
今回さらに期待が高まるのが「69RSTRAX」で日の目を見たMSG二日目のサウンドボード録音。そこでは都合二回のステージが行われましたが、中でもファーストショーはオーディエンス録音が存在せず、オフィシャル「GET YER YA-YA'S OUT」と映画「GIMME SHELTER」に採用されていたテイクでしか垣間見られない、言うなれば幻のステージ。それが遂に「69RSTRAX」によって「GET YER YA-YA'S OUT」(以下「GYYYO」と称します)用サウンドボード録音が発掘された訳ですが、こちらの回は残念ながら不完全収録。これはストーンズ側がセカンドショーと前日を本チャン・レコーディングとし、間に位置するこのショーを予備レコーディングに充てた結果なのだと推測されます。もし今回の「69RSTRAX」リリースに際して意図的にカットしたとすれば、落とされた曲は著作権が消滅してしまう。このことからも28日ファーストショーは元から不完全な収録であると立証できます。とはいえ、そんな状態でも聞きどころは満載。オープニングからして「welcome to the breakfast show」という映画「GIMME SHELTER」で聞き慣れたミックの名文句からスタート。確かに28日のファーストショーなのだと実感させられます。さらに「Sympathy For The Devil」は「GYYYO」に採用された名演ですが、そこではミックのボーカルが差し替えられていた上、「ケネディ」パートがカットされた短縮版だったのは有名。しかし同アルバムのラフミックスを収めた所謂アップル・アセテートは別の箇所がカットされた代わりに「ケネディ」パートが残っており、ここから移植して疑似完全版に仕立てたのが名作「GET YER YA-YA'S OUT! COMPLETE EDITION」でした。そして今回はミックのオリジナル・ボーカルな上で遂にコンプリートな「Sympathy For The Devil」が聞けるのです!面白いことに「Stray Cat Blues」から音声がステレオに切り替わるのですが、それだけではありません。ここだけ既に「GYYYO」用にミックのボーカルが差し替えられた状態となっているのです。とはいえまだまだラフなもの。それはアップル・アセテートのラフミックスとも状態が違っていて、ここではミックのボーカルが左寄りとなっています。先の理由から録音が一旦ストップさせられてしまうのですが、再開して捉えられた「Under My Thumb / I'm Free」のメドレーがこれまたステレオ・サウンドボードにて聞けてしまうのも非常に魅力的。それでいて「GYYYO」40周年エディションに収録された前日のテイクとはまったく違った雰囲気。非常に荒々しい雰囲気で演奏が始まるのがまた魅力的でしょう。この後「Satisfaction」は「GYYYO」40周年エディションのバージョンそのものが「69RSTRAX」に収録されているのですが、そのことから40周年エディションのワークテープを今回のリリースで使い回したという推測も可能かと。そして最後の「Street Fighting Man」に関しては古の名盤「A SHOT OF SALVATION」にて既にラフミックスかつミックのオリジナル・ボーカルという状態が発掘されていましたが、今回も基本的に同じ。ところが定位がそれと逆になっており、キースが右でテイラーが左という今回のバランスを好ましく感じる方が多いのでは。一方、セカンドショーはオーディエンス録音が出回ってはいたものの、前日より音質が劣り、何より途中からテープの回転が不安定に陥るという大きなストレスがあったもの。それだけに全編モノラルながらもコンプリートかつ素晴らしい音質のサウンドボードで聞けるという喜びは計り知れないものがある。ショーは「everybody ready? for the next band」という「GYYYO」でも聞き慣れたサム・カトラーの台詞からスタート。オープニングの「Jumping Jack Flash」からストーンズは絶好調で、演奏のクリアネスが俄然アップしたサウンドボードですと、鮮烈なまでに勢いが伝わってくる。「Sympathy For The Devil」は毎回のステージで平然と超絶技巧を見せつけるテイラーを前にキースが奮起したのか、彼がテイラーを上回らんばかりの激しいフレーズを弾きまくってくれる。こうした白熱の場面も例のオーディエンス録音からは伝わってこなかった。逆にオーディエンス録音において生々しいほど周囲の騒がしさが捉えられていた「Love In Vain」ですが、サウンドボードになっても相変わらず騒がしい。しかしファーストショーで同曲は収録されず。これほどひどくなくとも、やはり前日も演奏中に騒がしかったことから、観客が演奏を聞き入ってくれたバルティモアのテイクをライブアルバムに採用したのは賢明な判断であったことが解ります。そのオーディエンス録音で大きなストレスとなっていた回転の狂いが始まっていた「Under My Thumb」(この日から「I’m Free」なし)も、それとは比べ物にならないほどの安定感とクリアネスで聞き込める。おまけに「GYYYO」でおなじみミックの「Charlie's good tonight, isn't he?」という台詞がこの回の「Honky Tonk Women」の前だったことも実感(オーディエンス録音はコノ場面が欠けてました)できて新鮮なことこの上ない。そして「GYYYO」ではミックがアツく歌ってキースがハモりまくってた(笑)「Live With Me」も遂にライブならではのルーズさが冴えるオリジナル・ボーカルで聞けるようになりました。何よりオーディエンス録音の方はこの曲の頃になるとテープがグニョグニョになってしまい、もはや音楽を聞くレベルですらなかったことを考えると、こうしたサウンドボード抜群のクリアネスで楽しめるだなんて本当に夢のよう。そうしたライブアルバムや映画の元になったというだけでなく、1969年アメリカ・ツアーの中でもずば抜けた名演であったMSGでの三ステージが遂にサウンドボードで聞かれるのです。不完全な28日ファーストショーですら聞き応えは十分ですし、セカンドショーにおける演奏中で唯一のカットである「Little Queenie」の欠損はオーディエンス録音にてしっかりアジャスト。
Madison Square Garden, New York, NY, USA 28th November 1969 SBD
Disc 1 (38:56) 1st Show 1. Intro. 2. Jumping Jack Flash ★音圧平均化 3. Carol 4. Sympathy for the Devil 5. Stray Cat Blues ★繋がりを考慮し大きく高音を抑えた地味目のイコライズ。 6. Under My Thumb ★音圧調整のみ / 冒頭を持ち上げました ★高音を抑えた地味目のイコライズ。
7. I'm Free ★高音を抑えた地味目のイコライズ。8. Little Queenie 9. Satisfaction ★少し高音を抑えた地味目のイコライズ。 10. Street Fighting Man ★多少ブライトな印象にイコライズ。
Disc 2 (69:30) 2nd Show 1. Intro. 2. Jumping Jack Flash ★音圧平均化 3. Carol 4. Sympathy for the Devil 5. Stray Cat Blues 6. Love in Vain 7. Prodigal Son 8. You Gotta Move 9. Under My Thumb 10. Midnight Rambler ★ 0:00 - 1:20 別ソースで補填 11. Live With Me
12. Little Queenie ★1:17 - 1:36 aud補填 13. Satisfaction 14. Honky Tonk Women ★冒頭繋がってないのでクロスフェード 15. Street Fighting Man SOUNDBOARD RECORDING