金字塔アルバム「SERPENCE ALBUS」大ブレイクの瞬間を捉えた大傑作ライヴ・アルバムが登場です! ネットに突如登場し、その最高サウンドでマニアのド肝を抜いた初登場マスターを、さらにデジタル・リマスターでアップグレード。このサウンドは、本当に凄い。抜群にクリアでありながら大会場の広がりも感じさせ、バランスも良い。いわゆる「欠点が見あたらない」といった種類の録音で、(どんなバンドであれ)1ツアー1本出てきたらラッキーという次元です。ツアーこそ違いますが、“客録りの奇跡”とまで呼ばれた「SHARWOOD LEGEND」をお持ちの方なら、“あのレベル”と言えば分かっていただけるのではないでしょうか。
「『SERPENCE ALBUS』ツアー? ならFM録音『THE NIGHT SERPENT』だけでいいや」という方もいらっしゃるかもしれません。しかし、本作にはかの名作でも味わえない輝きがある。それは、挑みかかっていく「挑戦者の演奏」です。その意味をご理解いただくため、まず当時のWHITESNAKEの状況からご説明しましょう。シングル「Here I Go Again」やアルバム「SERPENCE ALBUS」がチャートを駆け上がっていた1987年6月、カヴァデールはメタル界のスターを集めたスーパー・バンドを結成し、ワールド・ツアーに出発します。しかし、ヒット中とは言え、ツアーの初期はMOTOLEY CRUE前座。ヘッドライナーに格上げされるのは、1987年10月末からです。本作は、ヘッドラインになる直前の9月6日のウィスコンシン公演を収めています。前座ですから、ほとんどの客の目当てはMOTLEY CRUE。“全米にウケている”という実感を味わいつつも、まだまだ発展途上。その後の横綱相撲なショウとはひと味違い、“メインを食ってやる” “行けるところまで行ってやる”という、挑戦者の熱さに満ちているのです。しかも、アメリカ各地で“俺たちが白蛇だ!”と紹介して廻っているようなものですから、演奏に集中力が感じられ、(良い意味で)破綻したところがない。情熱を込めながらも、それが演奏の精度にも繋がっている希有なショウなのです。それが一番感じられるのは、やはりカヴァデールでしょう。大ヒット・大歓声に裏打ちされたハイテンション・パフォーマンスなのですが、いつになく“曲の良さを伝えよう”としているかのよう。例えば、ほとんどの音源では観客との掛け合いを楽しむ「Bad Boys / Children Of The Night」でも、しっかりと自分で歌いきり、「良い曲だろ? 覚えてくれよな」と言わんばかり。そうした丁寧な姿勢は全編にわたり、音程など二の次の“ノリ勝負”で歌ってしまう後年のライヴとは大違いです。また、それを可能にしているのがキャリア・ハイのヴォーカリゼイションです。手術を乗り越えた「SERPENCE ALBUS」から、別人のようにハイトーンが出るようになりましたが、その威力が大爆発。中低音の深みは以前のまま、高音はどこまでも綺麗に伸びていく。次の「SLIP OF THE TONGUE」で早くも“声が枯れた”と言われ、シャウトに聴きづらさも出てきてしまいますが、ここではそんな未来が嘘のよう。シャウティング・スタイルが嫌いなオールドファンであっても、この絶好調ぶりには納得せざるを得ないのではないでしょうか。このツアーはほとんどの音源で “奇跡の声”が堪能できますが、特に前座公演の本作では、最後の最後まで“余力のある全力”で突っ走る。好みはさておき、ひとりの天才ヴォーカリストの一生の中で、もっとも輝いている声に間違いありません。前座というと、セットリストの短さだけは如何ともしがたい。こればかりは玉に瑕……と思いきや、なかなかどうして引き締まった流れが心地よい。限られた持ち時間の集中力もさることながら、「Slide It In」の1曲以外、総て「SERPENCE ALBUS」からの選曲であり、かの歴史的代表作のライヴ篇といってもおかしくない仕上がりなのです。そんなタイトなセットでも省略されないギターソロ・タイムも素晴らしい。当時でこそ、過去と決別した派手さゆえに“アメリカンになった”と揶揄されたものの、方やゲイリー・ムーアへの憧れを隠そうともしないアイリッシュ(ヴィヴィアン・キャンベル)、方やマイケル・シェンカーと同様にレスリー・ウェストを信奉するダッチマン(エイドリアン・ヴァンデンバーグ)。一聴するとテクニカル全盛時代らしい弾き倒しですが、その速弾きの中にもメロディを感じさせる2人から香ってくるのは、間違いなく欧州味です。(先達には及ばないとは言え)ゲイリー風味とシェンカー風味が交互に泣き合うソロなど、他のどんなバンドで望めるでしょうか。成功と情熱と才能の総てが、今まさに頂点を迎えようとする刹那。それを、これ以上ないスーパー・オーディエンスで捉えた傑作です。近年、オフィシャルでも過去のアーカイヴが進むWHITESNAKEですが、頂点である「SERPENS ALBUSツアー」は実現していない。もし、仮にオフィシャルが「SERPENS ALBUSツアー」に目をつけたとしても、本作ほどのキラメキはないでしょう。そう確信できるほどの名録音なのです。
Live at La Crosse Center, La Crosse, Wisconsin, USA 6th September 1987 TRULY PERFECT SOUND (52:30)
1. Intro 2. Opening 3. Bad Boys incl. Children Of The Night 4. Slide It In 5. Here I Go Again 6. Give Me All Your Love 7. Guitar Solo 8. Crying In The Rain 9. Drum Solo 10. Crying In The Rain(reprise) 11. Still Of The Night
David Coverdale - Vocals Adrian Vandenberg - Guitar Vivian Campbell - Guitar Rudy Sarzo - Bass Tommy Aldridge - Drums