『SELLING ENGLAND BY THE POUND』完全再現がプログレファンの熱い眼差しを集めているスティーヴ・ハケットの“GENESIS REVISITED TOUR 2019”。その北米レッグを記録した最新ライヴアルバムが登場です。そんな本作に収められているのは「2019年9月26日リッジフィールド公演」。その傑作オーディエンス録音です。新作『AT THE EDGE OF LIGHT』だけでなくジョン・ハケットやアンドレア・パドヴァの作品にも参加し、オーケストラ共演ライヴ作もリリース……とにかく精力的な2019年のハケットですが、ライヴ活動まで活発だから恐れ入る。まずは、そんな彼の多忙ぶりからショウのポジションを確かめてみましょう。●2019年《1月25日『AT THE EDGE OF LIGHT』発売》・2月5日+6日:CRUISE TO THE EDGE(2公演)・2月10日+13日:ON THE BLUE CRUISE(2公演)“GENESIS REVISITED TOUR 2019”・4月22日-6月5日:欧州#1(31公演)・7月14日-20日:欧州#2(5公演)
・7月30日-8月3日:ハケット&DJABE(5公演)・9月12日-10月20日:北米(27公演) ←★ココ★・11月2日-29日:英国(20公演)・12月7日+8日:TRADING BOUNDARIES(2公演)●2020年・2月26日-3月24日:北米(17公演)・3月27日:CRUISE TO THE EDGE
・4月17日+18日:ハケット&オーケストラ(2公演)・5月24日-6月2日:オセアニア(6公演)これが現在までに公表されているスケジュール。先日リリースされた『ESSEN 2019(Amity 556)』でもレポートしましたが、そこからさらに増量。来年春のオセアニア・ツアーまで発表になりました。オセアニアと来れば、時差のない日本にも……との期待が高まりますが、まだ来日決定の報は届いておりません。さておき、『ESSEN 2019』はツアー冒頭「欧州#1」の記録でしたが、その後ハケットは大洋を渡ってアメリカへ上陸。本作のリッジフィールド公演は、その「北米」ツアー11公演目のコンサートでした。そんなショウを記録した本作は、まさに絶品のオーディエンス録音。まだ北米ツアーは終了していないので断言は出来かねますが、現在「北米の代表作になるのでは」と噂されている名録音。何よりも素晴らしいのは、細やかなディテールと美しい鳴り。サウンドボードと間違うようなド密着サウンドではないものの、仄かな空気感も距離感にならず、絶妙な艶を醸し出す。そして、その中を真っ直ぐに突き抜ける芯も力強い。突きつけるような鋭さではないのに、細部までクッキリとしており、ウィークポイントになりがちなベースもゴリゴリとしたアタック音の輪郭もしっかりと味わえる。そんな芯からオーラのように立ち上る鳴りがハケット・ミュージックに不可欠な幻想感を演出する……まさに“オーディエンスならではの美”を体現するサウンドなのです。その美音で描かれるのが、話題沸騰の最新セット。“GENESIS REVISITED”での活動も長くなってきましたが、ハケットは毎回毎回異なるコンセプトとハッキリと設定していて飽きさせない。今回は特に狙いが絞り込まれています。その内容とは……【第一部】●SPECTRAL MORNINGS(6曲)・Every Day/The Virgin and the Gypsy/Tigermoth/Spectral Mornings/The Red Flower of Tachai Blooms Everywhere/Clocks - The Angel of Mons
●AT THE EDGE OF LIGHT(3曲)・Under the Eye of the Sun/Fallen Walls and Pedestals/Beasts in Our Time【第二部】●SELLING ENGLAND(完全再現)
・Dancing With the Moonlit Knight/I Know What I Like/Firth of Fifth/More Fool Me/The Battle of Epping Forest/After the Ordeal/The Cinema Show/Aisle of Plenty ●その他・Deja Vu[GENESIS REVISITED]/Dance On A Volcano[A TRICK OF THE TAIL]
・アンコール:Myopia/Slogans/Los Endos(メドレー)……と、このようになっています。数ヶ月前の『ESSEN 2019』から変化はなく、第一部は『AT THE EDGE OF LIGHT』の新曲で現役感をアピールしつつ、40周年を迎えたソロの名盤『SPECTRAL MORNINGS』から「The Ballad of the Decomposing Man」「Lost Time in Cordoba」以外の全曲をフィーチュア。そして、第二部では『SELLING ENGLAND BY THE POUND』を完全再現しつつ、さらに「Deja Vu」「Dance On A Volcano」を追加している。「Deja Vu」のみGENESISではない……と思いきや、この曲は『SELLING ENGLAND』時代に書かれていたものであり、むしろ名盤再現に「+α」の拡張する役目を担っている。「ソロの第一部/GENESISの第二部」という色分けがハッキリしているだけでなく、ソロ/GENESISの両編でも狙いのアルバムが絞り込まれている。さまざまな趣向が試されてきた“GENESIS REVISITED”シリーズでも、飛びきり完成度の高いコンセプチュアルなショウなのです。このところ来日公演も恒例となってきていただけに、今回もぜひ実現して欲しい。その願いが渇望に変わる素晴らしいショウなのです。その最新ステージを端正で美しいオーディエンス・サウンドで体験できる1本。
Live at Ridgefield Playhouse, Ridgefield, CT, USA 26th September 2019 TRULY PERFECT SOUND
Disc 1(71:17)
1. Intro 2. Every Day 3. Under The Eye Of The Sun 4. Fallen Walls And Pedestals 5. Beasts In Our Time 6. The Virgin And The Gypsy 7. Tigermoth 8. Spectral Mornings 9. The Red Flower Of Tachai Blooms Everywhere 10. Clocks / The Angel Of Mons 11. Dancing With The Moonlit Knight
12. I Know What I Like (In Your Wardrobe)
Disc 2(73:39)
13. Firth Of Fifth 14. More Fool Me 15. The Battle Of Epping Forest 16. After The Ordeal 17. The Cinema Show 18. Aisle Of Plenty 19. Deja Vu 20. Dance On A Volcano 21. Myopia/Slogans/Los Endos
Steve Hackett - guitar, vocals Jonas Reingold - bass, 12-string guitar, vocals Roger King - keyboards Rob Townsend - windwinds, percussion, keyboards Criag Blundell - drums, vocals Nad Sylvan - vocals, percussion