2019年日本の秋を真夏に引き戻した鋼鉄祭り“METAL WEEKEND 2019”。その目玉でもあったロニー・ロメロ率いるMETAL SOULSの極上ライヴアルバムがリリース決定です。そんな本作に収められているのは「2019年9月15日Zepp DiverCity Tokyo」公演。その極上オーディエンス録音です。“METAL WEEKEND 2019”は同会場で2夜連続公演が行われたわけですが、その2日目にあたります。このイベントは国内外のバンドが集うメタル系のフェスで、HAMMERFALLやMYRATH、BEAST IN BLACKといった現代メタルの旗手がこぞって参加。その1つがMETAL SOULSでした。そもそもはロメロと日本人ギタリストが組んだDESTINIAのアルバム・タイトルが「METAL SOULS」だったわけですが、今回はアルバムとはリズム隊が異なるせいか、DESTINIA名義ではありませんでした(アルバムではメルコ・メンドーサ&トミー・アルドリッチ、今回はロメロの古巣LORDS OF BLACKの現ドラム&元ベース)。ともあれ、その要は21世紀に復活したRITCHIE BLACKMORE’S RAINBOWのフロントマンであるロニー・ロメロの歌声。事前に「あのロメロが80年代HR/HMを歌う!」と喧伝され、注目が集まっていました。そんなショウを記録した本作は、まさに絶品のオーディエンス録音。クラブ規模の密室感が全開で、とにかく芯が力強くディテールも超クッキリ。顕微鏡的に分析して聴けばスネアの鳴りにオーディエンス録音らしさも刻まれてもいるのですが、それが距離感にならない。客録の弱点になりがちなベースも1音1音のゴリゴリ感まで鮮やかですし、ドラムはキットの構造が目に浮かぶほどに立体的。そして何より、ロメロの歌声。マイクに吹き込まれる息の勢いまで感じられる詳細さでグイグイと迫ってくるのです。そのサウンドで描かれるショウは、まさに80年代HR/HMパラダイス。DESTINIAのオリジナル「Judgement Day」「Metal Souls」も演奏されますが、やはり燃えるのはメタル・クラシックス。本家に遠慮?したのかRAINBOWナンバーはありませんが、QUEENにEUROPE、WHITESNAKE、MSG、ゲイリー・ムーアと、誰もが知る名曲群が一気呵成に押し寄せるのです(ちなみに初日はまったく違うセレクトで、JOURNEY、ジョン・サイクス、QUIET RIOT、BON JOVI、DIOでした)。そこで実感するのがロメロの巧さ。どの曲を歌わせても完璧で、バンドによっては本家よりもバージョンアップしている。冒頭から最大の聴きどころ「We Will Rock You (Fast)」。リッチー・ブラックモアはロメロを「ディオとフレディ・マーキュリーを合わせたような声」と評していただけに、これは嬉しい! 実際に聴いてみるとフレディっぽいと言うよりは「ディオが歌うQUEEN」という気もしますが、それが悪かろうハズもない。ポップな「The Final Countdown」も本家より雄々しく、逞しい。ジョン・ノーラムもこういうバージョンにしたかったんじゃないかな……と思うほどにメタリックに生まれ変わっています。そして、ロメロがただのパワーシンガーじゃないことを証明してくれるのが3曲目の「Fool For Your Loving」。バックはメタリックですが、そこに乗る歌声は硬軟自在でディープ。演奏は『SLIP OF THE TONGUE』、歌は『READYN AN’ WILLING』という感じで、歌いきる際の吐息感まで絶妙。もちろん、ヨルン・ランデほど“そっくり”ではありませんが、その分モノマネ感がなく、素直に歌の巧さを堪能できるのです。ここまでは「本家に負けない」感じですが、明らかに「本家超え」してしまったのが残りの2曲。MSGの「Looking For Love」とゲイリーの「Over The Hills And Far Away」です。バックは普通のメタル・バージョンという感じではあるものの、ロメロのハスキーなヒロイック・ヴォイスのカッコイイこと! まあ、この2曲に関してはオリジナルが名シンガーとは言い難いので当然(正直言って、ロメロがもったいないセレクト)のような気もしますが、それにしても原曲の持つ高揚感をグイッと引き上げる歌いっぷりは本当に見事。特に「Over The Hills And Far Away」はヴァイオリンを交えたアレンジも素晴らしいのです。最後にDESTINIAのオリジナル2連発で幕を閉じる本作(これがまた、歴史的名曲の直後に聴いても負けてないから凄い!)。80年代HR/HMをこよなく愛し、その名曲をアップデートさせられる現代の歌神ロニー・ロメロ。現実にはほとんどカバーライヴなのですが、その聴き応えはそんじょそこらのカバーバンドとはワケが違う。歴史に名高い本家も超えるほどに熱くさせてくれる絶唱、ぜひ本作でお確かめください!
Zepp DiverCity Tokyo, Tokyo, Japan 15th September 2019 TRULY PERFECT SOUND(from Original Masters) (39:23)
1. Intro 2. We Will Rock You(Fast)(QUEEN)★ 3. The Final Countdown(EUROPE)★ 4. Fool For Your Loving(WHITESNAKE)★ 5. Looking For Love(THE MICHAEL SCHENKER GROUP)★ 6. Over The Hills And Far Away(GARY MOORE)★
7. Judgement Day(DESTINIA)8. Metal Souls(DESTINIA)