
新たなサウンドと共に90年代最後のビッグ・ツアーに臨んだ1997年のボウイ。その現場を伝える新たなるマスター・ピースが登場です。そんな本作に収められているのは「1997年10月3日フィラデルフィア公演」。その極上オーディエンス録音です。本作最大のポイントはサウンド・クオリティと素晴らしい現場感の奇跡的な両立にあるのですが、まずはショウのポジション。50歳を迎えてまずます精力的に世界を巡ったツアー全体像から振り返ってみましょう。《2月3日『EARTHLING』発売》・5月17日-6月5日:ウォームアップギグ(4公演)・6月7日-8月14日:欧州(46公演)
・9月6日-10月23日:北米(29公演)←★ココ★・10月31日-11月7日:南米(5公演) これが“EARTHLING TOUR”の概要。ボウイの人生で二度だけだった南米レッグも実現したワールド・ツアーでしたが、本作のフィラデルフィア公演はその前の「北米」レッグ。その18公演目にあたるコンサートでした。そんなショウで記録された本作は、瑞々しくも麗しい極上のオーディエンス録音。再生すると盛大に盛り上がる現場ムードが吹き出すのですが、そこからもう美しい。通常「オーディエンス・ノイズ」と言われるくらいで、観客の声や熱狂はノイジーに捉えられるものですが、本作は声援の一声一声まできめ細やかで暖かい。大音量で流していても嫌味がないのです。もちろん、いかに美しかろうと歓声があくまでオマケ。録音の端正さを証明しているに過ぎません。そんな熱狂に迎えられたボウイが「Good evening」の一言共に登場し、「Quicksand」を歌い出すやその美音ぶりに目眩がする。熱く厚い喝采の中をアコギ1本と歌声だけが貫かれるのですが、その芯には距離感など微塵もなく、ディテールまでクッキリと耳元に流れ込む。その歌声に歓喜した会場の声援は相変わらず凄いのですが、それでも邪魔されない力強さ……。何と言いますか、まるで公式CDにぶ厚い大歓声をオーバーダブしているようなバランス。それでいて、フェイク演出ではあり得ないリアリティに充ち満ちている。そして、バンドが入ってくるとさらに素晴らしい。あまりにパワフルなためにバスドラの打音ピークが歪みそうでビビらない……そんな寸止めのパワフルさで厚い熱狂も制圧する力強い美録音なのです。そんな美と迫力とスペクタクルを併せ持ったサウンドで描かれるのは、名曲ラッシュに歓喜するフルショウ。“EARTHLING TOUR”の北米レッグと言えば、極上サウンドボードも多数発掘されており、特に本作の12日後となる“10月15日”に録音された名盤『NEW YORK MAN』は象徴的な人気を博してもいます。ところが、本作はあの大名盤でも聴けないレパートリーが大量に演奏されている。ここで比較ながらセットを整理してみましょう。【NEW YORK MANでも聴けた曲】70年代/80年代(8曲)・アラジンセイン:The Jean Genie/Panic In Detroit・SANTA MONICA '72:I'm Waiting For The Man/My Death・Stay『ステイション・トゥ・ステイション』/Always Crashing In The Same Car『ロウ』/
Fashion『スケアリーモンスターズ』/Under Pressure 90年代(6曲)・アウトサイド:Hallo Spaceboy・アースリング:I'm Afraid Of Americans/Seven Years In Tibet/Looking For Satellites/Little Wonder/Battle For Britain (The Letter)【NEW YORK MANで聴けない曲】
70年代/80年代(9曲)・The Supermen『世界を売った男』/Quicksand『ハンキードリー』/White Light/White Heat『モーションピクチャー』/Fame『ヤングアメリカンズ』/V-2 Schneider『英雄夢語り』/Look Back In Anger『ロジャー』/
Scary Monsters (And Super Creeps)『スケアリーモンスターズ』/O Superman/All The Young Dudes 90年代(4曲)・アウトサイド:Outside/Strangers When We Meet/The Heart's Filthy Lesson・アースリング:The Last Thing You Should Do ……と、このようになっています。このショウでは27曲も披露されるのですが、その約半分が『NEW YORK MAN』で聴けないレパートリー。いかに当時多彩なショウを行っていたのかがよく分かる。しかも、その中身も特濃。24年ぶりに復活した「The Supermen」、遂にステージデビューを果たした「Always Crashing In The Same Car」や「V-2 Schneider」、このツアーが最後となった「My Death」「Strangers When We Meet」、後にも先にもこのツアーでしか演奏されていない「Seven Years In Tibet」「The Last Thing You Should Do」「Looking For Satellites」「O Superman」等々など、幅広い貴重ナンバーを味わえる“EARTHLING TOUR”の旨みがたっぷり。しかも、これだけレア曲を演奏していながら、シラけるどころか一層歓喜する観客の素晴らしさ……。そんな真っ直中に立てるフル・ライヴアルバムなのです。海外マニアから「Fantastic setlist」と言われる美味しいショウと、その貴重ナンバーの数々に歓喜する現場のムード。その両方を極上レベルで味わえる希代のライヴアルバムです。単に貴重なのではなく、単に騒がしいわけでもない。ディープなボウイ愛に囲まれて名曲に浸りきれる素晴らしい音楽体験盤。
Live at Electric Factory, Philadelphia, PA, USA 3rd October 1997 TRULY PERFECT SOUND
Disc 1 (77:45) 1. Quicksand 2. Always Crashing in the Same Car 3. The Supermen 4. I'm Waiting for the Man 5. My Death 6. Band Introductions 7. Outside 8. The Jean Genie 9. Panic in Detroit 10. I'm Afraid of Americans 11. Look Back in Anger 12. Seven Years in Tibet
13. The Last Thing You Should Do 14. Strangers When We Meet 15. Fashion 16. Looking for Satellites
Disc 2 (79:39) 1. Under Pressure 2. Stay 3. Hallo Spaceboy 4. Scary Monsters (and Super Creeps) 5. Little Wonder 6. Band Introductions 7. Fame 8. Battle for Britain (The Letter) 9. V-2 Schneider 10. The Hearts Filthy Lesson 11. White Light/White Heat 12. O Superman
13. All the Young Dudes David Bowie - vocals, guitar, saxophone Reeves Gabrels - guitar, backing vocals Gail Ann Dorsey - bass guitar, vocals, keyboards Zack Alford - drums, percussion Mike Garson - keyboards, backing vocal