音楽界に革命を起こし、27歳で夭逝したカート・コバーン。その短い人生で遺された貴重なデモ・アルバムが登場です。そんな本作に収められているのは、カートが自宅で録音したとされる秘宝デモテイク。まだNIRVANAが結成される前の19歳から亡くなる直前まで、全47テイク(+α)を2時間20分48秒に渡って集成したコンピレーション・アルバムです。製作したのはNIRVANA研究で知られる世界的なマニア。お馴染みのテイクもあるものの、すべて現存するベスト・テイクで選び直された最高峰コレクションです。それでは、それぞれ個別にご紹介していきましょう。
【DISC 1:1986年(15テイク+1テイク)】FECAL MATTERデモ『ILLITERACY WILL PREVAIL』まず登場するのは、カートがMELVINSのデイル・クローヴァーと結成したFECAL MATTERの伝説デモ『ILLITERACY WILL PREVAIL』。彼らは1985年の初頭に結成され、バズ・オズボーンやグレッグ・ホーカンソンも在籍したことで知られている伝説のユニット。正式な作品を残すことはありませんでしたが、1986年の感謝祭(恐らく3月30日)にはカートの叔母であるマリ・アールの家で4トラックレコーダーでデモを製作。それがこの録音です。このデモにはバズやグレッグは参加しておらず、デイルがベースも担当してカートと2人だけで録音。後にNIRVANAのレパートリーとなる「Spank Thru」「Downer」も演奏されており、この「Spank Thru」をクリス・ノヴォセリックが気に入ったことでNIRVANA結成にも繋がりました。リフデモ 当時19歳だったカートが遺したデモをもう1種。自宅で録音されたもので、カート独りがさまざまなリフのアイディアを記録したものです。
【DISC 1:1987-1988年(7テイク)】ディスク1の後半は、カートが20歳/21歳だった頃の自宅デモを7テイク集成。詳しい録音日までは判明していませんが、カートが独りでギターを弾きながら歌うもの。この時点で初期NIRVANAの雛形は出来上がっており、ボックス『WITH THE LIGHTS OUT』で発掘されたナンバーだけでなく、「About A Girl」「Polly」といった後のアルバム曲も演奏しています。
【DISC 2:1987-1988年(4テイク)】代わってのディスク2の冒頭は、ディスク1の続き。20歳/21歳の頃の自宅デモを4テイク収録しています。アコギをつま弾く「Black and White Blues」や「Creation」など、『WITH THE LIGHTS OUT』でも聴けない曲が美味しいデモです。
【DISC 2:1987年のSKID ROWデモ(14テイク)】ディスク2のメインとなるのはクリス・ノヴォセリック&アーロン・バークハートと合流しつつ、まだバンド名も流動的で“SKID ROW”と名乗っていた頃のデモ。カート独りの弾き語りもありますが、おおよそはトリオのバンド練習です。この頃になると、もう完全にNIRVANA。デビューシングルともなった「Love Buzz」を始め、初期のレパートリーが次々と披露されていく。「プレBLEACH」と言っても過言ではない14テイクです。そんな中でラストの「Gypsys, Tramps & Thieves」は『INCESTICIDE』『WITH THE LIGHTS OUT』でも聴けない曲。お遊び風ではありますが、当時のバンドを間近に感じられるレパートリーです。
【DISC 2:1990年『BLEACH』後の自宅デモ(2テイク)】いよいよ、彼らが次代の寵児となった90年代に突入。『NEVERMIND』の製作に入っていた1990年夏の「Verse Chorus Verse」と、1990年冬の「Pennyroyal Tea」デモを収録。前者はカートによる弾き語りで、後者デイヴ・グロールとのデュオで演奏しています。
【DISC 2:1991-1992年『NEVERMIND』後の自宅デモ(3テイク)】これまた『NEVERMIND』前後のデモ。アルバムが完成した1991年春から、世界がひっくり返っていた1992年秋に録音された3トラック。『WITH THE LIGHTS OUT』で発掘された「Old Age」の他、「Low Rider」や名前も定まっていない未発表曲を弾き語っています。
【DISC 2:1994年『IN UTERO』後の自宅デモ(1テイク)】さらに時代は進み、カート最晩年のデモ「Do Re Mi」も収録。やはりアコギによる弾き語りで、亡くなる数ヶ月前の歌声をホーム・レコーディングだからこその親密感たっぷりに味わえる秘宝テイクです。
【DISC 2:ボーナストラック(1988年)】自宅録音されたデモは以上ですが、本作はさらにボーナス・トラックも1テイク収録。まだデビューシングル『Love Buzz』も出ていなかった頃の貴重なCM「Capitol Lake Jam」です。以上、全48テイク。伝説ユニットFECAL MATTERから亡くなる直前の最晩年まで、カートの自宅レコーディングを集成した2枚組です。アルバムやライヴで感じられる時代の寵児ではなく、人間“カート・コバーン”を身近に感じられる秘宝の数々。それらを最高峰サウンドで体験できる銘品中の銘品です。
Demos Compilation 1986-1992
Disc 1 (69:35) Fecal Matter - Illiteracy Will Prevail Music Room, Earl Residence. Burien, WA, USA Easter 1986 TEAC A-2340 four-track recorder 01. Sound Of Dentage 02. Reefer Madness 03. Bambi Slaughter 04. Made Not Born 05. Are You Controlled 06. Punk Rocker 07. I Don't Want You
08. Anorexorcist 09. Accusations 10. Spank Thru 11. Insurance 12. Class Of '86 13. Blather's Log 14. Downer 15. Instrumental Kurt Cobain - Guitar, Vocals Dale Crover - Bass, Drums, Backing Vocals Cobain Residence, Aberdeen, WA, USA Early 1986 16. Riffs Kurt Cobain. Guitar / Vocals
Cobain Residence, Olympia, WA, USA 1987-1988 17. Polly [Mix #1] 18. Polly [Mix #2] 19. Seed 20. Clean Up Before She Comes 21. Beans 22. About A Girl 23. Escalator To Hell Kurt Cobain. Guitar / Vocals
Disc:2 (71:13) Cobain Residence. Olympia, WA, USA 1987-1988 01. Black and White Blues 02. Creation 03. Sappy 04. Seed [Alternate Mix] Kurt Cobain - Guitar / Vocals Skid Row Cobain Residence. Aberdeen, WA, USA Summer 1987 05. Love Buzz 06. Downer 07. Mexican Seafood
08. Pen Cap Chew 09. Spank Thru 10. Floyd The Barber 11. White Lace and Strange 12. Hairspray Queen 13. Annorexorcist 14. Unknown #1 15. If You Must 16. Unknown #2 17. Unknown #3 18. Gypsys, Tramps & Thieves Kurt Cobain - Guitar, Vocal Krist Novoselic - Bass, Vocal
Aaron Burckhard - Drums Cobain Residence. Olympia, WA, USA Summer 1990 19. Verse Chorus Verse Kurt Cobain - Guitar, Vocal Cobain/Grohl Residence, Olympia, WA, USA Winter 1990 20. Pennyroyal Tea Kurt Cobain - Guitar / Vocal Dave Grohl - Percussion
Cobain Residence. Olympia, WA / Los Angeles, CA, USA Spring 1991 - Fall 1992 21. Unknown 22. Old Age 23. Low Rider Kurt Cobain. Guitar / Vocal Cobain Residence. Seattle, WA, USA Early 1994 24. Do Re Mi Bonus: 25. 1988 Capitol Lake Jam [Commercial]
(For Capitol Lake Park, Olympia, WA. August 20, 1988 Performance)