
以前「ATLANTIC CITY 2006」をリリースした時にも痛感させられたことですが、この年のツアー終盤におけるローリング・ストーンズの勢いは格別でした。ましてや11月の演奏たるや最強レベル。そんな魅力をマニアに再認識させたのが先のタイトルでしょう。これがリリースされた際にも述べた事実として、それほどまでに脂がのったステージングが披露されていた一方でアイテムの数が極端に少ない不遇の時期だったという。もちろん映画「SHINE A LIGHT」という決定的な存在がある訳ですが、その撮影という重責を終えた後で伸びやかな名演を連発していた時期だからこそ、素晴らしさを伝えてくれるアイテムが少ないのがもどかしい。そんな名盤「ATLANTIC CITY 2006」から二年、再び新たな名演がリリースされます。今回初登場となる2006年11月のステージは22日のドジャー・スタジアム。今まで一切のアイテムが存在しなかった日です。この音源ですが、恐らくはテーパーがノリノリなままで録音を続けていたのでしょう、微妙に音が左右に揺れる点が玉に瑕。そのせいでヘッドフォンよりもスピーカー向けの再生を推奨したいところ。でも、だからといって「マニア向け」というレッテルが貼られてしまうような音質では(まったく!)ない。非常にクリアーな質感と鮮度は絶品で、ある程度オーディンス慣れした人なら大いに楽しめるもの。むしろ今まで一切のアイテムが登場しなかったことが不思議なほどのレベルですらある。そのリリースに当たり、今になってネット上に現れたオーディエンス録音をさらに高めるべくイコライズを加えています。さすがに音が左右に、なおかつ微妙に揺れてしまう問題はアジャストできませんが、全体を通して低音がドコドコ響いてしまう状態を緩和させた結果、全体のクリアネスが向上してより聞きやすくなったのです。それだけでも大きなアッパー感を保証しますが、元々オンなバランスだったミックのボーカルの輪郭がさらにクッキリ浮き上がり、さらに聞き込める状態へと生まれ変わっています。そして演奏や選曲など、全体を通して2006年11月のストーンズの魅力がたっぷり詰まっている。オープニングの「Jumping Jack Flash」からしてミックが「ガスガスガスガス!」と早口でまくし立てるほどの激しさ。それもそのはず、ドジャー・スタジアムでのショーは本来であれば17日に行われる予定だったものがミックの咽頭炎によって22日に仕切り直しで行われた(代わりにアトランティック・シティで17日に行われました)からなのです。そのことについて彼がさっそく謝罪しているほど。さらに11月ならではの「She Was Hot」は映画やアトランティック・シティに負けない演奏で、ここでも勢いに乗った素晴らしい出来映え。この名演に続いて披露された「Dead Flowers」では前座を務めたボニー・レイットが登場。二番で少し遅れ気味にリードボーカルをとったものの、彼女のハスキーボイスが曲にハマっていてイイ感じの共演となりました。問題は当時の新曲という扱いになる「Streets Of Love」。それが始まると周囲が一斉にお喋りを始めてしまう。いかにもアメリカのストーンズ・ショーにおけるオーディエンスの典型と言った光景がリアルに捉えられてしまった。これだからミックが新曲を演奏することに消極的になってしまうのだな…というドキュメント。彼が気持ちを込めて歌い上げている曲だけに、なおさらこの場面は残念。その後はストーンズ・クラシックが目白押しな展開によってオーディエンスも聞き入っており、キース・コーナーにおいて映画やアトランティック・シティと同様に「Connection」を演奏してくれている点が今となっては新鮮。現在のストーンズやキースが取り上げてくれるレパートリーだとは思えないので、なおさら貴重では。さすがにBステージの三曲になると音像がぼやけてしまうのですが、演奏は相変わらず気合が入っていて、なおかつ周囲が騒がしくなる。ところが「Streets Of Love」の時と違って大変ハッピーな盛り上がり。同じように当時の新曲であった「Oh No, Not You Again」ですら盛り上がる。この違いは何なんでしょうか(笑)。それに何と言っても「Start Me Up」から「Honky Tonk Woman」にかけて、いつもより演奏のスピードが二割増しになるという彼らの走りっぷりが最高。こうして今回もまた当時の絶好調ぶりが浮き彫りになった初登場音源。これだから2006年の11月のストーンズは面白い!
Live at Dodger Stadium, Los Angeles, CA, USA 22nd November 2006 PERFECT SOUND
Disc 1 (70:06)
01. Introduction 02. Jumping Jack Flash ★1:22「ガスガスガスガス!」03. It's Only Rock 'n Roll ★終演後、延期の謝罪 04. Let's Spend The Night Together 05. She Was Hot 06. Dead Flowers (with Bonnie Raitt) 07. Streets Of Love 08. All Down The Line 09. Midnight Rambler
10. Tumbling Dice 11. Band Introductions 12. You Got The Silver 13. Connection
Disc 2 (51:30)
01. Under My Thumb 02. Oh No, Not You Again 03. Start Me Up ★凄い演奏 04. Honky Tonk Women ★凄い演奏 05. Sympathy For The Devil 06. Paint It Black 07. Satisfaction 08. Brown Sugar