2012年UK再編ツアーより、6公演目にあたる、5月8日フィラデルフィア公演を超高音質オーディエンス録音で完全収録。Alaskaでドラムが入ってからの3分30秒目のシンセリードを、最初の3公演では、オルガンで代用していましたが、本テイクでは通常通りシンセでメロディを奏でています(何故かつっかえつっかえ弾いています。)。荒れ狂うようなボジオのドラムは、その凄みを増しに増しており、キメが合おうが外そうが、ハードヒットで叩きまくる様は迫力満点で、ある意味、痛快ですらあります。超人的なヘヴィなバスドラプレイも凄い迫力。観客は熱狂的で2曲目のNight After Night終演後、嬉しい「UKコール」も聞こえます。この時期、連日のライブで、ウェットンのボーカルがツアー冒頭に比べ、お疲れモードではありますが、それでも各所でプログレ界ナンバーワンの味わい深い歌声はたっぷりと堪能することができます。ツアー冒頭程では無いにせよ、キメや拍の乱れは徐々に改善されてきてはいるものの、相変わらず、各所で凄まじいズッコケぶりも聞け、逆にそういったスリリングな部分も、この時期の楽しくも貴重な聴き所のように思えてきたりします。Thirty Years 終演後、観客が「バスドラが凄いな!」と会話しているのが聞こえます。最初のMCではジョブソンが「(フィラデルフィア)スペクトラムで演奏して以来33年振りだ。誰かそこにいた人はいるかい?」と言うと、観客が「俺はサウンドボード持ってるぜ!」とブート自慢のような掛け声で返します。「33年振りに帰ってこれて嬉しい」というジョブソンの言葉に観客は大喝采。ここで前年ツアーのように、世界中のファンがここに集まっていることを、ファンの名前を連呼しながらのお馴染みのMCをします(今や懐かしい)。Carrying No Cross はツアー最初に比べるとかなりの進歩が伺えます。中間部の楽曲崩壊ぶりは凄まじいものの、逆にそれが異様な迫力を生んでおり、特にウェットンのベースのゴリゴリしたサウンドがクリムゾンみたいで、それがボジオの獰猛なドラムと相成って迫力満点。特に曲後半の盛り上がりは半端なく、観客も終演後大喝采とUKコールでバンドを称えます。ドラムソロは12分に渡るロングソロで、これを聴くだけでもライブを見る価値があります。録音された音の良さもあるのですが、ちょっと味わえない程に凄まじいプレイを最高音質で聴くことができます。まさに強烈の一言、これは凄過ぎです。代表曲がズラリと並ぶショウ後半は、ボジオも楽曲構成を良く理解しているようで、若干の甘さはあるものの、音数で聴き手を納得させてしまう(辻褄を合わせてしまう)のプレイは真骨頂の域に達しており、もうこのまま日本公演をやっても良いのでは、というレベルの好演奏を聴かせてくれ、聴き手を大満足させてくれます。まるでテリー・ボジオ・ショウみたいになっている2012年UKツアーですが、実際、ここまで凄い演奏はそうは聴け無いでしょう。あまりの迫力に、ショウ前半、熱狂していた観客が、後半、圧倒され押し黙って聴き入っているのが伝わってくるほどです。Caesar's Palace Blues 終演後の観客のヒステリックなリアクションぶりは凄いものがあります。本ツアーの目玉のひとつ、Fallen Angel はアンコールにクリムゾンの思い出MCと共に移動となっており、確かにしんみりとした美しい曲調は、狂乱の本編のアンコールとしては最適なトラックではあります。異様な迫力に満ちたThe Only Thing She Needsは本来のグルーブを感じさせる最良の2012年版に仕上がっており、3人のプレイが一丸となったベストテイク、まさに最高の演奏が聞けます。音質良し、内容良しで、大変、優れた超魅力的なライブを堪能できます。ウェットンのボーカルも最高です。
Live at World Cafe Live, Philadelphia, PA. USA 8th May 2012 TRULY PERFECT SOUND
Disc 1 1. Alaska 2. Night After Night 3. Thirty Years 4. MC 5. Rendezvous 6:02 6. Carrying No Cross 7. Keyboard Solo 8. Violin Solo 9. Drum Solo
Disc 2 1. Danger Money 2. Presto Vivace 3. In The Dead Of Night 4. Caesar's Palace Blues 5. MC(Memories of King Crimson) 7. Fallen Angel 8. The Only Thing She Needs
John Wetton - Bass, Vocals Eddie Jobson - Violin, Keyboards, Backing Vocals Terry Bozzio - Drums, Percussion