突如もたらされたバーニー・トーメ急逝の報。今週は名門「Krw_co」が彼を偲んで発表した新マスター『MADISON SQUARE GARDEN 1982)』も登場しますが、さらにもう1本の傑作録音をご用意しました。緊急リリース決定です。その傑作に収められているのは「1982年4月2日ボストン公演」。その貴重なオーディエンス録音です。バーニーがオジーと共演したのはわずか7公演。その詳細は『MADISON SQUARE GARDEN 1982』の解説に譲りますが、まずはその日程でショウのポジションを確かめてみましょう。
《3月19日:ランディ・ローズ死去》×3月20日-30日:8公演キャンセル ・4月1日:ベスレヘム(バーニー初日)・4月2日:ボストン 【本作】・4月3日:ニューヘイヴン ・4月5日『MADISON SQUARE GARDEN 1982』・4月6日:プロヴィデンス ・4月9日:バッファロー
・4月10日:ロチェスター(バーニー最終日)・4月13日:ビンガムトン(ブラッド初日)これがランディ・ローズの死からブラッド・ギルス初ステージまでの流れ。『MADISON SQUARE GARDEN 1982』は泡沫のバーニー時代でもハイライトとなるショウでしたが、本作のボストン公演はその2公演となるコンサートでした。そのクオリティは、見事なヴィンテージ・サウンド。見通しやクリアさこそ当時の標準的なオーディエンス録音ではあるものの、演奏の輪郭はきちんと把握できる上にバランスも整っており、肝心なオジーの歌やバーニーのギターがしっかり聴き取れる。なにより会場の熱気が直接伝わるような録音には、実況盤らしい生々しい臨場感が溢れています。この日のショウを実際に観た海外のファンのレビューによれば、会場はこの日も大入りの満員で、オジーは相変わらずマッドマンとして客席を煽り立てていたそう。確かにオープニングの「Over The Mountain」から大いに沸き立つオーディエンスの反応は凄まじく、その様子をリアルに描いている。特に「Mr, Crowley」の冒頭における観客の大声援はそれだけでひとつのスペクタクルなのです。「Crazy Train」ではバンド全体でオーディエンスにぶつかって行くような豪快な演奏が炸裂。実のところ、「Crazy Train」はバーニーがソロに転向した後も自分のライヴでもリフを取り上げる。彼にとっても印象深い曲だったようです。そして「Revelation」と「Steal Away」ではバーニーの切れ込むようなギターが大活躍。バンド加入直後とは思えないほどの即戦力ぶりで、これらの楽曲を自分のサウンドで染め上げているのが凄い。「Suicide Solution」とそれに続くギターソロにおいても、ジミヘンドリクスに傾倒するバーニーらしく、随所にフィードバックを織り込んだ、ヘヴィで荒々しいプレイに徹しています。オジーやバンドのメンバー、また多くのファンにとっては、これがランディの影を振り払うかのように感じられ、「バンドに相応しくない」というイメージに結びついたのかも知れません。しかし、偉大な前任者に対しても自己のプレイを貫くバーニーの流儀は、これもひとつのプロフェッショナルとしてのあるべき姿。むしろ、バーニーが先に体現していたからこそ、後のブラッドやジェイク・E・リーのアレンジも受け入れられたのかも知れません。本来ならばこれに続いて「Goodbye To Romance」がプレイされているのですが、テープチェンジのためなのか欠落しており、残念ながら「I Don't Know」の前半まで未収録となっています。しかしその後は「Believer」からアンコールの「Paranoid」までしっかりと録音されており、これらバーニーのギターが似合うヘヴィナンバーの連続をじっくりと楽しむ事ができます。今だに不明な部分が多い「バーニー・トーメ時代のOZZY OSBOURNE」。存在するだけで貴重な記録なショウを、素晴らしいサウンドで味わえるライヴアルバムです。彼とオジーのハイライト公演は『MADISON SQUARE GARDEN 1982』ですが、1本だけでは「点」になる。短い中でも1公演1公演で駆け上がるように進化していったアンサンブルは「線」でないと分からない。その「線」を描くためにも必要な参加直後のライヴアルバム。
Live at Boston Garden, Boston, MA. USA 2nd April 1982 TRULY AMAZING SOUND
1. Over The Mountain 2. Mr. Crowley 3. Crazy Train 4. Revelation (Mother Earth) 5. Steal Away (The Night) 6. Suicide Solution 7. Guitar Solo 8. Drum Solo 9. I Don't Know 10. Believer 11. Flying High Again 12. Iron Man 13. Children Of The Grave 14. Paranoid
Ozzy Osbourne - Vocals Bernie Torme - Guitars Rudy Sarzo - Bass Tommy Aldridge - Drums Don Airey - Keyboards