結成50周年を迎え、今なお英国ファンタジックHRの王道を貫き続けるURIAH HEEP。3年ぶりに実現した日本公演のオリジナル録音が登場です。そんな本作に収められているのは「2018年3月19日:大阪公演」。1日2ステージを完全収録した極上オーディエンス録音です。それにしても、近年のHEEPは凄い。LED ZEPPELINは元より、同時期に活躍したBLACK SABBATHもすでになく、DEEP PURPLEも終焉を意識した“THE LONG GOODBYE”なる言葉でツアーを行っていた。ところがHEEPは現役感溢れる力作『LIVING THE DREAM』を発表し、精力的に世界中をサーキット。尽きない創作意欲もさることながら、そのペースも圧倒的なのです。まずは、そんな彼らの近況からショウのポジションを探ってみましょう。
●2018年《8月29日『LIVING THE DREAM』発売》・9月22日:フェロー諸島・10月23日-12月16日:欧州#1(42公演)●2019年・1月22日-2月24日:欧州#2(25公演)・3月19日-21日:日本(6公演) ←★ココ★・4月20日:KANAALROCK FESTIVAL出演
・5月3日-6月29日:北米(36公演)・7月11日-8月3日:欧州#3(6公演)・8月31日+10月26日+12月8日:欧州#4(3公演)
これが現在までに公表されている『LIVING THE DREAM』リリース以降のスケジュール。欧州を中心に全盛期ばりにショウをこなしているわけですが、実はこれでも一部にすぎない。昨年は『LIVING THE DREAM』発売以前にも夏の欧州フェスを巡っており、本格的な北米ツアーも実施。2018年だけで100公演以上のライヴを行っており「いつ新作を作ったのさ?」と言いたくなる活躍ぶりは、まるで20代のバンドのようです(新作発表なしのDEEP PURPLEやYESが50公演程度だった事を考えれば、いかに精力的なのかがご理解いただけるでしょう)。しかも、回数だけではない。1公演1公演がえらくエネルギッシュ。本作は、その実態を日本公演で教えてくれるライヴアルバムでもあるのです。日本公演は大阪・東京で1日×2ステージ×3日間を実施。本作は、その大阪2公演を丸ごと収録しています。そして、そのサウンドは「超」を2つも3つも並べたいほどに極上。当店ではお馴染みとなっている名手中の名手“西日本最強テーパー”氏の作品で、もちろん本作だけのオリジナル録音。これがまた強烈で「まるでサウンドボード」と呼ぶしかない。狭いクラブ規模の密室感こそ感じるものの、他におよそオーディエンスらしさがまるでない。ギターもキーボードも距離感ゼロならヴォーカル&コーラスも息づかいレベル。特にドラムは弾ける皮のヴァイヴまで感じ取れるほどに超リアル。それこそ、リハーサル・ルームにでも同席しているかのような超ダイレクト・サウンドなのです。そんな超絶サウンドで描かれるショウが強力無比。約1時間のショート・ステージを2回演奏するわけですが、セットは半分以上を差し替える。ここで、その内容を整理してみましょう。
【両ステージ共通】・旧曲:Rainbow Demon、Gypsy、Look At Yourself、Easy Livin'・新曲:Grazed By Heaven【1st STAGE(ディスク1)のみ】・旧曲:Return To Fantasy、Lady In Black・新曲:Take Away My Soul、Waters Flowin’、Rocks In The Road
【2nd STAGE(ディスク2)のみ】・旧曲:Too Scared To Run、Stealin’、July Morning、Sunrise・新曲:Living The Dream、Knocking At My Door ……と、このようになっています。必殺曲と「Grazed By Heaven」のみ繰り返していますが、新曲のほとんどは2回に振り分け、さらにクラシックスはどちらも超オイシイ。結局2公演とも聴き逃せず、当日も2公演通して見る方が多かったそうです。そして、そんなセットを綴る演奏ぶりこそが凄い。ライヴ三昧だけにこなれ度はハンパなく、62歳のバーニー・ショウだけでなく、71歳のミック・ボックスも実に若々しい。しかも1ステージが短いせいか、苛烈な集中力が一瞬たりとも途切れず、一気に駆け抜ける。それこそ20年前・30年前のライヴと変わらないのです。さらに、そんなかつてをも超えるのが、ラッセル・ギルブルック。彼も加入から12年になるのですが、コージー・パウエルを彷彿とさせるパワフルで歌心たっぷりなドラミングが圧倒的。パンパンとドラム缶をひっ叩くようなキレのある音といい、重戦車の如きバスドラ連打といい、ドラマティシズムを絶妙に盛り上がるフレージングといい、本当にコージーのようです。もちろん、コージーの物まねドラマーではないので手グセは違いますが、ファンタジックな様式HRにはこのスタイルこそが理想。もしかしたら、ラッセルのいる現在こそが史上最強のURIAH HEEPなのかも知れません。昨年のDEEP PURPLEも素晴らしかったですが、URIAH HEEPの現役感はその比ではありません。衰えない歌声と演奏力、輝きを増した往年の名曲、そのクラシックスにも負けない“らしさ満点”の新曲群……それこそ、1995年のRAINBOW辺りに匹敵する王道ブリティッシュHRの権化。こんなに凄いショウをクラブ規模で観られたとは、当日の観客が羨ましくて仕方がない。その現場を超極上サウンドで体験させてくれるライヴアルバム。
Live in Osaka, Japan 19th March 2019 TRULY PERFECT/ULTIMATE SOUND(from Original Masters)
Disc 1 (67:59) 1st Stage
1. Intro 2. Grazed By Heaven 3. Return To Fantasy 4. Take Away My Soul 5. Rainbow Demon 6. Waters Flowin' 7. Rocks In The Road 8. Gypsy 9. Look At Yourself 10. Lady In Black 11. Easy Livin'
Disc 2 (75:05) 2nd Stage
1. Intro 2. Grazed By Heaven 3. Too Scared To Run 4. Living The Dream 5. Knocking At My Door 6. Rainbow Demon 7. Stealin' 8. Gypsy 9. Look At Yourself 10. July Morning 11. Sunrise 12. Easy Livin'
Mick Box - Guitar, Vocals Bernie Shaw - Lead Vocals Phil Lanzon - Keyboards, Vocals Davey Rimmer - Bass Russell Gilbrook - Drums, Vocals