14年ぶりにしてスタジオ遺作となってしまった『A DIFFERENT KIND OF TRUTH』を発表し、満を持してワールド・ツアーに乗り出した2012年のVAN HALEN。その当時、衝撃のツアーをリアルタイム・レポートしていた傑作録音シリーズが特別復刻決定です。今回はツアー序盤ながら、徐々にエンジンが暖まって全力運転に入ってきた美味しい3作が同時リリースです!『DIFFERENT LIVE OF TRUTH』シリーズは、“A DIFFERENT KIND OF TRUTH TOUR”の極初期に登場した傑作音源をセットしてお伝えしてきた最新レポートだったもの。「いち早く最新アルバムのツアーが聴きたい!」という要望に応えたシリーズで「1公演でも多く、可能な限り早く」をテーマにしていました。同時に次々に吹き出す録音から最上のモノをチョイスしており、そんじょそこらのCDタイトルとはケタ違いのサウンド・クオリティも誇っていました。本作は、そんな現場レポートの傑作シリーズ第4弾です。そんな本作に収められているのは3公演「2012年3月9日:バッファロー公演」「同年3月11日:ボストン公演」「同年3月13日:マンチェスター公演」。それぞれのフル録音2枚組をセットした豪華6枚組です。ショウの詳細なポジションは同時リリースの『DIFFERENT LIVE OF TRUTH ?』『DIFFERENT LIVE OF TRUTH ?I』に譲るとして、ここではシリーズ全体の舞台となった「北米」レッグのポジションを確かめてみましょう。2012年・1月5日-2月8日:ウォームアップ(3公演)《2月7日『A DIFFERENT KIND OF TRUTH』発売》・2月18日-4月1日:北米#1(19公演)←★ココ★
・4月10日-6月26日:北米#2(31公演)2013年・4月20日:シドニー公演・6月18日-26日:日本(4公演)・7月20日+24日:北米#3(2公演) これが“A DIFFERENT KIND OF TRUTH TOUR”の全景。『TOKYO DOME LIVE IN CONCERT』を生んだ来日公演も思い出深いところですが、このシリーズはあくまでもツアー極初期。アルバム発売直後の「北米#1」のレポートでした。その中で本作の3公演は、9-11公演目にあたるコンサートでした。そんなショウで記録された本作は、収録された3公演が三者三様の味わいを醸す傑作セット。今回は3タイトルで8公演のお話をしますので、やや乱暴ながら通しの基準を作っておきましょう。ひと口に「傑作オーディエンス録音」と言ってもタイプはバラバラなわけですが、ざっくりと3つに大別出来る。1つは空気感ゼロな超ビビッド・超鮮明サウンドを旨とする「クリア・タイプ」。2つめは芯は力強いものの、そこに空気感が厚みまで醸す「ダイナミック・タイプ」。3つめはサウンドボード的な演奏音の凄味よりもオーディエンス録音特有の鳴りや空気感が醸す臨場感・幻惑感を楽しむ「ムード・タイプ」です。こうした分類で表現しますと、本作の3公演は見事なまでに3分類の典型になっているのです。最初の「3月9日バッファロー公演(DISC 1-2)」はダイナミック・タイプの典型で、美しさと力強さを両立。コーラスの歌詞やギターワークのニュアンスまで克明でありながら、同時にアンサンブルもパワフルで均整が取れている。いちいち「ツアー頂点か否か」を気にしなければ、何の不満も問題もなく、逆に言えば頂点競争にもエントリーしうる見事なサウンドです。そんなDISC 1-2を上回るクリアさなのが「3月11日ボストン公演(DISC 3-4)」。こちらもクリア・タイプの典型で厚みよりも芯の鋭さとタイムラグのない直球感に優れている。いわゆるレーザー光線のように鮮やかビビッドなサウンドなのです。ただし、このボストン公演は、あまりのダイレクト感にピークが若干の歪みもある。「鳴りの美」とまでは言えないものの、サウンドボード的なカッコ良さと聴きやすさはバツグン……そんなタイプの名録音です。そして、最後の「3月13日マンチェスター公演(DISC 5-6)」。これは「ムード・タイプ」の典型。クリアさや厚みに優れているわけではなく、ホール鳴りの包容力で現場を全身で感じるタイプ。実のところ、初心者向けとは言い難いタイプではあるものの、ノイズやビビリのない艶は絶品。目を閉じ、会場の風景を思い浮かべながら聴くと最高な体験型アルバムです。さて、サウンドと並んでポイントになるのがセット。この頃になると再結成してからだいぶ時間も経ち、新作も発表。日替わりでセットを替える余裕も生まれてきました。“A DIFFERENT KIND OF TRUTH TOUR”と言えば、日本公演の公式ライヴアルバム『TOKYO DOME LIVE IN CONCERT』が基準となりますので、ここでは比較しながら3公演まとめて整理してみましょう。固定曲(18曲+α)・炎の導火線:Runnin' With The Devil/You Really Got Me/Ice Cream Man/
Ain't Talkin' 'Bout Love・伝説の爆撃機:Somebody Get Me A Doctor/Dance The Night Away/Women In Love/Beautiful Girls・暗黒の掟:Everybody Wants Some!!・戒厳令:Unchained・ダイヴァーダウン:(Oh) Pretty Woman・1984:I'll Wait/Hot For Teacher/Panama/Jump
・ア・ディファレント・カインド・オブ・トゥルース:She's The Woman/Tattoo/China Town 日替わり曲(6曲)・暗黒の掟:Romeo Delight(3月9日バッファロー/3月11日ボストン)・戒厳令:Hear About It Later・ダイヴァーダウン:The Full Bug(★:3月13日マンチェスターのみ)/
Hang 'Em High(★:3月11日ボストンのみ)・1984:Girl Gone Bad(★:3月11日ボストン/3月13日マンチェスター)・ア・ディファレント・カインド・オブ・トゥルース:The Trouble With Never(★)※:「★」印は公式ライヴアルバム『TOKYO DOME LIVE IN CONCERT』で聴けない曲。
