50周年の来日公演が大団円を迎えたYES。その直前に行われた船上イベントの極上ライヴアルバムが登場です。そんな本作に収められているのは「2019年2月7日CRUISE TO THE EDGE」。その大傑作オーディエンス録音です。当店では、重鎮YESの50周年ワールド・ツアーを開始直後からレポートしてきましたが、日本はその最終地でもありました。まずは、その全景からショウのポジションを確かめておきましょう。●2018年・2月3日-9日:CRUISE TO THE EDGE《50TH ANNIVERSARY TOUR 2018》・3月13日-25日:英国(10公演)・3月27日-30日:欧州(3公演)・6月5日-7月28日:北米(35公演)
●2019年・2月4日-9日:CRUISE TO THE EDGE ←★ココ★・2月19日-24日:日本(5公演)これが2018年/2019年のYES。50周年ツアーは丸1年をかけて行われたわけですが、そのメインは2018年の春ー夏。その後、しばらく間を開け、2019年は“CRUISE TO THE EDGE”と日本公演だけでした。そして、この2019年編の特徴は大名盤『危機』の完全再現。2018年は基本的に50周年の特別セットではあっても再現なしの通常スタイルでしたが、日本を控えてアルバム再現を再開させたわけです。そんな“CRUISE TO THE EDGE”では「2月7日」と「2月8日」の2回ステージがあり、本作は今年初演となった「2月7日」編を完全収録したライヴアルバムなのです。そして、ポイントなのはクオリティ。“CRUISE TO THE EDGE”は、例年さまざまなバンドの極上録音が登場しており、現在は傑作の名産地ブランドとして知られている。本作もまたその期待に違わぬ名録音。何よりも素晴らしいのは、オンでダイレクト感たっぷりな芯と安定感。とにかく細部まで克明なサウンドがグイグイと目の前に突きつけられるのです。特に圧倒的なのは低音。ベースはアタックのゴリゴリ感も鮮やかで、それが連なるラインもくっきりとしていれば、グルーヴを生み出す細やかなヴァイヴも波形が見えるほどに鮮明。もちろん、低音だけが飛び抜けているわけではなく、中音域の鳴りも手触り級なら高音の伸びも美しい。厳密に言えば、空気感の透明度の点で今週同時リリースされる日本公演の超傑作『TOKYO 2019 1ST NIGHT』『同2ND NIGHT』には及ばないものの、普通に考えれば十二分に「まるでサウンドボード」と呼ぶに相応しい。実際、今まさに世界中のマニアが嬉々として楽しんでいる話題の録音であり、間違いなく“50周年ツアー”でも世界屈指の名録音なのです(逆に言えば、日本の両作がいかにズバ抜けすぎているかが分かる。世界のマニアが知れば驚喜することでしょう)。そんなサウンドで描かれるのは、日本公演のプロトタイプとでも言えそうなショウ。セットは基本的に日本前半の3公演と酷似しており、イベントの都合で「Yours Is No Disgrace」がないだけです。ただし、日本ではトニー・ケイ登場の曲でもあったので少々残念ですが……。そのトニーが登場するのは「No Opportunity Necessary, No Experience Needed」。実は、このショウこそ49年ぶりに演奏された最初の日。トニーの登場に盛大な喝采が沸くものの、イントロが始まると途端に静まり返る。観客たちは明らかに戸惑っており、記憶の中から曲名を探している。ビシッと揃った手拍子で迎えた日本とは違い、終始「聞いたことあるけど……この曲、何だっけ?」というムードに包まれているのも非常にリアルで面白いのです。素晴らしかった日本公演の前哨戦でもあった“CRUISE TO THE EDGE”。名産地に相応しい傑作録音であり、世界中のマニアが再び再現された『危機』や「No Opportunity Necessary」に歓喜している名録音。
Live At Pacifica Theater, Royal Caribbean Brilliance Of The Seas, En Route from Tampa, Florida to Key West, Florida, USA 7th February 2019 TRULY PERFECT SOUND
Disc 1(75:22)
1. The Firebird Suite 2. Parallels 3. Sweet Dreams 4. Fly From Here Part 1: We Can Fly 5. Nine Voices (Longwalker) 6. Clap 7. Madrigal 8. Close To The Edge 9. And You And I 10. Siberian Khatru
Disc 2(27:06)
1. Introduction of Tony Kaye 2. No Opportunity Necessary, No Experience Needed 3. Roundabout 4. Starship Trooper
Steve Howe - guitar, vocals Alan White - drums Geoff Downes - keyboards, vocals Jon Davison - vocals, acoustic guitar, percussion Billy Sherwood - bass, vocals Jay Schellen - drums Tony Kaye - keyboards (Special Guest)