「ワタシハジーン・シモンズデス。アナタハ」「○○○○です」(DJ本人)と言う漫才みたいなイントロが最高の「ニューヨーク・レポート」第三夜。当時、洋楽ファンに絶大な人気を誇っていたラジオ番組「ヤング・ジョッキー」の1977年夏の大型特別企画、人気DJが同年7月にアメリカに渡り、観劇したコンサートをレポートするだけでなく、各会場で、アーチストのインタビューをも行い、連夜、一週間に渡って放送したという洋楽ラジオ番組に残る一大企画である、知る人ぞ知る「ニューヨーク・レポート」その第三夜目を収録(放送日は8月10日)。音質は最高クラスです。サンフランシスコからニューヨークへ飛んだDJ一行はMSGでピンク・フロイドとELPを観戦、7月13日のニューヨーク大停電に巻き込まれながらも、何とかカナダに辿り着きました。Love Gunツアー初頭のカナダ・ツアー4日目の8月14日のキッスと前座のチープトリックを観戦しており、それをレポートしていますが、ジーンのインタビューはニューヨークで行われています(おそらく7月7日ELPライヴの前では?*カナダツアーは翌日からスタートするため)。DJの通訳解説も入れると25分に及ぶ長いもので、Love Gunリリース直後のキッスの現状や今後の予定(次のライヴアルバムや4枚まとめてのリリースになるであろうと言うソロアルバムについてなど)等、盛りだくさんの内容がジーンの口から語られます。当時のジーンの心情がリアルな言葉で語られますが、何と言ってもメイク時代の絶頂期1977年。資料的価値も非常に高いものがあります。DJの多様な質問に、プロフェッショナルかつサービス満点、ステージ同様にショウマンシップの高い、流石の受け答えをするリアルタイムのジーンの言葉はどれも聴き応え満点。チープ・トリックは「In Color」リリース直前の時期。直接マネジメントからもらったというアルバムサンプルから(アルバムのタイトルすら決まっておらず、DJは「Cheap Trick 2」と言ってます)Hello There、I Want You To Want Me、Clock Strikes Tenが流れますが、これらの名曲をこの番組で初めて聴いた人も多かったのではないでしょうか。チープトリックは初来日「LIVE AT BUDOKAN」の約9か月前。DJの紹介がまず面白く「リーダーのリックと言う人はあれだけ見事な演出をしますし、あれだけのことをやるわけで、これはもう只者ではない、あのキャラクターは実はポーズで、本当は凄く知的な人に違いないと思ってインタビューを楽しみにしていたのですが、会ったら正真正銘ああいう人でありまして、困ったな~と言う感じなりました」(笑)等と言うコメントを当時のファンは音楽雑誌を片手にワクワクして聴き入っていたのではないかと思います。DJが観たオタワ公演はキッスもチープ・トリックもライヴは素晴らしかったのですが、PAの音が悪かったそうです。特にチープ・トリックはひどかったそうで、これにはメンバーも憤慨していた様子で、なんでもこの日はサウンドチェックをキッス側からやらせてもらえなかったそうで「今度、あいつら(キッス)が俺たちの前座になったらサウンドチェックはやらせないようにしてやる」等とDJに言っていたそうで、DJ曰く「本当にそんな日が来るかは分かりませんが」(笑)みたいなことをコメントしているのも最高です。このツアーではDJもチープ・トリックとは非常に仲良くなったらしく、ホテルの部屋までメンバーが訪ねてくれたり楽しい間柄になったことが語られています。本編とは関係ないですが、このディスクのみラストに夜10時のラジオニュースがそのまま4分間収録されており、故福田総理の東南アジア・マレーシア歴訪やソビエト共産党の機関新聞「プラウダ」の記事についてなど1977年夏らしいムードが感じられる放送をそのまま楽しむことができます。
1. Gene Simmons Intro 2. Love Gun * 3. DJ Talk 4. Parasite ** 5. Exclusive Interview with Gene Simmons 6. Then She Kissed Me * 7. Exclusive Interview with Gene Simmons 8. Got Love For Sale * 9. DJ Talk 10. Hello There *** 11. Exclusive Interview with Cheap Trick 12. I Want You to Want Me *** 13. DJ Talk 14. Clock Strikes Ten *** 15. Outro. 16. News * from "Love Gun" ** from "Alive" *** from "In Color"