14年ぶりにしてスタジオ遺作となってしまった『A DIFFERENT KIND OF TRUTH』を発表し、満を持してワールド・ツアーに乗り出した2012年のVAN HALEN。その当時、衝撃のツアーをリアルタイム・レポートしていた傑作録音シリーズが特別復刻決定です。今回はツアー序盤ながら、徐々にエンジンが暖まって全力運転に入ってきた美味しい3作が同時リリースです!『DIFFERENT LIVE OF TRUTH』シリーズは、“A DIFFERENT KIND OF TRUTH TOUR”の極初期に登場した傑作音源をセットしてお伝えしてきた最新レポートだったもの。「いち早く最新アルバムのツアーが聴きたい!」という要望に応えたシリーズで「1公演でも多く、可能な限り早く」をテーマにしていました。次々に吹き出す録音から最上のモノをチョイスしており、そんじょそこらのCDタイトルとはケタ違いのサウンド・クオリティも誇っていました。本作は、そんな現場レポートの傑作シリーズ第5弾です。そんな本作に収められているのは2公演「2012年3月15日:モントリオール公演」「同年3月17日:トロント公演」。それぞれのフル録音2枚組をセットした4枚組です。シリーズ全体の舞台となった「北米」レッグのポジションは同時リリースの『DIFFERENT LIVE OF TRUTH I?』解説に譲り、ここではより詳しい日程でシリーズ各作品の関係を整理してみましょう。
・1月5日-2月8日:ウォームアップ(3公演)《2月7日『A DIFFERENT KIND OF TRUTH』発売》・2月18日:ルイビル公演 ←※『I(Disc 1-2)』『II(Disc 1-2)』・2月20日:オーバーンヒルズ公演 ←※『I(Disc 3-4)』『II(DVD)』・2月22日:インディアナポリス公演 ←※『I(Disc 5-6)』
・2月24日:シカゴ公演 ←※『II(Disc 3-4)』・2月28日+3月1日:ニューヨーク(2公演)・3月3日:アンカスビル公演 ←※『III(Disc 1-2)』・3月5日:フィラデルフィア公演 ←※『III(Disc 3-4)』・3月9日:バッファロー公演 ←※『IV(Disc 1-2)』
・3月11日:ボストン公演 ←※『IV(Disc 3-4)』・3月13日:マンチェスター公演 ←※『IV(Disc 5-6)』★3月15日:モントリオール公演 ←★本作DISC 1-2★★3月17日:トロント公演 ←★本作DISC 3-4★・3月21日:オタワ公演・3月24日:アトランティックシティ公演 ←※『VI(Disc 1-2)』
・3月26日:レディング公演 ←※『VI(Disc 3-4)』・3月28日:ワシントンD.C.公演 ←※『VI(Disc 5-6)』・3月30日:ピッツバーグ公演・4月1日:ローズモント公演・4月10日-6月26日:北米#2(31公演) これが2012年のVAN HALEN。このシリーズはアルバム発売直後を特集しており、上記の日程はその「北米#1」レッグを1公演ずつ詳しく記述したものです。これをご覧のように、シリーズ6作でほとんどのショウを押さえていたことがご理解いただけるでしょう。そんな中で本作の2公演は「北米#1」の折り返しを過ぎた12・13公演目。もちろん、折り返しとは言っても「北米#1」自体が前半戦ですから、いよいよバンドの全力運転が始まった一番美味しいタイミングでした。また、本作は数少ないカナダ公演のセットでもある。「シリーズ第5弾」であるのと同時に「シリーズのカナダ編」としても知られる1本でした。 そんな2公演を記録強いた本作は、これまた個性的な傑作録音のセット。『DIFFERENT LIVE OF TRUTH I?』解説に倣って個性を3分類(クリア・タイプ/ダイナミック・タイプ/ムード・タイプ)に照らしますと「3月15日モントリオール公演(DISC 1-2)」は「クリア寄りなムード・タイプ」、「3月17日トロント公演(DISC 3-4)」は「典型ダイナミック・タイプ」といったところ。まず「モントリオール公演(DISC 1-2)」ですが、こちらはホール鳴りを吸い込んだ空気感があるムード・タイプなのですが、その空気感がえらく透き通っており、ド真ん中を突き抜けてくる演奏音とヴォーカルが異様に鮮やか。実のところ、序盤で安定感が微妙になるシーンもあるのですが、妙に明るくてキラキラとしており、ベースも曇り要素なしにアタック音がゴリッゴリ。何とも加賀屋期間のあるサウンドなのです。一方の「トロント公演(DISC 3-4)」は分かりやすく「名録音」。芯は力強くディテールもバランスも均整が取れており、鳴りも艶やかで美しい。「モントリオール公演(DISC 1-2)」と続けて聴くとクリアさに欠けるような気もしてしまいますが、むしろその厚みがあるからこそのダイナミズムが素晴らしい。実際、サウンドになれてくるとディテールが隠されているのではなく、トガってなくてナチュラルなことに気づく。もちろん、「トロント公演(DISC 3-4)」から聴き始めたら一切文句なしの名録音です。そんなサウンドで描かれるショウは、これまた1日1日が聴きどころな“A DIFFERENT KIND OF TRUTH TOUR”の旨みたっぷり。同時リリースの他2作と比べられるよう、同じ体裁で整理しておきましょう。固定曲(18曲+α)・炎の導火線:Runnin' With The Devil/You Really Got Me/Ice Cream Man/Ain't Talkin' 'Bout Love
