
帝王アリス・クーパーのキャリアでも、最もレアな秘境“SPECIAL FORCES TOUR 1981-1982”。公式にライヴ盤がないだけでなく、ヒストリービデオ等でもほとんど触れられない暗黒時代。その真実を教えてくれる極上ライヴアルバムが登場です。これは凄い!
【アリスどん底の激レア・ツアー】このツアーは、まさに秘境。1986年の『CONSTRICTOR』はアリス復活の狼煙だったわけですが、「復活」と言うことは一度どん底に落ちていた。その時代に行われた唯一のツアーこそが“SPECIAL FORCES TOUR”。この後、アリスは丸4年以上ステージから去ってしまうほどの黒歴史ツアーだったのです。その辺の事情をお話しする意味でも、まずは当時の活動概要を確認してみましょう。1981年・6月20日-8月30日:北米#1(32公演)←★ココ★《9月『SPECIAL FORCES』発売》・9月23日-11月28日:北米#2(19公演)1982年・1月26日-2月27日:欧州(21公演)
《8月『ZIPPER CATCHES SKIN』発売》1983年《9月『DaDa』発売》これが1981年-1983年のアリス。この間、3枚のアルバムがリリースされたわけですが、ツアーは1本だけ。『ZIPPER CATCHES SKIN』『DaDa』ではライヴ活動は行われませんでした。アリスが一度シーンを去る前の“ラスト・ツアー”だったのです。
【実は美味しいフレッシュなショウ】まさに「暗黒時代」だったわけですが、だからこそ実は超オイシイ。アリスのショウというと常に70年代の大ヒット曲の嵐が基本で、そこにその時々の新曲が混じるスタイル。この時代も同じではあるのですが、その新曲が後のライヴではなかなか聴けないナンバーばかりなのです。実際、本作でも『SPECIAL FORCES』の「Who Do You Think We Are?」からスタートし、隠れ名盤『FLUSH THE FASHION』の「Model Citizen」「Clones (We're All)」「Grim Facts」「Pain」がたっぷり聴ける。特に「Model Citizen」はこのツアーでしか演奏していない正真正銘の激レア曲ですし、「Who Do You Think We Are?」は本編セットの最後にリプライズしてショウ全体をまとめ上げています。しかも、単にレアなだけではない所がミソ。『FLUSH THE FASHION』『SPECIAL FORCES』はお世辞にも代表作とは言えないわけですが、だからと言って駄盤でもない。ハイライトとなる曲は往年の名曲にも負けない文字通りの「隠れた名曲」。ライヴではそうした曲のみをピックアップしており、非常にカッコイイのです。さらに言えば、そうした曲達は普段とはまるで違うアリスを聴かせてくるから楽しい。「まるでTHE CARS」と言われた『FLUSH THE FASHION』ナンバーはシンセなパワーポップですし、シャープに疾駆する「Who Do You Think We Are?」の勢いも爽快。しかも、そうしたサウンドに彩られながらもメロディ・センスは紛れもなくアリス印。もちろん、近年のライヴでも1曲くらい復活する事もありますが、これだけ一挙に激レア曲がブチかまされるのは猛烈に新鮮。正直なところ「アリスのショウはいつも同じだ」と言われても言い返せない事が多いのですが、このツアーはまったく違う。超フレッシュなショウなのです。
【サウンドボードばりの超極上サウンド】すっかり遅くなってしまいましたが、本作はそんな美味しい秘境ツアーの真価を教えてくれる絶品ライヴアルバム。「1981年8月6日シカゴ公演」の超極上オーディエンス録音です。ただし、普段「オーディエンス」の言葉から連想するサウンドではありません。アーカイヴの名門「Krw_co」が発掘した1stジェネ・マスターでして、一言で言えば「まるでサウンドボード」。演奏も歌声も距離感がまるでなく、手応えが極めてオンならディテールも超・詳細。空気感がクリスタル・クリアに透き通り、オーディエンス・ノイズも不思議な程に少ない。80年代当時なら……いえ、デジタル大全盛の現代基準の耳で聴いても「言われなければ、FM放送と思う」レベルの極上録音なのです。そのサウンドで描かれるショウはもう、最高! 前述のように美味しい曲の連発ですが、それだけではない。当時はバンドを“SPECIAL FORCES”と命名していたわけですが、単なるバックバンドじゃない!と宣言するような演奏が凄い。メンバーはIRON BUTTERFLY/CACTUSのマイク・ピネラ、同じくCACTUSのデュアン・ヒッチングス、カール・パーマーの『1:PM』にも参加したエリック・スコット&ジョン・ニッツィンガー、後にALCATRAZZに参加するヤン・ウヴェナ。キャリア的にはやや雑多な感じもしますが、80年代前半らしいシャープな演奏で、素晴らしい一体感。アルバム『SPECIAL FORCES』でも性急なビートが焦燥感を醸していましたが、それがライヴでは似合う似合う。特にアンコールの「School's Out」は熱いジャムが繰り広げられ、何と15分に及ぶ大熱演を聴かせてくれます(トーキング・モジュレーターまで飛び出して超カッコイイ)。さらに素晴らしいのが主役アリス。70年代末からアルコール中毒が深刻化し、中には実際にメロディをマトモに追えないようなボロボロなショウもありました。それだけに「あれ以上の暗黒時代って一体……!?」と思われることもあるのですが、実は丸っきり逆。激しいロックは勢いも声の張りもばっちりですし、大ヒット・バラードも丁寧に情感をたっぷり込める。まるで全盛期のような充実した歌声に観客も多いに盛り上がっており「これのどこが暗黒時代!?」と驚く絶好調ぶりを聴かせてくれます。本人ですら振り返りたがらない、帝王アリスの暗黒時代。ところが、その現場は黒歴史なのが信じられないほど素晴らしく、希に見る隠れ名曲の宝庫だった。それをサウンドボードとしか思えないような超・極上サウンドで教えてくれるライヴアルバムの大傑作です。
Live at Uptown Theatre, Chicago, IL, USA 6th August 1981 TRULY PERFECT SOUND (74:52)
1. Intro. 2. Who Do You Think We Are? 3. Model Citizen 4. Go To Hell 5. Guilty 6. I'm Eighteen 7. Cold Ethyl 8. Only Women Bleed 9. No More Mr. Nice Guy 10. Clones (We're All) 11. Under My Wheels 12. I Never Cry 13. Grim Facts 14. Pain 15. Billion Dollar Babies
16. Generation Landslide 17. Who Do You Think We Are? (Reprise) 18. School's Out Alice Cooper - Vocals John Nitzinger - Guitar Mike Pinera - Guitar Duane Hitchings - Keyboards Erik Scott - Bass Jan Uvena - Drums