一時は復活の報が伝えられつつ、本格始動がないまま沈黙歴が16年にもなってしまったジョン・サイクス。そんな彼の最後の来日を記録した秘蔵のオリジナル録音が新発掘です。そんな本作に刻まれているのは「2004年4月17日:名古屋クラブダイアモンドホール」公演。その絶品オーディエンス録音です。2004年の来日と言えば、公式ライヴアルバム『BAD BOYS LIVE!』になっているだけでなく、当店では大阪公演の傑作『OSAKA 2004』もご紹介しています。本作も含め、まずは当時の日程でコレクションを整理してみましょう。・4月16日:大阪なんばHatch 『OSAKA 2004』
・4月17日:名古屋クラブダイアモンドホール ←★本作★・4月20日:SHIBUYA-AX・4月21日;川崎クラブチッタ 以上、全4公演。実のところ、公式盤『BAD BOYS LIVE!』には具体的な日程データがなく、4日間から製作されたようにクレジットされている。その中で本作は『OSAKA 2004』に続く2公演目のライヴアルバムです。そんなショウで記録された本作は、まさに極上。何しろ、録音したのは当店でお馴染みの名手“西日本最強テーパー”氏。そのオリジナル・マスターからダイレクトにCD化されているのです。実のところ、当時の“最強氏”はまだ自分の楽しみのためだけに録音しており、現在ほどの緻密なド密着感には至っていません。しかし、それはあくまでも音色のレベル。芯は極太ならダイレクト感もたっぷりで、「ゼロ距離」ではなく「近距離」という感じ。不思議なほど周囲の喧噪がない“最強氏”サウンドの原型はすでに出来上がっているのです。そんなサウンドで描かれるのは、ジョンのキャリアを総括したショウ。先述の通り、この来日は『BAD BOYS LIVE!』こそが象徴なのですが、公式盤はCD1枚に押し込んだ抜粋ライヴアルバム。それに対して本作はフルショウの一気貫通録音。ここでは比較しながら整理してみましょう。THIN LIZZY/WHITESNAKE時代(7曲)・THUNDER AND LIGHTNING:Cold Sweat/
Thunder and Lightning・ソロシングル:Please Don't Leave Me・SERPENS ALBUS:Bad Boys/Crying in the Rain/Is This Love/Still of the Night BLUE MURDER/SYKES時代(8曲)・BLUE MURDER:Billy(★)/Jelly Roll・NOTHIN' BUT TROUBLE:We All Fall Down/She Knows(★)
・OUT OF MY TREE:I Don't Wanna Live My Life Like You・20TH CENTURY:Cautionary Warning(★)/Defcon 1(★)/Look in His Eyes ※注:「★」印は公式『BAD BOY LIVE!』でも聴けない曲。……と、このようになっています。さすがにTYGERS OF PAN TANGはありませんが、THIN LIZZYからSYKESまでの名曲が濃縮。特に美味しいのはWHITESNAKE時代の名曲でしょう。それまでの来日では「Still of the Night」程度に抑えられてきたわけですが、2004年には一気に解禁。ジョンのオリジナルではない「Crying in the Rain」まで取り上げられています(もちろん、あのソロを生み出したジョンには十分以上に資格があるでしょう)。また、『20TH CENTURY』の「Cautionary Warning」「Defcon 1」も美味しい。後期SYKESはTHIN LIZZYテイストをジョン流に料理したアップテンポ・ナンバーが量産されましたが、本来映えるはずのライヴの機会は非常に少ないまま沈黙してしまいました。本作は、そんな貴重な生演奏を極上サウンドで味わえる。実際、軽快なビートはライヴで一層パワフルに躍動し、キャッチーなメロディが会場をグイグイと引っ張っていく。ジョンも諦めることなく、もっとライヴ活動に邁進していたら広く愛されたかも知れない……そんな妄想にも駆られる素晴らしいショウなのです。16年前の春を最後に新作も来日も実現していないジョン・サイクス。本作はその乾きを癒してくれる……どころか、さらに恋しくなってしまう罪作りなライヴアルバムです。心掻き立てる名曲群と、トロけさせるブラック・ビューティの響き。
Live at Diamond Hall, Nagoya, Japan 17th April 2004 PERFECT SOUND(from Original Masters)
Disc 1 (41:22) 1. We All Fall Down 2. Cautionary Warning 3. Billy 4. Band Introductions 5. Bad Boys 6. Cold Sweat 7. Crying in the Rain 8. Drum Solo 9. Jelly Roll
Disc 2 (49:36) 1. She Knows 2. Defcon 1 3. I Don't Wanna Live My Life Like You 4. Is This Love 5. Look in His Eyes 6. Still of the Night 7. Please Don't Leave Me 8. Thunder and Lightning
John Sykes - Guitar, Vocal Marco Mendoza - Bass Tommy Aldridge - Drums Derek Sherinian - keyboards