ロニー・ジェイムス・ディオ栄光のキャリアでも頂点だった“THE LAST IN LINE TOUR”。その現場が甦る極上ライヴアルバムが新発掘です。そんな本作に収められているのは「1984年10月12日ヨーテボリ公演」。その極上オーディエンス録音です。まずは“THE LAST IN LINE TOUR”がいかに充実した黄金期であったか、そのツアー概要からショウのポジションを確認してみましょう。
●1984年・6月11日:PINKPOP FESTIVAL出演《7月2日『THE LAST IN LINE』発売》・7月17日-8月25日:北米#1(32公演)・8月30日-10月30日:欧州(44公演)←★ココ★・11月4日-12月31日:北米#2a(30公演)
●1985年・1月2日-27日:北米#2b(18公演)
これが全盛ツアーの全体像。ウォームアップだったPINKPOP FESTIVALを除くと、約6ヶ月(194日)で124回に及び、平均して3日間で2公演という超ハイペース。もちろん、それだけの日程が組まれたのも需要があればこそ。いかに当時が一大全盛だったのか日程からも実感できます。そして、本作はそんなツアーのド真ん中。「欧州」レッグ31公演目のコンサートでした。そんなショウを記録した本作は、まさに極上。このショウは以前から録音が知られてきましたが、本作は別物。ごく最近になって登場した1stジェネ・マスターで「DIO久々の名録音!」と話題になっているもの。実際、そのサウンドは美麗にして強力。わずかに会場音響も吸い込んだオーディエンス録音には違いないのですが、真っ直ぐに届く演奏音はたっぷりとした手応えを湛え、ロニーの歌声も非常に力強い。しかも繊細。ヴィヴィアン・キャンベルのマシンガン・ギターは速射の1発1発、ヴィニー・アピスの鋭いタム回しも1打1打が輪郭もクッキリと舞い踊る。オーディエンスの弱みになりがちな低音も素晴らしく、ジミー・ベインのビンビンとした独特なベース・サウンドも気持ちいい。それ以上なのが肝心要のロニーのヴォーカル。そのコブシの揺れ具合、歌詞の1語どころか1音節に至るまでハッキリとしています。さらに見逃されがちな重要ポイントが安定感。80年代前半、それも大ボリュームを旨とするHR/HM系では激しい熱狂や爆音になったり、セッティングの迷いから音質が揺れる事が珍しくない。しかし、本作にはそれがない。もちろん、大全盛の熱狂も吸い込まれてはいるものの、それが演奏よりも遙かに小さいバランスを保ち、それでいて広大。まさにオーディエンス録音の優等生となる名録音なのです。そのサウンドで描かれる全盛のショウが凄い。前述の通り、苛烈なまでに濃密なツアー日程だったわけですが、御大ロニーのヴォーカリゼーションは艶やかで濃厚。後年になって「年齢を重ねても衰えない」と評判を上げたロニーですが、この時すでに42歳。20代の若造でも音を上げそうな濃縮スケジュールをこなしながらの完璧な歌いっぷりには、改めてド肝を抜かれます。もちろん、セットはRAINBOW+BLACK SABBATH+『HOLY DIVER』+『THE LAST IN LINE』の黄金律。いつもの名曲群ではありますが、逆に余計な曲が1曲もない圧倒的な純度は究極的です。そんな中でレアと言えそうなのが「Mystery」。長いDIO史でもこのツアーだけで演奏されたナンバーであり、「Rainbow In The Dark」と共にポップな曲想がアクセントになっています。アグレッシヴに押しまくった“HOLY DIVER TOUR”よりもカラフルで、メドレーに凝りすぎた“SACRED HEART TOUR”よりもタイト。まさに黄金時代の輝きに満ちたショウを極上の端正サウンドで本生100%体験できるライヴアルバムです。良い曲・良い音・良い演奏の3要素を極めて高い次元で揃えた大傑作。すべての面で正しくド真ん中ストライクのDIO。
Live at Scandinavium, Gothenburg, Sweden 12th October 1984 TRULY PERFECT SOUND
Disc 1(33:13)
1. Intro 2. Stand Up And Shout 3. One Night In The City 4. Don't Talk To Strangers 5. Mystery 6. Egypt (The Chains Are On) 7. Holy Diver 8. Drum Solo
Disc 2(53:42)
1. Heaven And Hell incl. The Last In Line 2. Rainbow In The Dark 3. Man On The Silver Mountain incl. Long Live Rock 'n' Roll 4. We Rock 5. The Mob Rules
Ronnie James Dio - Vocals Vivian Campbell - Guitar Jimmy Bain - Bass Vinny Appice - Drums Claude Schnell - Keyboards