リ・ワーク作『WITH FRIENDS FROM THE ORCHESTRA』をリリースし、オーケストラとの共演ツアーも始まったMARILLION。その現場を伝える最新オリジナル録音が登場です。そんな本作に収められているのは2公演。「2019年11月18日+19日ロンドン公演」。伝統の名会場“ロイヤル・アルバート・ホール(以後RAH)”で記録された極上オーディエンス録音です。現在、彼らはオーケストラ帯同ツアー“MARILLION WITH FRIENDS FROM THE ORCHESTRA LIVE 2019”を実施中ですが、予定されているのはそれだけではありません。その近況を知る意味でも、現在の活動状況からショウのポジションを確かめてみましょう。
●2019年・3月22日-4月28日:欧州#1(9公演)・5月17日-19日:北米(3公演)・5月31日-6月2日:欧州#2(3公演)◆11月1日-19日:英国(13公演) ←★ココ★《11月29日『WITH FRIENDS FROM THE ORCHESTRA』発売》◆12月6日-16日:欧州#3(6公演)
・12月20日:オックスフォード公演 ●2020年・3月27日:CRUISE TO THE EDGE参加 ※注:「◆」印はオーケストとの共演。「・」印はバンドのみ。これが現在までに公表されている2019年/2020年のスケジュール。6月まではバンドのみの通常ライヴを行っており、11月の「英国」ツアーと12月の「欧州#3」がオーケストラ共演。その後は通常スタイルの講演が予定されています。まだまだ先を断言するには時期尚早ですが、もしかしたらオケ共演は上記の19公演ですべてになるかも知れません。そんな中で、本作のRAH公演は「欧州」ツアーのハイライトとなる最後の2公演。RAHでは2夜連続のみであり、本作はその一部始終を完全収録しているのです。そして、そのクオリティがまた極上。当店では“英国の巨匠”でお馴染みの現地テーパーの作なのですが、彼にとってRAHは慣れ親しんだ自宅の庭。今回もそのノウハウが遺憾なく発揮されている……だけではない。実のところ、巨匠コレクションの中でもズバ抜けた傑作なのです。特に凄いのは初日(ディスク1-2)。現場の喝采やスネアの音色にオーディエンスらしさは刻まれていますが、それ以外に客録らしさがほとんどない。それもそのはず、初日の録音ポジションは最前列でして、距離感は物理的にない。オーケストラとの共演は演奏音が混ざって当たり前なところもありますが、本作はオケとバンドがクッキリとセパレートして聞こえ、その1つひとつが目の前に感じられるのです。2日目(ディスク3-4)はそこまでのビックリ感はないものの、これも普通ではない。確かにホール鳴りも拾ってはいますが、それもRAHだからこその気品に溢れ、演奏に厚みを与えつつも決してディテールを隠さない。むしろ、MARILLIONならではの幻想感やスティーヴ・ホガースのダンディな美声は2日目の方が美しく、オーケストラもダイナミックに感じられるのです。そんなサウンド以上に両日を大きく分けているのがセットリスト。彼らは日替わり曲の多いバンドとしても知られていますが、オーケストラまでその荒技には付き合えまい……と思いきや、見事に変えているのです。ここでその内容を2日分まとめて整理してみましょう。【両日で演奏された曲】●新作に収録されたレパートリー(3曲)・Estonia/Seasons End/This Strange Engine ●新作になかったレパートリー(2曲)・Gaza/Separated Out【1日だけ演奏された曲】
●新作に収録されたレパートリー(6曲)・初日(ディスク1-2):Beyond You/A Collection・2日日(ディスク3-4):Fantastic Place/Hollow Man/Ocean Cloud/The Sky Above the Rain ●新作になかったレパートリー(7曲)
・初日(ディスク1-2):Power/The New Kings/Man Of A Thousand Faces/The Space・2日日(ディスク3-4):You’re Gone/The Great Escape/Afraid Of Sunlight ……と、このようになっています。実にショウの半分以上が入れ替わられているだけでなく、新作『WITH FRIENDS FROM THE ORCHESTRA』に収録された全曲が2日間に分けられており、両日揃うことで新作の生演奏バージョンを楽しめる。それ以上なのが、新作に収録されなかったレパートリー。これらも見事にオーケストラ・アレンジが加わっており、「新作の続編」にもなっているのです。パート2をリリースする気なのかは分からないのですが、ここまでキッチリ作り込んでおいて、わずか19公演で終わらせたらもったいないにも程がある……。そんな余計なお節介まで脳裏をよぎる壮麗なコンサートなのです。また、ちょっと面白いのが初日の冒頭シーン(ディスク1)。開演に先立つアナウンスから収録されており、(恐らく)ステージ上に立つマネージャーと思しき人物が特別な講演の意義を語り、「携帯をポケットに入れてショウを楽しめよ!」と念押ししているのです。話題の共演コンサートのわりに某動画サイトにも映像が上がっていませんが、この前説の効果なのかも知れません。歴史的なオーケストラ共演ツアー“MARILLION WITH FRIENDS FROM THE ORCHESTRA LIVE”。新作の全曲を聴くにも2日以上は必須なわけですが、それを伝統会場ロイヤル・アルバート・ホールで味わえる。2日間の全貌を同一録音家の極上サウンドで丸ごと体験できる豪華4枚組。
Royal Albert Hall, London, UK 18th & 19th November 2019 ULTIMATE/TRULY PERFECT SOUND(from Original Masters)
Live at Royal Albert Hall, London, UK 18th November 2019 初日は最前列録音。空前絶後の超高音質。
Disc 1(56:54)
1. Stage Announcement 2. “Heroes”(Intro) 3. Gaza 4. Power 5. Beyond You 6. Seasons End 7. Orchestra Introductions 8. Estonia
Disc 2(68:12)
1. Steve Hogarth Introduction 2. A Collection 3. The New Kings 4. Band Introductions 5. Man Of A Thousand Faces 6. The Space 7. Separated Out 8. This Strange Engine
Live at Royal Albert Hall, London, UK 19th November 2019
Disc 3(79:02)
1. Gaza 2. Fantastic Place 3. You’re Gone 4. Seasons End 5. Orchestra Introductions 6. Estonia 7. Hollow Man 8. Ocean Cloud
Disc 4(60:00)
1. Steve Hogarth Introduction 2. The Sky Above the Rain 3. The Great Escape 4. Afraid Of Sunlight 5. Separated Out 6. This Strange Engine
Steve Hogarth - Vocals Steve Rothery - Guitar Mark Kelly - Keyboards Pete Trewavas - Bass Ian Mosley - Drums In Praise Of Folly: Margaret Hermant - Violin Maia Frankowkski - Violin Nicole Miller - Viola Annemie Osbourne - Cello Emma Halnan - Flute Sam Morris - French Horn