・伝説の爆撃機:Somebody Get Me A Doctor/Dance The Night Away/Women In Love/Beautiful Girls・暗黒の掟:Everybody Wants Some!!・戒厳令:Unchained・ダイヴァーダウン:(Oh) Pretty Woman・1984:I'll Wait/Hot For Teacher/Panama/Jump
・ア・ディファレント・カインド・オブ・トゥルース:She's The Woman/Tattoo/China Town 日替わり曲(6曲)・伝説の爆撃機:Outta Love Again(★:3月15日モントリオールのみ)・暗黒の掟:Romeo Delight(3月15日モントリオールのみ)・戒厳令:Hear About It Later
・ダイヴァーダウン:The Full Bug(★:3月17日トロントのみ)・1984:Girl Gone Bad(★:3月17日トロントのみ)・ア・ディファレント・カインド・オブ・トゥルース:The Trouble With Never(★)※:「★」印は公式ライヴアルバム『TOKYO DOME LIVE IN CONCERT』で聴けない曲。……と、このようになっています。「固定曲」に「+α」が付いているのは、ギターソロのこと。単に「Eruption」と言い切ってしまうには多彩なソロですので、曲数カウントから外しています。この頃になると日替わり曲の組み合わせで変化を付けながらもポールポジションは「Unchained」で固定。いわゆる“A DIFFERENT KIND OF TRUTH TOUR”の典型イメージが固まってきました。そして、固まってきたということは演奏の練度が高まってきたことにも通じる。日によって好不調の波が大きいデイヴも軽快にかっ飛ばしています。さらに本作で美味しいのはカナダの現場スペクタクル。いや、別にカナダだから……というのではないのですが、本作は目を閉じて浮かぶ光景が異次元感覚なのです。特に「モントリオール公演(DISC 1-2)」。不思議なほど間近声のない録音なのですが、遠く遠くのスタンド席の大歓声が盛大にうなっている。その距離感と囲まれ感は、まるで東京ドームのマウンドに立って満場の大歓声を一身浴びているような立体感。もちろん、現場の主役はVAN HALENのはずなのですが、自分がスターになったような気持ちよさが凄いのです。しかも、その大歓声が名曲群とシンクロして自在に蠢く。なんとも不思議の国に迷い込んだかのような体験感が超個性的でもあるのです。日替わり曲とサウンド、そしてバンドの調子によって千変万化した“A DIFFERENT KIND OF TRUTH TOUR”。そのカナダ編を2公演丸ごと楽しめてしまう個性派ライヴセットです。連日のショウで突進感まで醸すようになってきたビッグVの熱演。
Bell Centre, Montreal, QC. Canada 15th March 2012 PERFECT SOUND Air Canada Centre, Toronto, ON. Canada 17th March 2012 TRULY PERFECT SOUND
Live at Bell Centre, Montreal, QC. Canada 15th March 2012
Disc 1(56:15) 1. Intro. 2. Unchained 3. Runnin' With The Devil 4. She's The Woman 5. Romeo Delight 6. Tattoo 7. Everybody Wants Some!! 8. Somebody Get Me A Doctor 9. China Town 10. Hear About It Later 11. (Oh) Pretty Woman 12. Drum Solo 13. You Really Got Me
14. The Trouble With Never
Disc 2(56:22) 1. Dance The Night Away 2. I'll Wait 3. Hot For Teacher 4. Women In Love 5. Outta Love Again 6. Beautiful Girls 7. Ice Cream Man 8. Panama 9. Guitar Solo 10. Ain't Talkin' 'Bout Love 11. Jump
Live at Air Canada Centre, Toronto, ON. Canada 17th March 2012
Disc 3(55:23) 1. Intro. 2. Unchained 3. Runnin' With The Devil 4. She's The Woman 5. The Full Bug 6. Tattoo 7. Everybody Wants Some!! 8. Somebody Get Me A Doctor 9. China Town 10. Hear About It Later 11. (Oh) Pretty Woman 12. Drum Solo 13. You Really Got Me
14. The Trouble With Never
Disc 4(59:19) 1. Dance The Night Away 2. I'll Wait 3. Hot For Teacher 4. Women In Love 5. Girl Gone Bad 6. Beautiful Girls 7. Ice Cream Man 8. Panama 9. Guitar Solo 10. Ain't Talkin' 'Bout Love 11. Jump