boats Down from The Candy」「Margaret」も演奏される。もちろん、その他も濃厚な初期カラーむんむんで、「The Web」以外の『SCRIPT FOR A JESTER'S TEAR』全曲、デビューシングル「Market Square Heroes」、「Assassing」の初期バージョンがブチかまされる(制作前ですが、すでに次作のタイトルを『FUGAZI』と紹介しています)のです。そんなセット以上なのが演奏そのもの。声どころか吐く息まで鮮烈なフィッシュの演劇ヴォーカル、GENESIS譲りの眩惑感をまき散らすスティーヴ・ロザリー&マーク・ケリーのフレーズ、複雑な曲想なのに爆走感まで漂わせるアンディ&ピート・トレワヴァスのリズム隊……。特にアンディはさすが元CAMELのベテラン。実力不足とされたミックよりも鮮やかですし、1公演だけだったジョナサン・ムーヴァーよりもガッチリとアンサンブルに食い込んでいる。しかも、ここは彼らが初めて体験する異国アメリカ。噂に聞いていたであろう異文化の衝撃をまともに受け、押さえようもない猛烈なテンションが大爆発している。そのすべてが異次元レベルのド直結サウンドボードで体験できてしまうのです。アンディと共に北米ツアーやレディング・フェスティバルといった大舞台をこなしたMARILLION。しかし、ツアー中にアンディのアルコール問題が噴出して解雇。1公演のみのジョナサン・ムーヴァーを経て、永久メンバー:イアン・モズレイが参加します。泡沫ではあったアンディ時代ではありますが、その真実は凄まじいまでに苛烈なプログレッシヴ・ロックでした。初のアメリカ体験にブチ切れるテンションも含め、圧倒的な異次元サウンドボードで正面からぶつかってくる衝撃の1枚。
Live at Skytops, Buffalo, New York, NY, USA 26th July 1983 SBD(78:16)
1. Intro 2. He Knows You Know 3. Garden Party 4. Script For A Jester's Tear 5. Assassing 6. Chelsea Monday 7. Three Boats Down from The Candy 8. Forgotten Sons 9. Introduction of Market Square Heroes 10. Market Square Heroes 11. Margaret
Fish - Vocal Steve Rothery - Guitars Mark Kelly - Keyboards Pete Trewaves - Bass Andy Ward - Drums, Percussion ★キャメルのアンディが叩いてる
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