
エリック・クラプトンが主催する“CROSSROADS GUITAR FESTIVAL”に出演し、ジョニー・デップとの共演も話題となったジェフ・ベック。その傑作マトリクス・アルバムが登場です。そんな本作に収められているのは「2019年9月28日:ダラス公演」。そのALDサウンドボードと極上オーディエンス録音をマトリクスさせたライヴアルバムです。2019年のジェフと言えば、ロッド・スチュワートとの歴史的な再共演も話題となりました(その模様は当店の『HOLLYWOOD BOWL 2019』でもお楽しみ頂けます)が、“CROSSROADS GUITAR FESTIVAL”への出演はそれより少し前。まずは、今年の活動スケジュールからショウのポジションを確かめてみましょう。・9月17日:カンサスシティ公演・9月18日:タルサ公演・9月20日:CROSSROADS GUITAR FESTIVAL出演 ←★本作★・9月21日:オースティン公演・9月22日:サンアントニオ公演・9月24日:フェニックス公演・9月27日:ロサンゼルス公演(ロッド・スチュワートと共演)
これが2019年のジェフ。昨年はチェロも導入した新体制ツアーが行われましたが、今年もその体制を維持しつつ、ショウ自体は限定的。最終のロサンゼルス公演はロッドのソロ公演にゲスト参加するスタイルであり、ジェフ自身のショウは全6公演。そのすべてでジョニー・デップとの共演も実現し、本作の“CROSSROADS GUITAR FESTIVAL”もその一幕だったわけです。そんな特別なショウを記録した本作は、クオリティも特別。ALD音源とオーディエンス録音のマトリクスなのです。「ALD(Assisted Listening Devices)」とは、聴覚障害者のために座席に設置されたイヤホン音源のこと。サウンドボード音声が流されており、空間を一切介さないサウンドボード音声がライン録音できるわけです。ただし、ALDは通常のサウンドボードとはちょっと違う。イヤホン出力のために基本的にモノラルであり、現場でショウを観ながら聴くことが前提のため、サウンドもややドライになりがち。そのままでは家庭用オーディオの再生にはあまり向いていないのです。本作は、そんなALDのウィークポイントを補完するため、海外のマニアが極上オーディエンス録音をマトリクスさせたライヴアルバムなのです。そのオーディエンス録音もタダモノではない。名機「Schoeps mk4」が使用され、ステレオ感も鮮やかなら鳴りも絶品。まさにドライなALD音源を補足するのにピッタリな名録音なのです。実際、本作のクオリティは極上。全体のバランス的にはオーディエンス録音に重心が置かれているのか「いかにもサウンドボード!」という感じではありませんが、その空気感を極太の芯が貫き、ビビッドなディテールが見事に浮き立つ。しかも、オーディエンス・ノイズも極少で大喝采が遠く、それでいて広い。客録ならではの美世界に、サウンドボード的な鮮やかさが添加されたサウンドなのです。しかも、本作は話題のマトリクス・マスターをさらに細心マスタリングで磨き上げ。ナチュラルな感触は大切にしたまま、ALDの特性を最大限に活用。さらにトータルのバランスも整えました。実のところ、原音はところどころでマトリクスに甘さがあり、アンサンブルが複雑化すると芯と鳴りのシンクロしきれていなかった(ほとんどパートでは問題ありません)。もちろん、そうした甘さはマスタリングでは変えられないものの、本作ではなるべく違和感なく自然に聴き通せるように仕上げているのです。そのサウンドで描かれるショウは、意外で貴重なナンバーだらけ。いきなり20年ぶりの復活となる『WHO ELSE!』の「Space for the Papa」で意表を突きますが、そこからカバーの猛ラッシュ。ビーチボーイズの「Caroline, No」、ビリー・コブハムの「Stratus」、リンク・レイの「Rumble」、ジョン・レノンの「Isolation」と畳みかけるのです。そして、話題のジョニー・デップが登場するのは4曲目の「Rumble」から。最初はサイドギターですが、「Isolation」ではリード・ヴォーカルも担当。さらにデップの新曲「Heddy Lamar」や「Brush With the Blues」と、合計4曲で共演するのです。共演の豪華ぶりだけで目眩がしそうですが、データ的に見ても「Caroline, No」「Rumble」「Isolation」「Heddy Lamar」の4曲は2019年だけの激レア曲。本作はフェスだけに約40分のショート・セットではあるのものの、その中身は特濃にもほどがある。絶対必聴な演奏の数々を極上サウンドで体験できるのです。ジョニー・デップとのミニ・ツアーで2019年を終える予定のジェフ・ベック。短いだけになかなか満足できる記録がありませんでしたが、本作はやっと登場した極上レベルのライヴアルバムです。特別なショウを特別なマトリクス・サウンドで味わえる2019年の代表作。
American Airlines Center, Dallas, Texas, USA 20th September 2019 TRULY PERFECT SOUND(MATRIX:ALD+AUD ) (39:53)
1. Bill Murray Introduction 2. Space for the Papa 3. Caroline, No 4. Stratus 5. Rumble (with Johnny Depp) 6. Isolation (with Johnny Depp) 7. Heddy Lamar (with Johnny Depp) 8. Brush With the Blues (with Johnny Depp) 9. Superstition (with Jimmy Hall) 10. Little Wing (with Jimmy Hall)
Vinnie Colaiuta - Drums Rhonda Smith - Bass Jimmy Hall - Vocal Vanessa Freebairn-Smith - Cello Guest Johnny Depp - Guitar, Vocal