遂に始まってしまったKISS最後のジャパン・ツアー。その第一報となるオリジナル録音セットが登場です。そんな本作に記録されているのは「2019年12月11日:東京ドーム」公演。その一部始終を記録した絶品オーディエンス録音2種をセットした4枚組です。“END OF THE ROAD WORLD TOUR”は、今まさに列島を縦断中。あまりにもメモリアルな“今”を記録する意味でも、そのスケジュールの中でショウのポジションを確かめておきましょう。・12月8日:ゼビオアリーナ仙台・12月11日:東京ドーム ←★本作★・12月14日:盛岡タカヤアリーナ・12月17日:京セラドーム大阪・12月19日:ドルフィンズアリーナ
【DISC 1-2:RECORDER 1】
彼らにとって4年ぶり4度目の東京ドームとなったわけですが、その現場を捉えた本作は甲乙付けがたい完全録音の2本セット。「RECORDER 1」「RECORDER 2」をそれぞれディスク2枚ずつに配した4枚組です。そして、そのクオリティがまた絶品。まず登場する「RECORDER 1」ですが、これが実にパワフルな名録音。録音ポジションはBブロック前方でセンタード真ん中。それだけ近いだけあって芯が力強く迫り、ディテールまでハッキリ分かる。歌詞の1語1語もクッキリとしており、ボケボケになりがちな東京ドーム録音とは思えない。さらに端正でもあり、バンドが全力で鳴らしてもビビらず、オープニングで爆裂するパイロの爆音(音量に注意!)でさえ炸裂感が綺麗に捉えられているのです。その上で素晴らしいのが立体感。ド真ん中ポジションですから左右のステレオ・バランスが均整なのはもちろんですが、演奏音と大歓声のバランスも実に良い。Bブロック前方ということもあって遮蔽物のない演奏音が飛び込みつつ、万を数える大群衆のどよめきと大合唱は頭の後方に広がるだけで演奏との間に入ってこない。ドームらしからぬ聴きやすさを誇りつつ、それでいてドームならではの巨大スペクタクルにもシンクロできる名録音なのです。
【DISC 3-4:RECORDER 2】
文句なしの傑作「RECORDER 1」だけでも素晴らしいのですが、「RECORDER 2」も負けていないから驚く。これまたパワフルなド級録音なのですが、さらに凄いのはクリアさ。もちろん、東京ドームですからサウンドボードのような超ビビッドとはいかないわけですが、そのホール鳴りの中でエッジがギラリと“立って”いる。ギター・リフのピッキング、シャウトのキレ、ドラム1発1発のアタック音……すべての輪郭が引き締まっており、そもそも薄い鳴りを易々と食い破ってくる。中でも強力なのがジーンのベース。1音1音の立ち上がりがゴリゴリと硬質で、グルーヴはビンビン跳ねるような躍動感。擬音ばかりで恐縮ですが、「ブンブンと唸る」ではない。なぜかベースには鳴りもほとんど感じられず、ドームの広大な空間を支配するヴァイヴが「震え」として感じられる。東京ドームでココまでクリアな重低音は、ちょっと聞いた覚えがありません。「RECORDER 1」の均整感とは違いますが、こちらもまた類い希なる名録音なのです。
東京最後の大熱演】
そんな2つの名録音で描かれるのは、KISSの26回目にして最後となる東京公演。当店では“END OF THE ROAD WORLD TOUR”の開始直後から海外公演をレポートしてきましたが、改めてセットの内容を整理してみましょう。
●70年代(14曲)・KISS:Deuce/100,000 Years/Cold Gin/Black Diamond・HOTTER THAN HELL:Let Me Go, Rock'n'Roll・DRESSED TO KILL:Rock and Roll All Night・DESTROYER:Detroit Rock City/Shout It Out Loud/God Of Thunder/I Love It Loud/Beth
ROCK AND ROLL OVER:Calling Dr. Love・LOVE GUN:Love Gun・DYNASTY:I Was Made For Lovin' You ●80年代(4曲)・CREATURES OF THE NIGHT:War Machine・LICK IT UP:Lick It Up・ANIMALIZE:Heaven's On Fire・CRAZY NIGHTS:Crazy Crazy Nights
●再メイク時代(2曲+α)・PSYCHO CIRCUS:Psycho Circus・SONIC BOOM:Say Yeah!・その他:Sukiyaki ……と、このようになっています。膨大な名曲を生み出してきた彼らのライヴは常にグレイテスト・ヒッツですが、これこそが最終回答。『KISS』『DESTROYER』こそ厚めですが、他はすべて各アルバムから1曲ずつと幅広くセレクト。前回の東京ドームと比べても4年前には聴けなかった「Say Yeah」「Heaven's on Fire」「Calling Dr. Love」「100,000 Years」「Cold Gin」「Let Me Go, Rock 'N' Roll」「Crazy Crazy Nights」「Beth」といった美味しいナンバーが目白押しで、あらゆる時代の想い出が次々と吹き出してくるのです。そんなセットを綴る演奏もえらくパワフル。初来日を語るMCなど、長い長い想い出に思わずグッと来てしまうシーンもありますが、演奏そのものは最後とは思えない力強さ。想い出補正が必要な大ベテランも大勢いる中で、キレもパワーも「全然まだまだイケるじゃん」と思わせてくれるのです。1977年の日本武道館から42年。遂に終わりが来てしまいました。もちろん、大阪公演は今まさに開催中ですし、名古屋はこれから。でも、26公演を重ねた「東京のショウ」はもうないのです。ショウにはしみったれたところなど微塵もないのに、それでも溢れてくる感慨も押さえきれないライヴアルバム
Live at Tokyo Dome, Tokyo, Japan 11th December 2019 PERFECT/TRULY PERFECT SOUND(from Original Masters)
Recorder 1 Disc 1 (60:35) 1. Intro 2. Detroit Rock City 3. Shout It Out Loud 4. Deuce 5. Say Yeah 6. I Love It Loud 7. Heaven's on Fire 8. War Machine 9. Lick It Up 10. Calling Dr. Love 11. 100,000 Years incl. Drum Solo
Disc 2 (67:49) 1. Cold Gin 2. God of Thunder 3. Psycho Circus 4. Let Me Go, Rock 'N' Roll 5. Sukiyaki 6. Love Gun 7. I Was Made for Lovin' You 8. Crazy Crazy Nights 9. Black Diamond 10. Beth 11. Rock and Roll All Nite
Recorder 2 Disc 3 (60:38) 1. Intro 2. Detroit Rock City 3. Shout It Out Loud 4. Deuce 5. Say Yeah 6. I Love It Loud 7. Heaven's on Fire 8. War Machine 9. Lick It Up 10. Calling Dr. Love 11. 100,000 Years incl. Drum Solo
Disc 4 (74:51) 1. Cold Gin 2. God of Thunder 3. Psycho Circus 4. Let Me Go, Rock 'N' Roll 5. Sukiyaki 6. Love Gun 7. I Was Made for Lovin' You 8. Crazy Crazy Nights 9. Black Diamond 10. Beth 11. Rock and Roll All Nite