多彩な表情を見せたYES史においても、実演家としては実力派だった“90125 YES”。彼らが再集結した“TALK TOUR 1994”の新名盤が誕生です。そんな本作に収められているのは「1994年6月30日ミルウォーキー公演」。その極上オーディエンス録音です。“TALK TOUR”と言えば、サウンドボードの超名盤『DEFINITIVE MARYLAND HEIGHTS 1994』が象徴となっておりますが、本作はその翌日となるライヴアルバムでもあります。まずは、そんなショウがどんなポジションにあるのか。当時のワールドツアー全景から振り返ってみましょう。《3月21日『TALK』発売》
・6月18日-9月10日:北米(63公演)←★ココ★・9月14日-24日:南米(8公演)・9月30日-10月11日:日本(7公演)これが“TALK TOUR”の全体像。メインは夏の「北米」ツアーで、本作のミルウォーキー公演はその序盤。11公演目にあたるコンサートでした。そんなショウで記録された本作は、瑞々しくも美しい極上のオーディエンス録音。ホール鳴り成分も吸い込んではいますが、それが実に良い塩梅。リッチな厚みとコーラスの荘厳な降り注ぎ感を演出しつつ、そのド真ん中をキリッとした各楽器のアタック感が鮮やかに貫いてくる。クリス・スクワイアのゴリゴリしたラインもトレヴァー・ラビンの華々しいフレーズもキラキラとして感じられ、鳴りもくっきりとした輪郭は隠さない。ごく希に鳴りの厚みがアンサンブルのダイナミズムを引き上げるタイプの録音がありますが、本作はその見本なのです。そんなサウンドで描かれるのは、“90125 YES”でも最高と言われる“TALK TOUR”のフルショウ。実のところ、セットは前述した超名盤『DEFINITIVE MARYLAND HEIGHTS 1994』と酷似しているのですが、良い機会でもあるのでここで整理してみましょう。クラシックス(5曲)・サードアルバム:Perpetual Change/I've Seen All Good People・こわれもの:Heart of the Sunrise/Roundabout・危機:And You and I
90125 YES(13曲+α)・ロンリーハート:Hearts/Changes/Cinema/City of Love/Make It Easy/Owner of a Lonely Heart/Hold On・ビッグジェネレイター:Rhythm of Love・トーク:The Calling/I Am Waiting/Real Love/Where Will You Be?/Walls/Endless Dream
……と、このようになっています。独自にアレンジされた70年代レパートリーも美味しいですが、やはり注目は“90125 YES”のレパートリー。『ロンリーハート』『ビッグジェネレイター』の代表曲を濃縮しつつ、貴重な『トーク』ナンバーが盛りだくさんで、あの5人のエッセンスが1つのショウに濃縮されている。特に『トーク』の新曲群は貴重。「I Am Waiting」はYES Featuring ARWでも再演されましたが、それ以外の5曲はこのツアーだけの限定ナンバーであり、大曲「Endless Dream」「Real Love」はステージだからこそ、極上オーディエンスだからこそのスペクタクルで繰り広げられるのです。荘厳でありながらキャッチーでシャープな“90125 YES”。多彩に変化していったYES史でも特別な輝きを放っていた5人のフルショウを極上サウンドで現場体験できるライヴアルバムの大傑作です。“TALK TOUR”の入門には『DEFINITIVE MARYLAND HEIGHTS 1994』こそが最適ではありますが、YESは現場感によってスペクタクルを増すバンドであることも確か。サウンドボードでは味わえない現場サウンドだけの旨みと美しさ。
Live at Marcus Amphitheater, Milwaukee, Wisconsin, USA 30th June 1994 TRULY PERFECT SOUND
Disc 1(78:56) 1. Intro 2. Perpetual Change 3. The Calling 4. I Am Waiting 5. Rhythm of Love 6. Hearts 7. Real Love 8. Changes 9. Heart of the Sunrise 10. Cinema 11. City of Love
Disc 2(79:15) 1. Jam 2. Make It Easy 3. Owner of a Lonely Heart 4. Trevor Rabin piano solo 5. And You And I 6. Where Will You Be 7. I've Seen All Good People 8. Walls 9. Endless Dream 10. Hold On 11. Roundabout
Jon Anderson - Vocals Trevor Rabin - Guitars Chris Squire - Bass Tony Kaye - Keyboards Alan White - Drums