昨年春に突如登場し、その貴重かつ高品質な内容が評判を呼び、ロングセラーを続けている、1972年3月22日のロングビーチ・アリーナ公演の極上音質盤 「ABADDON'S TRILOGY」がCD化。マスターテープ・ダイレクトとの説明通りの、それまでの既発を一蹴する、当時のオーディエンス録音としては最上位 の高品質なサウンドで収録された1972年北米ツアー1st Legからの決定盤中の決定盤。しかも、それまではライブでは演奏されていないと言うのが定説だった「Trilogy」、そして貴重な 「Abaddon's Bolero」という、まさにレア中のレアの二枚看板がバッチリ高音質で収録された唯一のテイクということで、リリース当初から、「何故、このタイトルをリリースしないのか」と言う声が数多く寄せられた一枚でありました。理由は、「エマーソン&レイク」プロジェクト直後ということで、マネジメント が海賊盤に対して、相当神経質になっていた時期であり、歯痒い思いでいたことを記憶し ています。このたび、本レーベルは、海外コレクターより、更なる上位マスターを入手。既発Amity盤と比較して頂ければ、一聴して判りますが、その音色、クリアーな音質は、より自然で澄み切った音の印象を与えてくれる、完全大別格のマスター音源です。音が太く、そして異様なまでに近く、ファンは、この音で聴ける絶頂期ELPのステージにただただ、酔いしれてしまう事間違いありません!ヒスノイズも一切無く、それでいて過剰なイコライズ感など微塵も感じさせない、ウルトラ・ヴィンテージなサウンドはまさに最強・最高。イントロのオルガンのサウンドチェック音一発で、近年のAmity盤は勿論、過去の既発盤(「Trilogy By Trilogy」(BC))との音の違いは明白で、Hoedownが始まるやいなや、「これ本当に同じ音源?」と、あまりの音の良さに衝撃を受けること間違いなし。特にBC盤しか聴いたこと無い人は、「ジェネの違いでここまで音像・音質・印象、その全てがが変わってしまう」と言う事実に、改めて驚きを覚えるほどです。スケールの大きな分厚いサウンドで進行するこの時期の迫力満点の演奏は、やはりできるだけ良い音で楽しみたいところ。「Tarkus」ツアー のお定まりのセットに「Trilogy」アルバムからの新曲を加えることで変化を演出していた時期で、リリース前の「Karn Evil」のプロトタイプを組み込んでいた、1973年ヨーロッパツアーに近い感覚があります。ぶっとんだようなスピード感はまだありませんが、堂々としたテンポでドラマチックに演奏されるHoedownは、新曲でありながら、風格に満ちたムードを漂わせています。圧巻の完成度に満ちたTarkusの演奏の充実ぶりは本当に素晴らしいものがあり、ドラマチック・プログレの究極の演奏を楽しむことができます。やはりこの曲は、これくらいのスピードで演奏した方が良いことが判ります。既発同様に6:35のテープチェンジカットが残念ですが、音像は一定しており、聴き手にストレスを与えません。カールも落ち着いたリズムで叩いており、澄み切ったようなグレッグのボーカルも絶品。キースがビー!とシンセを鳴らしながら「昨日(3/21デンバー)初めてライブ披露した、まだイギリスでレコーディング中の新作から。ムーグ・シンセサイザーはワンノートしか出ないから、コード(和音)が弾けないんだ。だからテープレコーダーで録音したバッキングトラックを使って演奏する。Trilogy という曲だ。」とMC、Trilogy2度目となる、歴史的演奏がスタートします。前半のピアノパートはリリカルに進行、2:48で多重録音のムーグの音の壁が飛び出すと周りの観客が「Ohh」とエキサイトしているのが判ります。テープを流しながらの同時演奏という原始的手法ながら、独特の迫力は十分に再現しており、パワフルな音像は迫力満点。4:36付近のキメでバンドが混乱しますが、以降はなかなか上手くいっており、ボーカルパートも含め、アルバムでも聴ける独特の音色とアヴァンギャルドな色彩感を上手くステージで再現しています。後半のムーグソロも素晴らしい聴き所になっており、なし崩し的なエンディングも含め、一回聴いたら忘れられない程のスリリングな演奏を楽しむことができます。難曲をこなしたキースのリラックスムードのMCに続いては Take A Pebble組曲でこの時期の8分近いピアノソロは最高にいかした聴き所を演出してくれます。ディスク2冒頭には、シンセの試し弾きとキースの短めの紹介 に続き、またまたステージでの再現が難しいAbaddon's Boleroが演奏されます。これも本当に素晴らしい音で録音されていて嬉しいのですが、残念なのは3:14でカットが入る所です。ただしテープ反転は即時に行われたらしく欠損は最小で済んでますが、この貴重なテイクにカットは本当に残念!これも改めて録音していたテープを使用しているわけで、それらは曲後半に大爆発するわけですが、テープと実際の演奏のテンポが滅茶苦茶になってしまっており、「こりゃ無理だ」とさじを投げたのが良く判る演奏になっています。曲終演後の観客の一瞬の沈黙が妙に面白かったりします。「今の演奏は忘れてくれ」とばかりにさっさとスタートするPictures At An Exhibitionはうって変わって壮絶な演奏が堪能できます。安定したテンポで堂々と演奏するスケールの大きな演奏は最高で、1972年前半らしいドラマチックで切れの良いパフォーマンスを素晴らしい音質で堪能できます。オルガンもムーグもキレイに録れており迫力満点!アンコールのドラムソロ入り Rondoは後半の欠落が残念ですが、12分近い熱演を最後まで高音質で楽しむことができます。あまりに音が良いので、キースのグリスのキメが効いたこと無い程にスペイシーな音で録音されています。アンコールになっても、益々、音が良くなるのは本当に凄い事です。1972年春のツアーをここまで素晴らしい 高音質で収録されているだけも最高なのに、更にウルトラレアなTrilogy、Abaddon's Boleroの2曲が同日演奏され、それがこれ程良質な音で聴けるなんて、これはもう奇跡と言っても過言ではありません。実際、こんな凄いライヴCDがそ うあるものではありません。
Live at Long Beach Arena, Long Beach, CA. USA 22nd March 1972 TRULY AMAZING/PERFECT SOUND(UPGRADE)
Disc 1(54:30) 1. Intro 2. Hoedown 3. Tarkus 4. Trilogy 5. Take A Pebble 6. Lucky Man 7. Piano Improvisations 8. Take A Pebble (reprise)
Disc 2(35:36) 1. Abaddon's Bolero Pictures At An Exhibition 2. Promenade 3. The Hut Of Baba Yaga 4. The Curse Of Baba Yaga 5. The Hut Of Baba Yaga 6. The Great Gates Of Kiev 7. Rondo incl. Drum Solo