2001年のオアシスがフジロックの前に行っていたツアーがブラック・クロウズとのジョイントでした。その名も「兄弟愛」と名打たれたツアーは英米の二大兄弟バンドが共演ということで当時それらの国では話題を呼んだのですが、世間的にはオアシスが停滞と捉えられた時期でしたので、日本のマスコミに取り上げられる頻度は少なく、なおかつリリースされたアイテムが極端に少なかった。またツアー開始時にはアラン・ホワイトが手の不調を訴えて参加できないというハプニングが起きてしまい、急遽代役として白羽の矢が立てられたのがアランの兄、スティーブ・ホワイトでした。彼は長年ポール・ウェラーのバンドのドラマーとして活動して名声を築いており、何よりアランの代役としてはこの上ないプレイヤー。そして何よりドラマーに関しても「兄弟愛」が貫かれたことになります。そんなツアーから今回の初回納品分ボーナス・ディスクに選ばれたのは6月1日のインディアナポリス公演。当時から日本では注目を浴びることがなくアイテムが極端に少なかった「兄弟愛」ツアーの中にあって音質も非常に良好なオーディエンス録音。もしこれが2001年当時であれば余裕でプレスCDにてリリースされたであろうレベル。音像の近さやクリアネスなども申し分なく、初心者からマニアまで楽しんでもらえることかと。しかし、何より驚かされるのがその演奏内容の素晴らしさ。まずリアムの声が絶好調でして、このツアーから唯一のまともなアイテムがリリースされていた二週間前のデンバーのウェブキャストよりもずっといい感じに歌えている。その絶好調さから勢い余って「Fade Away」の歌詞を忘れかけるもノエルが歌って思い出させるという、正に「兄弟愛」を感じさせる場面まで。そしてこのツアーと言えば代役スティーブのドラミングな訳ですが、当然アランとはまるでフィーリングが違う。リズムが軽やかに跳ねる弟に対し、兄はひたすらストレートでヘヴィー。それが「Fade Away」からおかず多めなスティーブのプレイが爆発。中でも「Gas Panic !」のテンポアップする後半パートなどは完全に別のバンドと化すほど壮絶な展開を見せています。しかしノエルの歌う「Step Out」になると原曲の疾走感が失われてしまい、軽やかな曲になるとスティーブのプレイは過剰に映ってしまう。しかし「Cigarettes & Alcohol」終盤の「Whole Lotta Love」が始まると弟よりもヘヴィーな分ボンゾ感が出ているのが面白い。音質が良いだけでなく演奏内容の充実ぶりは素晴らしく、なおかつフジロックにおける弟のプレイとの聞き比べが出来てしまう貴重音源ときた。
Verizon Wireless Music Center, Noblesville, IN, USA 1st June 2001 PERFECT SOUND (69:47)
01. Go Let It Out 02. Columbia 03. Morning Glory 04. Fade Away 05. Acquiesce 06. Gas Panic ! 07. Cigarettes & Alcohol incl. Whole Lotta Love 08. Step Out 09. Slide Away 10. Champagne Supernova 11. Don't Look Back In Anger 12. I Am The Walrus
Liam Gallagher - vocals, tambourine Noel Gallagher - guitar, vocals Gem Archer - guitar Andy Bell - bass Steve White - drums