“ヘヴィなアリス・クーパー”・“汚いKISS”として衝撃を振りまいたデビュー当時のW.A.S.P.。その極上ライヴセットが登場です。当時のライヴと言えば、裸の女性はいたぶり殺すわ、血糊は飲むわ、文字通り鮮血が滴るホラーショウ。本作は、そんなショック・ロックの極地を丸ごと2公演収めたもの。「1984年9月25日ノッティンガム公演」の極上オーディエンス録音をメインに、前日「9月24日ロンドン公演」のオフィシャル・プロショット『LIVE AT THE LYCEUM, LONDON』をセットした2枚組です!この2つのショウがいかなるポジションなのか。まずは、当時のスケジュールの中で確認してみましょう。
●1984年《8月17日『W.A.S.P.』発売》・9月18日-10月13日:欧州(19公演)←★ココ★・10月18日-23日:初来日(5公演)・11月9日:ロンドン公演・11月24日-12月28日:北米#1(22公演)
●1985年・1月9日-3月29日:北米#2(58公演)・7月3日-5日:北米#3(3公演)《11月9日『THE LAST COMMAND』発売》
これが衝撃デビュー作『W.A.S.P.』登場!からの流れ。ツアーはいきなり英国から始まっており、本作はその6公演目と7公演目にあたる。1984年と言えば伝説の初来日公演も衝撃でしたが、本作はその直前でもあります。それでは、各ディスクを個別にご紹介していきましょう。
【メインCD:ノッティンガム公演の極上オーディエンス録音】
まず登場するのが「1984年9月24日ノッティンガム公演」のオーディエンス録音。後述しますが、もう1枚のディスクは公式プロショットなのですが、それを差し置いてオーディエンス録音が本作のメインなのです。なぜならば、これが超極上の奇跡録音だから。実は、このディスクを記録したのはあの名匠“Crazy S.”氏。そのオリジナル・カセットからダイレクトにデジタル化したライヴアルバムなのです。そして、そのサウンドこそが衝撃。録音者本人から譲られただけに間違いなくオーディエンス録音なのですが「一体どこが?!」と驚くレベル。荒縄のごとき超極太な芯がグイグイと目の前に突きつけられ、まったくのゼロ距離。空気感が透き通るどころか、どう聴いても完全密着しており、FM放送にしか思えない。しかも、安定感が凄い。爆音になりそうでならないギリギリのド迫力サウンドで、ギターもベースもクッキリとしている。「On Your Knees」や「Animal (Fuck Like a Beast)」ではパイロらしき「ドカン!」という爆発音が炸裂(音量に注意!)し、「L.O.V.E. Machine」では電ノコがギャリギャリと轟音を轟かせる。しかし、それさえもが綺麗。暴虐ノイズが細部まで美しく整って捉えられているのです。いくら耳を澄ませても、何度繰り返しても本当にオーディエンスとは信じがたく、「!?」が脳内をグルグル回り続けるのです。そのサウンドで描かれるショウがまた激烈! 上記の通り、デビュー作『W.A.S.P.』の発売直後だったわけですが、「B.A.D.」以外の全曲を演奏しており、大ラスには伝説デビューEPの「Animal (Fuck Like A Beast)」で締めるという極悪セットリスト。暴虐リフとワイルドな咆哮が轟きまくりつつ、そのメロディは極めてキャッチー。“極道ポップなロックンロール”が次々と繰り広げられるのです。あの衝撃アルバムが英国制覇の意欲に燃える生演奏でブチかまされ、それがド級の超ダイレクト・サウンドに乗って殴りかかってくる。いつもなら「あの名盤の生演奏版」と書くところですが、これはそんな生やさしいものじゃない。名盤の別バージョンと言うよりは強化版。それも、ユンケルでバイアグラを流し込んだ超サイヤ人が10倍界王拳カマしながら演奏しているような強烈無比な超絶ライヴアルバムなのです。
【DVD:史上最高峰クオリティで復刻された公式映像】
そんな超絶版に続くのは、廃盤オフィシャル映像『LIVE AT THE LYCEUM, LONDON』を史上最高峰クオリティで復刻したDVD。ミント・クオリティの日本盤レーザーディスクを使用し、アナログ映像専門の海外メーカーに委託してデジタル化。ソース元も工程も環境も考え得る万全を尽くしており、まさしくこれ以上はあり得ない史上最高峰クオリティのDVD化なのです。翌日ノッティンガムの奇跡録音が発掘されたのを記念し、特別にDVDで付属させました。そんな公式映像の中身とは「1984年9月24日ロンドン公演」のフル・プロショット。ノッティンガムのライヴアルバムも凄絶でしたが、やはり映像の威力は凄い。なにしろ、ブラッキー・ローレスは虎縞のニーハイブーツに、尻を丸出しで、腕や股間には丸ノコ付き。そして、山んばのように髪を振り乱しながら、やはり尻出しのクリス・ホルムズと共に暴れまくる。もちろん、格好が奇異なだけではない。「Tormentor」では、演奏途中でブラッキーが斧と生肉を持ち出し、その場で食い始めた(本物なんだ……)かと思ったら、客席に向けて千切っては投げ、千切っては投げ。さらに、ステージ脇の箱を開けると、中には裸の女性が吊されている(これも人形じゃない……)。その女性をナイフでいたぶり殺して演奏に戻るという、何ともグロテスクでえげつないショウが見られます。さらに続く「School Daze」も素晴らしく悪趣味。ギターソロのあと、ポスターを股間の丸ノコで切り裂き、髑髏で汲んだ血糊をたっぷりと飲む。その量たるや、軽くジーン・シモンズの3倍はあり、口から溢れ出してブラッキーの半身を真っ赤に染め上げる。その後も、顔面中を血まみれにしたまま鬼の形相で歌う!歌う! 羽毛枕までぶちまけ、まさに“汚いKISS”、“ヘヴィなアリス・クーパー”です。ド派手でワイルドだったLAメタル勢でも、ひと際ヤバかった異端児W.A.S.P.。もっともセンセーショナルだったデビュー直後の渡英ライヴを超極上のパワフル録音と、史上最高峰オフィシャル映像で刻み込んだ2枚組です。これはまさにショック・ロックの金字塔。悪趣味でえげつなく、良識のある人なら眉をひそめるからこそ素晴らしい。
Live at Palais, Nottingham, UK 25th September 1984 PERFECT SOUND(from Original Masters)
CD Live at Palais, Nottingham, UK 25th September 1984 (57:17)
1. The End (The Doors) 2. On Your Knees 3. The Flame 4. Hellion 5. L.O.V.E. Machine 6. Sleeping (In The Fire) 7. Tormentor 8. School Daze 9. The Torture Never Stops 10. I Wanna Be Somebody 11. Animal (Fuck Like a Beast)
DVD(57:14) "LIVE AT THE LYCEUM, LONDON"
Live at the Lyceum, London, UK 24th September 1984 PRO-SHOT
1. On Your Knees 2. The Flame 3. Hellion 4. L.O.V.E. Machine 5. Sleeping (In The Fire) 6. Tormentor 7. School Daze 8. The Torture Never Stops 9. I Wanna Be Somebody 10. Animal (Fuck Like A Beast)
Blackie Lawless - Lead Vocals, Bass Chris Holmes - Guitars Randy Piper - Guitars, Vocals Steve Riley - Drums
PRO-SHOT COLOUR NTSC Approx.57min.