「THE BEST OF WOODSTOCK REHEARSALS 1969」はリハーサル音源にありがちな冗長さを排し、それでいて本番との違いが楽しめる編集でまとめられた文字通りのベスト・オブだったのですが、マニアであれば収録されなかったリハの演奏も聞いてみたい、あるいは持っていたいと思うのは当然のこと。そこで収録されなかったパートをまとめました。こう言っては何ですが、いくらジミによるものとはいえ延々と続くインストゥルメンタル・ジャムはしんどい。過去のウッドストック・リハーサルCDに収められていた「The Dance」や「Sundance」といったジャムはジミ、あるいはビリー・コックスが弾いたリフから発展した演奏ですが、やはりジャムはジャム。それでいてどちらも演奏が10分にも及んでいる。確かに資料としては貴重ですが、過去のアイテムでそれらを飛ばして聞いた人、少なくないでしょう?笑それらだけならまだしも、今回のリリースの元になったATM製「SHOKAN」にはさらに30分近い長さのインストゥルメンタル・ジャムまで収められている。これもまた貴重ではあるものの、では何度も繰り返し聞くか?といえば答えは否というマニアがほとんどなのでは。これらを聞いてもらえれば、何故「THE BEST OF WOODSTOCK REHEARSALS 1969」のリリースに当たり、それらを省いた理由が理解してもらえるかと。あるいはジミがマディ・ウォーターズの「Mannish Boy」を歌っている場面がありますが、ここではミッチ・ミッチェルが不在なことから演奏に締まりがなく、ショーカン・ハウスのテラスで黒人メンバーだけで気ままに演奏していたであろう様子が浮かび上がります。これもまた興味深い演奏ではありますが、やはり音楽としての完成度は高くない。ここまで挙げ連ねてもなお、マニアなら「THE BEST OF~」に収録されなったパートが気になるのも当然でしょう。そこでまとめられたのが本CD-R。繰り返しますが冗長なジャムが大半を占めます。そんな中でジューマ・サルタンがフルートを吹いたジャムなどはちょっとした脱力系インストゥルメンタルだとも言え、意外と面白い演奏でした。また「THE BEST OF~」に収録されたものよりも前の段階の「Izabella」などは明らかにまとまりと勢いを欠いており、これもまたリハーサルならでは。こうしたルーズな演奏をまとめた内容ではありますが、それでも「THE BEST OF~」と同様、過去のリリースよりも明らかに音質がアップしていますので、コアマニアには必要なCDだと言えるでしょう。先の「Sundance」ジャムなどを懐かしく感じられる方もおられるかと。「SHOKAN」にはさらにジャムのミックス違いも収録されていましたが、さすがにそれはオミット。ジャムのミックス違いなんて、普通聞かないですよね?笑 このように、あくまでマニア向けな内容ではありますが、資料としてのコンプリートを目指したい人には重要な二枚組でもあるのも事実。
Recorded at Jimi's rented house (Shokan), Traver Hollow Road, Boiceville, Ulster County, New York, USA in July 1969 Recorder: Jimi and/or Eddie Kramer on 2-track and/or 4-track
Disc 1 (60:03)
1. The Dance 2. Freeform Jam 3. Izabella / Machine Gun Jam 4. Mannish Boy 5. Mannish Boy / Izabella / You Make Me Feel 6. Message To Love 7. Sundance 8. Univibe Jam
Disc 2(50:04)
1. Izabella #1 2. Izabella #2 3. Jam in E 4. Flute Instrumental #1 5. Flute Instrumental #2 6. Jams with Mitch incl. Villanova Junction
Gypsy Sun And Rainbows Jimi Hendrix - lead guitar, vocals Mitch Mitchell - drums Billy Cox - bass Larry Lee - rhythm guitar, vocals Juma Sultan - percussion Jerry Velez - congas