『SLIPPERY WHEN WET』の天文学的ヒットによって一躍時代の寵児に登り詰めていた1987年のBON JOVI。その輝く来日公演を真空パックしたオリジナル録音が登場です。そんな本作に吹き込まれているのは「1987年9月30日:日本武道館」公演。その絶品オーディエンス録音です。1984年の初来日から1991年まで毎年必ず来日公演を行っていたBON JOVIでしたが、1987年は大きな節目でもありました。その意味をご説明するためにも、まずは当時のスケジュールから振り返ってみましょう。・9月24日-25日:日本武道館(2公演)・9月28日-30日:日本武道館(3公演)←★ココ★・10月1日:横浜文化体育館
・10月3日:愛知県体育館・10月5日+6日:大阪城ホール(2公演)・10月7日:静岡産業館 以上、全10公演。その公演数もさることながら、日本武道館の連続5公演がド迫力の日程でもありました。実のところ、ココがポイント。1年前(1986年)の来日では『SLIPPERY WHEN WET』の発売直前であり、日本武道館は1公演だけで空席も目立つ入り。逆に1年後(1988年)になると東京ドームへ主戦場が移り、以降現在に至るまでドーム級が続いている。つまり、1987年は最後のホール級ツアーであり、同時に日本武道館を連日満員にできる黄金時代の勢いも併せ持った唯一無二の来日だったのです。そんな日本武道館5連続公演のうち、本作は最終日で記録されました。そのサウンドはまさに絶品。実のところ、録音自体はコアなコレクターには知られていましたが、本作はその大元カセットを新発掘。最新機材でデジタル化した銘品なのです。何よりも素晴らしいのは、力強くダイレクトな芯。「アリーナD列」という録音には最適のスウィート・スポットから捉えられた演奏音には距離感がなく、スカスカになりがちな中音域も手応えたっぷり。あまりの力強さにバスドラのピークにリミッターがかかり気味ですが、逆にノイズや割れを起こさない艶やかさが絶大なのです。さらに素晴らしいのは、八角形の空間が沸騰する全盛期の息吹。間違っても誤解しないでいただきたいのですが、本作はうるさい絶叫の類は一切なく、むしろ「アリーナなのに近くに誰もいない?」と思ってしまうほど間近客の声がない。骨太な演奏音やジョンの歌声が全編を支配しています。しかし、そんな遠く遠くからは細やかな黄色い嬌声が右へ左へと縦横無尽にうねっている。その感覚は、砂を詰めた箱を揺らして波音を創り出しているような感じ。「きゃー」と「うぉー」と「ジョーン!」の小さな小さな粒が寄り集まり、凄まじい大波を描いている。そして、そのスペクタクルに煽られて燃え上がる名曲群……そんな対比鮮やかな名録音なのです。そんな黄金のサウンドで描かれるのは、大ヒットを受けての「第二のデビュー」とでも言えるフルショウ。その意味を実感していただくためにも、ここでセットを整理してみましょう。オリジナル(11曲)・夜明けのランナウェイ:Get Ready・7800°ファーレンハイト:Tokyo Road・ワイルド・イン・ザ・ストリーツ:Raise Your Hands/I'd Die For You/
You Give Love A Bad Name/Wild In The Streets/Never Say Goodbye/Livin' On A Prayer/Let It Rock/Wanted Dead Or Alive・その他:Pink Flamingos カバー(6曲)・Twist And Shout(THE TOP NOTES)/Johnny B. Goode(チャック・ベリー)/Drift Away(クラレンス・カーター)/
We're An American Band(GRAND FUNK RAILROAD)/Heartbreak Hotel(エルヴィス・プレスリー)/Travelin' Band(CREEDENCE CLEARWATER REVIVAL)……と、このようになっています。ざっくばらんに言って「SLIPPERY WHEN WET+カバー」の2本軸。すでにアルバム3枚を出していた彼らがレパートリー不足なはずもなく、それでもショウの1/3がカバー曲。新規ファンには1st/2ndアルバムの曲より有名カバーの方が通りが良いと思ったのかもしれませんが、初期曲は「Get Ready」「Tokyo Road」のみ。当時のジョンは「もう飽きた」と断じていたそうですが、「Runaway」も披露されなかったようです。しかし、逆にBON JOVI新章を拓いたフレッシュな勢いは凄まじく、何より名曲の塊である『SLIPPERY WHEN WET』からの大盤振る舞いが悪かろうハズがない。「Social Disease」「Without Love」以外のアルバム全曲を次々と繰り出し、「Let It Rock」など現在では望むべくもない名曲もたっぷり。もちろん、数々のカバーは曲の知名度と演奏の貴重度の融合が美味しく、全盛ならではのオリジナル名曲とレア感が一気呵成の勢いに乗って押し寄せてくるのです。まさに我が世の春。人生最大のブレイクスルーを果たし、まったく違う世界に発奮するBON JOVIの面々と日本の大観衆が居合わせた日本武道館を真空パックした2枚組です。第二のデビューであり、二度とは還ってこない瑞々しい現場。
Live at Budokan, Tokyo, Japan 30th September 1987 TRULY PERFECT SOUND(from Original Masters)
Disc 1 (70:43) 01. Pink Flamingos 02. Raise Your Hands 03. I'd Die For You 04. Tokyo Road 05. You Give Love A Bad Name 06. Wild In The Streets 07. Twist And Shout 08. Never Say Goodbye 09. Livin' On A Prayer 10. Let It Rock 11. Guitar Solo incl. Dazed Anc Confused
12. Drum Solo 13. Get Ready
Disc 2 (31:45) 01. Johnny B. Goode 02. Wanted Dead Or Alive 03. Drift Away 04. We're An American Band 05. Heartbreak Hotel 06. Travelin' Band Jon Bon Jovi - Vocal, Guitar Richie Sambora - Guitar, Vocal David Bryan - Keyboards, Vocal Alec John Such - Bass, Vocal Tico Torres - Drums