
18年ぶりという奇跡の再来日を果たした2008年の帝王アリス・クーパー。その貴重なライヴ・イン・ジャパンが登場です。そんな本作に刻まれているのは「2008年3月25日:新木場STUDIO COAST」公演。その極上オーディエンス録音です。今年デビュー50周年を迎えたアリスですが、その長いキャリアで実現した来日公演はわずか11公演のみ。良い機会ですので、その全貌を整理してみましょう。1990年(初来日)・8月18日:大宮ソニックシティ・8月20日-23日:NHKホール(3公演)・8月27日+28日:大阪厚生年金会館(2公演)・8月30日:瀬戸市文化センター 2008年(18年後)
・3月25日:新木場STUDIO COAST 【本作】・3月27日:大阪IMPホール 2017年(9年後)・10月14日:LOUDPARK 17 2018年(HOLLYWOOD VAMPIRES)・9月15日:Zeppダイバーシティ東京これで全部。一応4度という事になりますが、ツアーと呼べるのは初来日の1990年(遅い!)だけ。その後はフェス参加や1-2公演のみのショウケース・ギグばかりでした。特に昨年のHOLLYWOOD VAMPIRESはジョニー・デップのオマケ的な扱いで、チケットも一般売りされないイベントという惨状なのです。そんな中で、本作の2008年は“フルのALICE COOPER SHOW”が観られた最後の来日でもありました。そんなショウを記録した本作は、まさに極上。沸き立つ熱気もリアルなオーディエンス録音ではありますが、その鳴りは極めて端正。御大アリスの歌声はもちろん、各楽器も真っ直ぐに届き、ディテールまで実に美しい。冒頭はちょっと距離も感じなくはないのですが、それもショウが進むほどに(端正なまま)ぐんぐんオンになっていく。5曲目の「Woman Of Mass Distraction」に差し掛かる頃には、それこそFM放送のような極上サウンドになるのです。そんなサウンドに加え、本作は現場感が美味しすぎる。実は、この日は現場のムードはあまりにも特別で感動的なのです。当時は最新作『DIRTY DIAMONDS』は発売から3年も経っており、日本盤もなし。日本人気もどん底であり、長年ご無沙汰だったアリスが来日するとは誰も考えていなかった。それだけに突如降って沸いた来日の方には、日本中のコアなファンが驚喜。本作の新木場公演はその初日であり、18年ぶりという奇跡の再来訪に狂った夜。本作は、その熱いムードがムンムンなのです。もちろん、間近な絶叫まみれでは困りますし、演奏や歌声を凌駕してしまったら台無し。しかし、本作にその心配は無用。間近な奇声・絶叫の類はなく、会場のアチコチから上がる歓声は温泉地に立ち上る湯気のよう。それを制圧しきるアリス・クーパー・ショウが逞しく楽しめるバランスなのです。そんな絶妙な空気感でありつつ、熱狂の種類は限りなく熱い。曲間やイントロに反応するだけでなく、御大の一挙手一投足に贈られる声援が歓喜の色に塗りつぶされている。18年も待ちに待った喜び、遂に本物を目の当たりにした衝撃。正直なところ、現場は超満員とはなってはいなかったのですが、現場にいる人間は誰ひとりシラけておらず、嬉しくてたまらない!というのが声色に現れている。「Be My Lover」で「Told her that I came from TOKYO CITY」と歌われたときの喜びようと言ったら……。極上でありながら熱い……いっそ絶叫まみれだったら説明しやすかったのですが、幸運にもそうではなかった。この感覚はもう、聴いていただくしかないでしょう。そんなムードで描かれるショウは、実に素晴らしい。『DIRTY DIAMONDS』時代というとオフィシャル映像『LIVE AT MONTREUX』も残されていますが、本作は似て非なるもの。「70年代WARNER時代+復活EPIC時代」を軸に新曲「Woman Of Mass Distraction」「Dirty Diamonds」を織り交ぜるスタイルは同じものの、18年ぶりの日本を意識してか、70年代のレパートリーが増量。「Muscle Of Love」「Desperado」「Halo Of Flies」「Cold Ethyl」「Dead Babies」「Elected」といった必殺曲がたっぷり演奏されるのです。そして、演奏ぶりも圧倒的。“新木場STUDIO COAST”という現場は、帝王にはあまりにも不釣り合いなのですが、それだけに狭い密室空間の濃縮感が凄い。もちろん、長いキャリアであらゆる紆余曲折を経験してきた御大が狭いからといって手を抜くはずもなく、バックにも許さない。ビシッとしたアンサンブルと演技ばりばりのヴォーカリゼーションは万単位を前にしたスタジアム・ショウとなんら変わらない(実は、次の大阪公演はIPMホールに固定席を入れるほどの不入りだったのですが、それでも大熱演だったのが当時話題となりました)。口先の美辞麗句ではなく、全力のショウで目の前のファンを大切にするアリス。本作は、その証拠品でもあるのです。2年前の“LOUDPARK 17”でも変わらぬホラー・ショウを聴かせ、新世代も圧倒した帝王アリス。しかし、そのフル・ショウは2008年の来日が最後のままです。その悔しさが一層募りつつ、同時に貴重な現場を体験できる喜びも全身で感じられる端正な極上ライヴ・イン・ジャパン。溢れる歓喜のムードは初来日を超え、浸りきる充実感は“LOUDPARK 17”を凌駕する。
Live at Studio Coast, Tokyo, Japan 25th March 2008 TRULY PERFECT SOUND
Disc 1(44:43) 1. SE / It's Hot Tonight 2. No More Mr Nice Guy 3. Under My Wheels 4. I'm Eighteen 5. Is It My Body 6. Woman Of Mass Distraction 7. Lost In America 8. Feed My Frankenstein 9. Be My Lover 10. Dirty Diamonds 11. Muscle Of Love 12. Keri Kelli Accoustic Guitar Solo
13. Desperado
Disc 2(57:57) 1. Halo Of Flies (incl. Jam & Drums Solo) 2. Welcome To My Nightmare 3. Cold Ethyl 4. Only Women Bleed 5. Steven 6. Dead Babies 7. Ballad Of Dwight Fry 8. Devils Food / Killer 9. I Love The Dead 10. School's Out 11. Billion Dollar Babies 12. Poison 13. Elected
Alice Cooper- Vocal Jason Hook - Guitar Keri Kelli- Guitar Chuck Garric- Bass Eric Singer- Drums