デイヴ・ムステインも在籍していたデビュー前METALLICAのデモ・アルバムがリリース決定です。極初期METALLICAのデモ音源と言えば、超名盤『NO LIFE 'TIL MEGAFORCE』が有名ですが、本作はそのボーナスとして大好評を賜ったもの。超名盤とは一切テイクか被らない秘宝のデモ・トラック集です。そもそも、極初期METALLICAのデモ事情は非常に複雑。一体どれくらいのテイクがあるのか見当も付かない方も多いのではないでしょうか。まずは、デモ情報の整理をしてみましょう。初期METALLICAのデモは、大きく3つがあります。ガレージ・デモ(1982年3月-4月)ガレージで録った練習や作曲リハなど
スタジオ・デモ(1982年7月/1983年3月) “NO LIFE 'TIL LEATHER”と“MEGAFORCE DEMO”の2種 ライヴ・デモ(1982年11月)『LIVE METAL UP YOUR ASS』のみ……と、このようになっています。【スタジオ・デモ】は、名盤『NO LIFE 'TIL MEGAFORCE』に総てがまとめられ、【ライヴ・デモ】は、ギフト・タイトル『LIVE METAL UP YOUR ASS』の1本でOK。本作は、残る【ガレージ・デモ】を総ざらいしたものなのです。そして、そのクオリティも過去最高峰。従来のデモ・ブートは、音源の出自を明らかにしていないものがほとんどで、クレジットがあってもピッチの狂いやジェネレーション違いまで別テイクと勘違いしていたり、酷いものではオフィシャルテイクの劣化版を収録しているものさえあります。しかし、本作は海外のデモマニアが最良と思われるテイクだけをチョイス(100テイク以上をリサーチしたそうです)。さらに正しいピッチで統一したベストバージョン集なのです!
【2ndプレス『METAL MASSACRE』の「Hit The Lights」】 本作を再生してまず登場するのは、公式コンピ盤『METAL MASSACRE』のセカンドプレス・テイク「Hit The Lights」。『NO LIFE 'TIL MEGAFORCE』に収録されたファーストテイクと違い、こちらは全編ムステインがリードを執っています。このテイクは収録データが明らかにされておらず、一般には(本作後半にも登場する)“POWER METAL DEMO”のテイクと言われていますが、それに異を唱えるマニアも多い。実際に聴いてみると、やはり“POWER METAL DEMO”とは明らかに異なり、“NO LIFE 'TIL LEATHER”テイクに近いようです。皆さまにも、この謎解きを楽しんでいただきたく、セカンドプレスLP(MW 6363)から復刻してトップ収録しました(ちなみに1994年に公式CD化されたのも同じテイクです)。
【WHISKEY AUDITION TAPE(2曲)】2曲目からは時系列、まずは“WHISKEY AUDITION TAPE”です。ジェイムズ・ヘットフィールド、ラーズ、ムステイン、マクガヴァニーの4人でラインナップを固めたMETALLICAは、1982年3月にライヴ活動を開始。彼らがSAXONの前座枠を求め、クラブ“Whiskey A Go Go”に売り込んだ際のテープです。NWOBHMバンドSWEET SAVAGEとSAVAGEのカバーで、彼らのルーツがビビッドに感じられるだけでなく、公式には再録音されていない名曲「Let It Loose」も非常にカッコイイ(祈・再録音!)。
【リハーサル・デモ(6曲・8テイク)】この頃のMETALLICAは、マクガヴァニーのガレージで練習を重ねながら自分たちの個性を模索していきます。4曲目以降は、そのリハーサル・練習風景を捉えたデモ。DIAMOND HEADのカバーや最初のオリジナル「Hit The Lights」「Jump In The Fire」も非常に初々しいバージョンで、まだまだ夜明け前。ジェイムズはヴォーカルに専念し、ギターは総てムステインです。曲順も(恐らく録音順であろう)オリジナル・カセットに準じており、楽器自体に慣れていく成長過程がたっぷり楽しめます。10曲目・11曲目は作曲セッション風景で、ここから音が格段に良くなります。メモするように口頭でリフを録音したり、アルペジオを奏でながら相談したり。歴史的な名曲群を生み出していく生の姿がリアルに記録されています。
【POWER METALデモ(4曲)】ここまでは1982年3月の録音ですが、残る4曲は4月録音。通称“POWER METAL”として知られるデモで、ジェイムズが再びギターを手にとっています。まだギターソロに手探り感が残りますが、たった1ヶ月で別人のように上達。この超速な成長はライヴ活動を経てさらに加速し、3ヶ月後の7月には歴史的な“NO LIFE 'TIL LEATHER”へと結実するのです。プロ・スタジオで録音された『NO LIFE 'TIL MEGAFORCE』と違い、ガレージ録音の本作は、いかにもデモらしいサウンドが万人向けとは言えません(特に前半)。しかし、だからこそ彼らのルーツ、素人だった当時の様子がダイレクトに伝わり、1テイクごとに上達し、曲が練られ、音も良くなっていく様もリアル。バンド経験のある方なら、思い出とリンクしてより一層METALLICAに親しみが湧くのではないでしょうか。こんなロマン溢れるのも(幾多のデモ・ブートとは違い)キチンと整理され、時系列で聴ける本作ならでは。本作→『NO LIFE 'TIL MEGAFORCE』→『KILL 'EM ALL』の順に聴けば、第一歩からデビューまでの歩みを伴走することもできる。その後、数々の革命を起こすMETALLICA、そして彼らを追撃することになるムステイン。音楽業界さえ変えてしまうヒーロー達の門出を、ぜひご自身の耳でお確かめください!
Demos recorded at Ron Mcgovney's Garage, CA. March / April 1982 (77:14)
"METAL MASSACRE" SECOND PRESSING VERSION 1. Hit The Lights "WHISKEY AUDITION TAPE" 2. Killing Time 3. Let It Loose "PRACTICE & REHEARSAL SESSION" 4. Hit The Lights 5. Sucking My Love 6. The Prince 7. Jump In The Fire 8. Helpless 9. Am I Evil ? 10. Jam
11. Ron & James' "Unfinished Song" "POWER METAL DEMO" 12. Hit The Lights 13. Jump In The Fire 14. The Mechanics 15. Motorbreath James Hetfield - Rythm Guitar(on 1 & 10-15), Vocals Dave Mustaine - Lead Guitar Ronald McGovney - Bass Lars Ulrich - Drums