……と、このようになっています。固定の18曲を軸としながら6曲を入れ替えてバラエティを作っています。「Hear About It Later」「The Trouble With Never」の2曲は本作の3公演では共通なものの、全公演固定ではない日替わり曲でした。中でも激しくレアなのが「Hang 'Em High」。1982年から30年ぶりに復活しつつ、再結成時代に演奏されたのも2回だけ(本作のボストン公演と3月28日ワシントンD.C.公演)。そんな超・激レア曲を素晴らしいサウンドで楽しめるのです。また、レア曲以外にもインパクトがあるのは「3月9日バッファロー公演(DISC 1-2)」のオープニング。このツアーは「Unchained」がポールポジションというイメージがありますが、ここでは「You Really Got Me」でスタート。2007年/2008年の残り香となるわけですが、この勢いのあるオープニングと新曲入りの新鮮さが同居しているショウでもある。サウンド面でも、内容面でも、本作で一番聴き応えのあるショウなのです。デイヴィッド・リー・ロスとの再結成も9年に及び、時期によってそれぞれに異なる味わいがありました。その中でも特に個性的だったのは、2012年だったかも知れません。デイヴと28年ぶりの新作を全米2位に送り込んだ順風満帆なムード、毎日セットを替える余裕。そんな1日1日がフレッシュだったツアーを現場体験できるのです。当時は認識していませんでしたが、1日1日が面白いからこそリアルタイムでの併走リリースも可能だった。そんな充実の6枚組。
First Niagara Center, Buffalo, NY. USA 9th March 2012 PERFECT SOUND TD Garden, Boston, MA. USA 11th March 2012 TRULY PERFECT SOUND Verizon Wireless Arena, Manchester, NH. USA 13th March 2012 TRULY AMAZING/PERFECT SOUND
Live at First Niagara Center, Buffalo, NY. USA 9th March 2012
Disc 1(56:40) 1. Intro. 2. You Really Got Me 3. Runnin' With The Devil 4. She's The Woman 5. Romeo Delight 6. Tattoo 7. Everybody Wants Some!! 8. Somebody Get Me A Doctor 9. China Town 10. Hear About It Later 11. (Oh) Pretty Woman 12. Drum Solo 13. Unchained
14. The Trouble With Never
Disc 2(60:17) 1. Dance The Night Away 2. I'll Wait 3. Hot For Teacher 4. Women In Love 5. Girl Gone Bad 6. Beautiful Girls 7. Ice Cream Man 8. Panama 9. Guitar Solo 10. Ain't Talkin' 'Bout Love 11. Jump
Live at TD Garden, Boston, MA. USA 11th March 2012
Disc 3(57:36) 1. Intro. 2. Unchained 3. Runnin' With The Devil 4. She's The Woman 5. Romeo Delight 6. Tattoo 7. Everybody Wants Some!! 8. Somebody Get Me A Doctor 9. China Town 10. Hear About It Later 11. (Oh) Pretty Woman 12. Drum Solo 13. You Really Got Me
14. The Trouble With Never
Disc 4(57:24) 1. Dance The Night Away 2. I'll Wait 3. Hot For Teacher 4. Women In Love 5. Hang 'Em High 6. Beautiful Girls 7. Ice Cream Man 8. Panama 9. Guitar Solo 10. Ain't Talkin' 'Bout Love 11. Jump
Live at Verizon Wireless Arena, Manchester, NH. USA 13th March 2012
Disc 5(55:15) 1. Intro. 2. Unchained 3. Runnin' With The Devil 4. She's The Woman 5. The Full Bug 6. Tattoo 7. Everybody Wants Some!! 8. Somebody Get Me A Doctor 9. China Town 10. Hear About It Later 11. (Oh) Pretty Woman 12. Drum Solo 13. You Really Got Me
14. The Trouble With Never
Disc 6(58:22) 1. Dance The Night Away 2. I'll Wait 3. Hot For Teacher 4. Women In Love 5. Girl Gone Bad 6. Beautiful Girls 7. Ice Cream Man 8. Panama 9. Guitar Solo 10. Ain't Talkin' 'Bout Love 11. Jump
David Lee Roth - Lead Vocal Eddie Van Halen - Guitar, Vocal Alex Van Halen - Drums Wolfgang Van Halen - Bass, Vocal