
マイケル・ジャクソンに見出された美しきギタリストを迎え、大名盤の続編『悪夢へようこそ:第二章』を送り出した2011年の帝王アリス・クーパー。サプライズ満載な特別公演を刻み込んだラジオ放送アルバムが登場です。そんな本作が記録されたのは「2011年9月15日ハリウッド公演」。そのFM放送音源です。先ほどから「放送放送」と言いつつ、「サウンドボード」とも「オーディエンス」とも言及していないのを訝しげに思われるかも知れませんが、実は理由がある。間違いなくラジオ放送された極上ライヴアルバムなのですが、その録音方式はマイク。局側スタッフが現場でオフラインで録音したものなのです。分類上は「オーディエンス録音」となるわけですが、そう断言するのを躊躇わせるのがサウンド。とにかく距離感もない極太な芯が耳元に届き、ディテールも超克明なのです。それはそうでしょう。音のプロであるラジオ局スタッフが放送のために録音し、個人所有の出来ない高級機を使い放題。しかも、アーティスト公認のために機材を隠す必要もなく、会場で一番良い場所に堂々と陣取って録れる。普段ならテーパー達が経験と工夫と努力とカンを駆使して何とかゲットする環境が、理想的に揃っているわけです。そのため、臨場感やリアリティはオーディエンス然としていながら、演奏音やヴォーカルの鮮やかさは客録の常識外。まさに「プロフェッショナル・オーディエンス録音」だからこその超リアル&高音質サウンドなのです。そのサウンドで描かれるのは、なんとオリアンティが加入したばかりの初日。その模様はネット販売された公式ライヴアルバム『NO MORE MR. NICE GUY LIVE!』シリーズにも残されていますが、この日はワールド・ツアーの一環というよりは、アルバム発売に伴う特別公演のカラーが強かった。その辺の事情を理解する意味でも、当時のスケジュールからショウのポジションを振り返ってみましょう。・3月10日-5月21日:北米#1(11公演)・5月26日-6月3日:南米(5公演)・6月7日-7月16日:欧州#1(16公演)←※公式
・8月5日-27日:北米#2(17公演)《8月29日:オリアンティ加入》《9月13日『悪夢へようこそ第2章』発売》・9月15日:ロサンゼルス公演 ←★ココ★・9月22日-10月7日:オセアニア/アジア(11公演)・10月12日-11月19日:欧州#2(28公演)←※公式・11月26日-12月14日:北米#3(14公演)
これが2011年の帝王アリス。オリアンティが加入したのは8月末で、すでに『悪夢へようこそ第2章』は完成済み。本作のハリウッド公演はツアー開始の一週間前であり、新作リリースの2日後に行われた特別公演。オリアンティのお披露目ステージでもありました。そんなポジション以上に特別感満点なのがレア曲やゲストが満載なショウの内容そのもの。オリアンティ時代のアリスと言えば、当店ではツアー初期のプロショット『SYDNEY 2011』が大人気。ところが、そこでは聴けない貴重曲もたっぷりと披露。ここで比較しながら整理してみましょう。70年代(9曲)・エイティーン:Is It My Body/I'm Eighteen
・キラー:Under My Wheels・スクールズ・アウト:School's Out・ビリオン・ダラー・ベイビーズ:No More Mr. Nice Guy/Billion Dollar Babies/Elected・マッスル・オブ・ラヴ:Muscle Of Love・悪夢へようこそ:Cold Ethyl その他(7曲)・トラッシュ:Poison
・悪夢へようこそ第二章:I'll Bite Your Face Off・カバー:Train Kept A-Rollin’(★)/Brown Sugar(★)/We Gotta Get Out Of This Place(★)/Break On Through(★)/Back Door Man(★)※注:「★」印は『SYDNEY 2011(Shades 1157)』で聴けない曲。……と、このようになっています。ツアー開始直前とあって、オリジナル曲はほぼ『SYDNEY 2011』と同じ。貴重なのは数々のカバー曲です。オープニングからタイニー・ブラッドショー(と言うかヤードバーズ)の「Train Kept A-Rollin’」が飛び出し、ストーンズの「Brown Sugar」やドアーズの「Break On Through」など、ロック・クラシックスの数々を披露している。こうしたレパートリーはHOLLYWOOD VAMPIRESを知る今でこそお馴染み感もありますが、アニマルズの「We Gotta Get Out Of This Place」やハウリン・ウルフ(と言うか、これもドアーズ)の「Back Door Man」は、HOLLYWOOD VAMPIRESでも演奏された事がないカバーです。そして、ゲスト共演。本作には2人のゲストが参加しており、1人目はドアーズのロビー・クリーガー。「Break On Through」「Back Door Man」の2曲でギターを弾いており、「もしドアーズにアリスが加入していたら」の妄想を現実化してくれるのです。もう1人はケシャ。当時は彼女のデビュー作『ANIMAL』が世界を席巻しており、まさに時の人。まさかアリスが彼女のダンスポップ曲を……ということは流石になく、野卑でセクシーなヴォーカルで「School's Out」に華を添えています。大名盤の続編に加え、美しい女性ギタリストの起用というコロンブスの卵的奇策で一気に復活を果たした帝王アリス・クーパー。その初日を放送局によるプロフェッショナルなリアル・サウンドで真空パックした傑作ライヴアルバムです。特別な経緯のサウンド、カバー満載の特殊なセット、意外な豪華ゲスト……。数あるアリス・コレクションでも他に類を見ないズバ抜けた特別感の1枚。ラジオ放送用にスタッフがマイク録音したもの。音質は極上。
Live at Whisky A Go Go, Hollywood, CA, USA 15th September 2011 ULTIMATE SOUND (79:25)
1. Intro. 2. Train Kept A-Rollin' 3. Under My Wheels 4. No More Mr. Nice Guy 5. Is It My Body 6. Brown Sugar 7. I'll Bite Your Face Off 8. Muscle Of Love 9. Cold Ethyl 10. We Gotta Get Out Of This Place 11. Billion Dollar Babies 12. Introduction of Robby Krieger ★ドアーズのロビー・クリーガー登場
13. Break On Through (with Robby Krieger) 14. Back Door Man (with Robby Krieger) 15. Poison 16. I'm Eighteen 17. School's Out (with Kesha) 18. Elected Alice Cooper - vocals Steve Hunter - lead guitar Orianthi - guitar Tommy Henriksen - guitar Damon Johnson - guitar (??)
Glen Sobel - drums Chuck Garric - bass Guests: Robby Krieger, Ke$ha