極上録音によるリアルタイム・レポートの最新弾。これまでになく、とびきり個性的なサウンドの大傑作ライヴアルバムが登場です。そんな本作に収められているのは「2019年4月5日インディアナポリス公演」。その極上フル・オーディエンス録音です。今回の北米ツアーはこれまでにない本格的なツアーとなったわけですが、それも佳境にさしかかってきました。今週は『COLUMBUS 2019(Amity 545)』と2タイトル同時リリースとなりますが、まずはこれまでご紹介してきた傑作群と共に日程でコレクションを整理してみましょう。
・3月12日『VANCOUVER 2019』・3月13日『SEATTLE 2019』※機材トラブル ・3月15日『SAN FRANCISCO 2019』※セットが完成 ・3月16日『LOS ANGELES 2019 1ST NIGHT』・3月17日『LOS ANGELES 2019 2ND NIGHT』・3月19日:フェニックス・3月21日:デンバー
・3月24日『IRVING 2019』・3月25日『HOUSTON 2019』・3月27日:マイアミビーチ・3月29日『ATLANTA 2019』・3月31日:セントルイス・4月1日『MILWAUKEE 2019』・4月3日:ミネアポリス・4月4日:シカゴ・4月5日:インディアナポリス 【本作】
・4月7日『COLUMBUS 2019』・4月8日-22日:北米(11公演)・4月29日-5月4日:英国(5公演)・7月3日-27日:欧州(15公演)これが現在までに予定されているスケジュール。全28公演の北米ツアーも折り返しを過ぎた後半戦に突入。本作のインディアナポリス公演は、その16公演目にあたるコンサートでした。そんなショウを記録した本作は、何とも個性的なハイクオリティ録音。上記したライヴアルバム群はいずれ劣らぬ傑作ばかりであり、本作もその例に漏れません。しかし、“個性”という意味では本作は群を抜いている。何と言いますか……とんでもなく端正で、滑らかなサウンドなのです。音質判断の基本となるオンな芯や細やかなディテールはもちろん揃っており、クリアさもバツグン。さらに言えば、オーディエンス・ノイズも極端に少ない。まさに名録音の条件をすべて兼ね備えつつ、その上で感触がとても滑らか。鳴りがソフトで、きめ細やかで、スマートで……と、思わずイメージワードが並んでしまう。まるで真珠のように艶々とした光沢サウンド……やはり分かりづらいですね。言い換えるならアナログ感覚でしょうか。もちろん、最新のデジタル録音ではあるのですが、ギラギラと尖った音ではなく、耳に優しく美しい。こう書くとホール鳴りのぶ厚いモコモコ・サウンドをイメージされるかも知れませんが、そうではありません。むしろ、ホール鳴りや距離感はほとんどない。猛烈なクリアさは現代デジタル録音らしい……と言うより、近未来的ですらある。それにも関わらず、鳴りは奇妙なほどに懐かしく、赤ん坊の柔肌のように柔らかく、きめが細かい。当店ではロック史に残る大名盤のアナログ起こしをご紹介することもありますが、それに近い音世界なのです。そのサウンドで描かれるのが初期FLOYDなのですから、異次元感覚は止まるところを知らない。ヴィンテージなロックと言うと、喩えるならセピア・カラーのような滋味が滲む事もありますが、本作はまったく違う。サイケデリックな極彩色であり、過去と未来が一体になったレトロ・フューチャーでもある。そんな音楽が未来的なクリアさとアナログ感覚の肉感を併せ持ったサウンドで鳴る……。これはもう、本当に異次元の体験。これまで無数のアーティストの幾多のライヴアルバムをご紹介してきましたが、この体験を何に喩えて良いのか、まったく分かりません。なんとも迷いと戸惑いにまみれた駄文になってしまい、本当に申し訳ありません。恐らく、どんな音なのかサッパリ伝わらなかったと思いますが、それほどまでに本作は未体験サウンドなのです。間違いなく「極上」ではありますし、聴いて損することは絶対にない。シンプルに「サウンドボード級」「オフィシャル作品級」とも言えるのですが、それでは済ませてはもったいない。全力で言葉を捻り出したくなるほどの特別なサウンドなのです。これまでも極上なライヴアルバムを大量に生み出してきたNICK MASON'S SAUCERFUL OF SECRETSですが、その中にあって本作は飛び抜けて美しく、個性的なサウンドの1本。素晴らしい初期FLOYDの世界が楽しめるだけでなく、異次元感覚のサウンドまで味わわせてくれる異色の名作。
Live at Murat Theatre, Indianapolis, Indiana, USA 5th April 2019 TRULY PERFECT SOUND
Disc 1(51:53)
1. Intro 2. Interstellar Overdrive 3. Astronomy Domine 4. Nick Mason Introduction 5. Lucifer Sam 6. Fearless 7. Obscured By Clouds 8. When You're In 9. Remember A Day 10. Arnold Layne 11. Vegetable Man 12. Nick Mason Introduction 13. If 14. Atom Heart Mother 15. If (reprise)
Disc 2(58:04)
1. The Nile Song 2. Guy Pratt Speaking 3. Green Is The Colour 4. Gary Kemp Speaking 5. Let There Be More Light 6. Childhood's End 7. Nick Mason Speaking 8. Set The Controls For The Heart Of The Sun 9. See Emily Play 10. Bike
11. One Of These Days 12. A Saucerful Of Secrets 13. Point Me At The Sky
Nick Mason - drums Guy Pratt - bass & vocals Gary Kemp - guitar & vocals Dom Beken - keyboards Lee Harris - guitar & vocals