YESに再び栄光をもたらした“9012LIVE TOUR”。その最終公演を記録した極上ステレオサウンドボード・アルバムが登場です。そんな本作に収められているのは「1985年2月9日ブエノスアイレス公演」。YES初の南米ツアーの一幕を捉えたFMサウンドボード音源です。本作最大のポイントは南米放送とは思えないサウンド・クオリティにあるわけですが、まずはショウのポジション。YESをシーンの第一線に連れ戻したワールド・ツアーの全景から確かめてみましょう。1984年・2月28日-5月15日:北米#1(61公演)・6月11日-7月26日:欧州(31公演)・8月9日-10月1日:北米#2(41公演)
1985年・1月17日-2月9日:南米(6公演)←★ココ★ これが“9012LIVE TOUR”の全体像。『90125』がリリースされたのは1983年11月でしたが、ツアーの開始は1984年になってから。8ヶ月をかけて北米とヨーロッパを巡り、そこで一旦終了。本作のブエノスアイレス公演は、その後3ヶ月の間を開けて行われた「南米」レッグの最終日でした。そんなショウはラジオ放送され、そのサウンドボード音源が知られてきました。本作はその最新アップグレード版なのです。海外マニアがリマスターしたものなのですが、その出来映えが出色。旧来マスターにあったヒスや歪みなどが徹底的に補正されており、位相も正常。元から南米らしからぬ素晴らしいサウンドではあったものの、それが公式作品にも比肩しうるレベルにまで磨き込まれているのです。とは言え、本作には南米らしさも感じられる。それは大胆なミックス。1985年と言えば、歴史的な第1回ROCK IN RIOも行われた年。ロック開闢の時代であり、その放送も黎明期。ミックスもオフィシャル作品のように整った欧米の放送とは異なり、かなりラフで豪快だったりするのです。しかし、これが必ずしも悪いわけではない。もちろん、放送によってはボロボロな事もありますが、本作は良い方に転んでおり、大胆なパンが卓直結サウンドボードのようなダイナミズムを生み、“90125 YES”の旨みを極端なまでに引き出しているのです。それは1曲目の冒頭から明らか。「Leave It」のイントロではスキャットの上にメインのヴォーカルメロディが乗るわけですがそれが凄い勢いで左右に振られる。極めて80年代らしいアレンジ/演出が極端なまでに強調される。純音楽作品的に考えればやり過ぎではあるものの、それが猛烈な時代感や当時のセンスの根底にあるヴィジョンを丸出しにしている。これはいかな公式作品でもあり得ない次元の面白さ、サウンドボード・ブートレッグだからこその醍醐味なのです。そして、そんなクオリティで描かれるショウ自体も80年代の薫り満点。放送のためか当日の全曲ではなく、曲順も入れ替えられているようですが、大ヒットアルバム『90125』でも「Our Song」「Owner Of A Lonely Heart」以外(!)の全曲が披露され、そこに『9012LIVE: THE SOLOS』でもお馴染みな各人のソロタイムを挿入。さらにクラシックYESのレパートリーは「Yours Is No Disgrace」「I’ve Seen All Good People」「Starship Trooper」「Roundabout」の4曲が散りばめられる。「Owner Of A Lonely Heart」がカットされるというのは驚きですが、クラシックスでもロック色の濃い『ザ・イエス・アルバム』から多くセレクトされ、いかに当時の彼らがプログレという狭い範疇を超えたコンテンポラリーな存在だったかがビビッドに伝わってくるのです。大ヒットを飛ばし、再び時代の寵児へと踊り出した“90125 YES”。どういうわけか、公式には中途半端な『9012LIVE: THE SOLOS』しか残されませんでしたが、その代わりとなり得るステレオ・サウンドボードであり、海外マニアが最高峰を引き上げてみせたライヴアルバムです。
Live at Velez Sarsfield Stadium, Buenos Aires, Argentina 9th February 1985 STEREO SBD(UPGRADE)
Disc 1(66:27) 1. Cinema 2. Leave It 3. Yours Is No Disgrace 4. Drum Solo 5. Hold On 6. Hearts 7. I've Seen All Good People 8. Si 9. Solly's Beard 10. Changes 11. Jammin'
Disc 2(61:20) 1. It Can Happen 2. Amazing Grace 3. Whitefish 4. City of Love 5. "Great To Be With You" 6. Starship Trooper 7. Roundabout 8. Gimme Some Lovin'
Jon Anderson: Vocals Trevor Rabin: Guitars & vocals Tony Kaye: Keyboards Chris Squire: Bass & vocals Alan White: Drums STEREO SOUNDBOARD RECORDING