
存在自体が激レアにしてマニアック。ちょっと普通じゃないオフィシャル作品がリリース決定です。そんな本作の中身は、1976年のカセット・テープ『BEST 16: クイーンのすべて』。日本だけでリリースされたコンピレーション・アルバムです。すでにピンと来ている方もいらっしゃると思いますが、かつて同シリーズ『ディープ・パープルのすべて』をご紹介したこともありますが、本作はそのQUEEN編です。本作は、まさに珍品。よくあるプロモ品ではなく定価2,800円で市販されていたオフィシャル商品。1978年にも再発された事がありますが、本作は1976年のオリジナル版で演歌カセットばりにデザインされたカタカナロゴも強烈なインパクト。初めてご覧になるコレクターの方もいらっしゃるのではないでしょうか。そして、その中身は『戦慄の王女』から『オペラ座の夜』までのベスト。セレクションも整理してみますと……A面(30:56)
・戦慄の王女(6曲):Keep Yourself Alive/My Fairy King/Liar/Modern Times Rock 'n' Roll/Son and Daughter/Seven Seas of Rhye・クイーンII(2曲):Father to Son/White Queen (As It Began)
B面(30:07)・クイーンII(2曲);Some Day One Day/Ogre Battle・シアー・ハート・アタック(4曲):Killer Queen/Now I'm Here/Flick of the Wrist/Lily of the Valley・オペラ座の夜(2曲):Love Of My Life/Bohemian Rhapsody ……と、このようになっています。ミックスではなく時系列に並んでいるのは良いとしても、そのセレクトは現在の感覚とはかけ離れている。『戦慄の王女』の半数以上が選ばれている一方で『オペラ座の夜』から2曲だけで「You're My Best Friend」も「’39」もなし。一応、当時のシングルは網羅している……かと思いきや「Seven Seas of Rhye」はデビュー作のインスト・バージョンだったりするのです。しかし、これこそが1976年の薫りでもある。現在のようにどの曲がライヴの定番かなど分かるはずもなく、ユーザーの人気も何となくの感覚でしか知りようがない。そんな時代のレコード会社スタッフが自分の好みとカンだけで選んだであろう不思議感覚が溢れ出すのです。そして、その感覚が一層深くなるのがサウンド。DEEP PURPLE編ではCDを遙かに超える想定外の極上サウンドでビックリしましたが、本作はそういうわけではない。ただ、その感触が極めて懐かしい。ややウォームな鳴りと鋭すぎないエッジ、どこまでもナチュラルな質感。テープの保存状態が良いせいか、甘露のような甘みあるサウンドが全編艶やかに流れ出すのです。この何とも言えない懐かしさ。ライヴ盤や通常ベスト盤の似たり寄ったりな選曲とは違うセレクションと、現代のCDでは決して味わえないアナログ感満点のサウンド。鼻腔を郷愁がくすぐる感覚自体が新鮮ですらあるのです。現代でも高音質を求めてアナログ盤に手を出すことは多々ありますが、それだけがアナログの旨みではない。QUEENの名曲群に載って、こづかいをはたいて買ったカセット・デッキを抱え込むようにして聴いていた“あの日々”が甦る。音楽が持つ「時間を超えるチカラ」を体感できる1枚。
Taken from the original Japanese cassette (Elektra, YLA1016E) *officially released only in Japan 1976(ワーナーの正規版です。)(61:10)
Side One 1. Keep Yourself Alive 2. My Fairy King 3. Liar 4. Modern Times Rock 'n' Roll 5. Son and Daughter 6. Seven Seas of Rhye (Inst.) 7. Father to Son 8. White Queen (As It Began)
Side Two 9. Some Day One Day 10. Ogre Battle 11. Killer Queen 12. Now I'm Here 13. Flick of the Wrist 14. Lily of the Valley 15. Love Of My Life 16. Bohemian Rhapsody