フル・プロショットが発掘されて全世界のマニアに衝撃が走った“The Tour of Life”のマンチェスター公演。その極上サウンドボード・アルバムが登場です。そんな本作に収められているのは、もちろん「1979年4月10日マンチェスター公演」。その一部始終を記録した極上サウンドボード録音です。先日発掘されたプロショットは音声も素晴らしいサウンドボードでしたが、本作はその音落とし……ではありません。熱心なコレクターの方はご存じかも知れませんが、このマンチェスター公演はプロショットに先立つ2012年にもサウンドボード・マスターが発掘されていました。本作は、その流出サウンドボードの最高峰バージョンなのです。そのクオリティは、まさに最高峰。プロショットと同じくグラナダTVでの放送を前提としたモノラル録音ですし、ミックスも同じ。しかし、ジェネのせいか、経路の違いかは分かりませんが、鮮度はプロショット音声より良い。先日の発掘プロショットは周期的に「プッ」という瞬間的な音落ちがありDVD『MANCHESTER 1979』では400カ所に及ぶ音落ちを修復しての永久保存化でした。それに対し、流出サウンドボードはその音落ちが最初からまったくなく、シームレスで艶やかな音声が全編を貫いているのです。そんな極上サウンドボードですが、本作はさらに最高峰を更新するもの。海外の研究家が製作したもので、使用されたマスターもベストなものを厳選しており、さらに入念なマスタリングも施されている。大元から極上だけに大幅な加工は行われておりませんが、ピッチは正確に整えられ、わずかに揺れていた音量も均一に調整。無闇矢鱈な音圧稼ぎ等はせず、違和感のない自然な聴き心地に注力しているのです。さらに、プロショット版で新発掘されたオープニング・シーンも追加されている。まだ開演前であり、会場に流れるBGMや舞台裏のケイトとスタッフによる話し声があるだけですが、これが歴史的なドキュメント感を一層高めてくれる。歴史的なマスターだけにその鳴りと美しさには一切手を加えず、ライヴアルバムとしての完成度を高めているのです(逆に、プロショットにあった中盤幕間の「ピー」という信号音は入っていません。元のサウンドボード・マスターにもなかった事に加え、入れたところでライヴアルバムとして違和感しかないからです)。そのサウンドで描かれる奇跡の“The Tour of Life”の何と素晴らしい事か。プロショットでは圧倒的な映像美や演劇要素も大胆に導入したパントマイム的なパフォーマンスに釘付けになりましたが、音声だけのライヴアルバムで聴くと印象がまったく違う。若々しいケイトの歌声はコケティッシュでありながら凛としており、透き通るような美しさ。サウンドボードだからこそスタジオ作品と同等の密着感で耳元へ流れ込み、ライヴだからこそパフォーマンスに上がる息づかいまで生々しく囁きかけてくる。そんな歌声で『THE KICK INSIDE』『LIONHEART』2枚の(Oh to Be in Love以外の)全曲が蘇り、『NEVER FOR EVER』に収録されることになる「Egypt」「Violin」も初々しい。「Oh, oh, oh, England♪」を「Manchester」に代える「Oh England My Lionheart」の茶目っ気も吐息レベルで感じ取れるのです。プロショットは大画面でマスター鮮度を味わう醍醐味もありましたが、本作はむしろヘッドフォンでじっくりと耳を澄ませていただきたい。一声、一息にいたるまで歴史的であり、まだ20歳だったケイトの存在をサウンドボードの没入感で味わい尽くせるのです。起源を辿っていけばグラナダTV収録には変わりないため、プロショット版と大きく違うわけでもありません。しかし、修復の必要もなく艶やかなマスター鮮度は瑞々しく、何より中身があまりにも美しく芳醇すぎる。これほどのサウンドボード、いかにプロショットが発掘されたからと言って闇に消えていいわけがない。歴史的な名作ライヴアルバムとしても語り継がれるべきなのです。オフィシャル作のハマースミス公演では聴けなかった「Fullhouse」まで含む“The Tour of Life”の完全形を教えてくれたマンチェスター・サウンドボード
Manchester Apollo, Ardwick Green, Manchester, UK 10th April 1979 SBD*UPGRADE- Soundboard master definitely- 20 seconds added from previous source to pre show ambience before Act I(It's only background music / chatter but thought best to include)
- Gently repaired a few volume issues- Upgrade to previous releases. This is the best version.
Disc 1 (74:32)
Act I: 1. Pre-show / Backstage Ambience 2. Moving 3. The Saxophone Song 4. Room For The Life 5. Them Heavy People 6. The Man With The Child In His Eyes 7. Egypt 8. L’Amour Looks Something Like You 9. Violin 10. Spoken Word: John Carder Bush
11. The Kick Inside 12. Interval Ambience
Act II: 13. In The Warm Room 14. Fullhouse 15. Strange Phenomena 16. Hammer Horror 17. Kashka From Baghdad 18. Don't Push Your Foot On The Heartbrake 19. Interval / Backstage Ambience
Disc 2 (53:39)
Act III: 1. Interval Ambience / Backstage Vocal Warm Ups 2. Wow 3. Coffee Homeground 4. In Search Of Peter Pan 5. Symphony In Blue (Incorporating Erik Satie 'Gymnopedie 1') 6. Feel It 7. Kite 8. James And The Cold Gun
Encore I: 9. Spoken Word: John Carder Bush 10. Oh England My Lionheart Encore II: 11. Wuthering Heights
SOUNDBOARD RECORDING
Kate Bush: Vocals / Piano / Keyboards Alan Murphy: Electric Guitar / Whistles Ben Barson: Synthesizer / Acoustic Guitar Brian Bath: Electric Guitar / Acoustic Mandolin / Background Vocals Del Palmer: Bass Guitar Glenys Groves: Background Vocals
John Carder Bush: Spoken Word Kevin McAlea: Piano / Keyboards / Saxophone / 12-String Guitar Liz Pearson: Background Vocals Paddy Bush: Mandolin / Background Vocals Preston Heyman: Drums / Percussion