ギターがロバート・スミスからジョン・バレンタイン・カルーザスにスイッチし、新たな世界を切り拓かんとしていた1985年のSIOUXSIE AND THE BANSHEES。その時代に発生したスージーが激怒する事件ショウを伝える貴重なオリジナル録音が登場です。そんな事件の現場になったのは「1985年11月5日ノッティンガム公演」。本作は、その現場で一部始終を記録した極上オーディエンス録音です。本作最大のポイントは素晴らしすぎるサウンドと、一触触発のムードにあるわけですが、もちろんショウ自体も超重要。当時の彼女らはメンバーチェンジだけでなく、独特な民族的サウンドからギター・オリエンテッドなアグレッションを獲得していった転換期。微妙な時期の違いも重要ですので、当時のスケジュールからショウのポジションを確かめておきましょう。1984年・3月22日-31日:欧州#1(8公演)《ロバート・スミス離脱→ジョン・カルーザス加入》《6月8日『HYANA』発売》・6月8日-25日:英国#1(13公演)
・7月4日-14日:北米(8公演)・11月9日-28日:欧州#2(11公演)1985年・4月10日:ロンドン・7月9日-8月11日:欧州#3(11公演)《9月『TINDERBOX』完成》・10月5日-11月28日:英国#2(34公演)←★ココ★
【貴重なジョン・カルーザス時代の極上ライヴアルバム】これが1984年/1985年の歩み。『HYANA』発売と前後してカルーザスを獲得したスージーはロードに出発。翌1985年には次作『TINDERBOX』の製作と平行させながらツアーを続行させました。本作のノッティンガム公演は、そんな1985年の終盤。『TINDERBOX』完成を完成させつつ、まだ発売には至っていなかった「英国#2」の21公演目にあたるコンサートでした。そんなショウで記録された本作は、素晴らしくクリアな絶品オーディエンス。何しろ、本作をモノにしたのはかの名匠“Crazy S.”氏。彼のオリジナル・カセットからダイレクトにCD化された銘品なのです。しかも、1985年/1986年と言えば、“Crazy S.”氏の最盛期。常にアヴェレージの高い名匠ではありますが、この時期にほとんど波がなく聴けども聴けどもすべて名録音。ハズレが1本もないという奇跡の時代でした。実際、本作も最盛期の奇跡ぶりを音で証明するもの。サウンドボードと間違えるド密着感ではありませんが、かと言って遠さも感じない。骨太な芯が真っ直ぐ手元に飛びこみ、ディテールまでクッキリ。盛大な盛り上がりも吸い込みつつも妙に遠く、骨太な演奏や歌声との間に張り込まない。距離感ゼロではないとは言え、安定感と密度もたっぷりの演奏に全身を浸せる美録音なのです。そんなサウンドで描かれるのは、カルーザス時代の本生フル体験。彼のライヴというと公式盤『AT THE BBC』に20テイクほど収録されているのが代表的。もちろん、本作はBBCとは異なる一気貫通のフルショウであり、そこでは聴けない名曲もたっぷりです。ここでは『AT THE BBC』と比較しながらまとめてみましょう。
・THE SCREAM:Switch・KALEIDOSCOPE:Christine(★)/Happy House・JUJU:Night Shift/Arabian Knights(★)・A KISS IN THE DREAMHOUSE:Cascade(★)/Green Fingers/Melt!/Painted Bird(★)・HYANA:Dazzle(★)
・TINDERBOX:The Sweetest Chill/Cannons/Candyman/Lands End/Party's Fall(★)/92 Degrees/Cities In Dust・その他:Fireworks(★)/Israel(★)※注:「★」印は『AT THE BBC』収録のカルーザス時代テイクでは聴けない曲。 ……と、このようになっています。ただでさえ貴重なカルーザス時代THE BANSHEESですが、『AT THE BBC』では聴けない美味しいレパートリーも8曲に及ぶ。クラシックスにしてもカルーザスのギターによって『TINDERBOX』の世界観に染め変えられているのです。
【スージーがブチ切れてショウが止まる一触触発の事件現場】そのパフォーマンスだけでもお宝ですが、本作をさらに特別にしているのはスージーが激怒し、ショウも止まってしまうトラブル。事の起こりは3曲目の「The Sweetest Chill」が終わった辺り。どうも警備員がファンの入場を止めていたらしく、それを目撃したスージーが叫ぶのです。「おい、そこのネイビーブルーのジャンパーを着たヤツ、小賢しいことをするな!! みんなを止めるな。金は払ってるんだ!」その後、次曲「Cannons」を始めるのですが、やはり現場はモメているのか心ここにあらずな感じ。途中で突然「Fuck off!!」と絶叫し、曲が終わるや「警備員のアタマを私のところに持っておいで!」と怒りが収まらない。そして、続く「Melt!」では遂にショウを止める。1分ほど演奏したところで「Stop!」と叫び、まくし立てる。「おい、頼むから止めてくれ。私たちのコンサートを邪魔すんじゃねぇよ! Fuck off!!!!!」と、曲を止めてのブチ切れ。しばらくして「Melt!」をやり直し、その後は通常通りにショウが進むのですが、その歌声にはやはり怒りの滲むショウなのです。『TINDERBOX』を創り上げたばかりの貴重なジョン・カルーザス時代のショウを楽しめるだけでなく、突然のトラブルにも震撼する。その一部始終を全盛の“Crazy S.”サウンドで極上体験できてしまうライヴアルバムです。貴重度もクオリティも、そして内容まであまりにも事件な1本。
Live at Royal Concert Hall, Nottingham, UK 5th November 1985 TRULY PERFECT SOUND(from Original Masters)
Disc 1 (42:55) 1. Dazzle ★カットイン 2. Cascade 3. Green Fingers 4. The Sweetest Chill ★4分目 スージー怒る "Will that git in the navy blue jumper stop behaving like an officious little prick & let the Fuckin people move! They paid to get in...Piss off Postie!"
5. Cannons 1:28 "Fuck off!" "Bring me the head of a bouncer man!!" 6. Melt! (Stop) ★50秒目「Stop!」と言って演奏止めてから怒る "Oi, please stop interfering with our fucking concert! Fuck off !" 激怒!! 7. Melt! 8. Candyman 9. Lands End 10. Night Shift
Disc 2 (45:35) 1. Party's Fall 2. 92 Degrees 3. Christine 4. Painted Bird 5. Arabian Knights 6. Happy House 7. Switch 8. Cities In Dust 9. Fireworks 10. Israel Siouxsie Sioux - vocals John Valentine Carruthers - guitar Steven Severin - bass Budgie - drums, percussion