77年ZEPの新たなオーディエンス録音がdimeに現れて世界中のマニアを沸かせています、それが6月7日のマディソン・スクエア・ガーデンの新たなオーディエンス録音。ところがこの日はエンプレス・バレイ・レーベルが「MAGICAL SOUND BOOGIE」にてPAアウト・サウンドボード録音を発掘してくれた日でもあり、そもそもオーディエンス録音の価値が半減してしまった感も否めません。また今回の音源ですが、オープニング「The Song Remains The Same」がカットインで録音が開始されており、ライブ後半の「Achilles Last Stand」に至ってはジミーがイントロを弾き始めたところで録音が終わってしまうという始末。それにこの日の従来出回っていたオーディエンス録音は「No Quarter」の途中で始まった「The Nutcracker Suite」のところでテープチェンジに当たってカットが生じてしまっていたのですが今回もまた同様。こうして点からマニア向け音源であることは間違いないでしょう。ただし前述のPAアウト・サウンドボードはご存じの通りライブの臨場感が犠牲になっており、今回の音源を聞くとマディソン・スクエア・ガーデンに二年ぶりの帰還を果たしたZEPを前に熱狂しまくるオーディエンスの興奮ぶりがリアルに伝わってくる。ここはオーディエンス録音の面目躍如かと。何しろ演奏はもちろんのことプラントが放つMCの一挙一動にも大きな反応を示すほどの盛り上がりは聞いていて楽しく、むしろこうした熱狂に包まれて敢行されたのが77年ツアーだったのだと再認識させられるほど。例のサウンドボードでは「Going To California」におけるプラントの熱唱ぶりが際立っていましたが、それもそのはず演奏中に爆竹がパンパン鳴りまくっていたからだったのですね。サウンドボードですと曲間でしか鳴っていないかのようでしたが、実は演奏が長尺になる「No Quarter」辺りから鳴りだしており、それがアコースティックのパートで頂点に達していたのでした。そんな騒がしさも含めMSGのオーディエンスの盛り上がりは凄まじく、なるほどこの日から77年ツアーがネクスト・レベルに到達し、あの栄光のLAフォーラムの日々へとつながるのだと、これまた再認識させられます。して先に挙げたようなカットが玉に瑕ではありますが、音質自体はマニアからすると大いに楽しめるクオリティ。ライブ前半は会場の出音との兼ね合いがつかなかったのでしょう、やや歪のある荒れくれ音質のモノラル・オーディエンスですが、演奏に緩急のある「Since I've Been Loving You」辺りからグッと聞きやすく、また音像の迫力も十分。PAアウト音源はクリアーな反面どうにも演奏の骨が出過ぎるきらいがあり、そのせいでライブのダイナミックさが感じられないことが往々にしてありますが、やはりMSG当日の盛り上がりは相当なものであり、それに後押しされたZEPが素晴らしい演奏を披露していたのだということが解る貴重な新発掘マスター。Madison Square Garden, New York, NY, USA 7th June 1977
Disc 1 (59:26) 1. The Song Remains The Same 2. Sick Again 3. Nobody's Fault But Mine 4. In My Time of Dying 5. Since I've Been Loving You 6. No Quarter
Disc 2 (47:37) 1. MC 2. Ten Years Gone 3. The Battle of Evermore 4. Going To California 5. Black Country Woman 6. Bron-Y-Aur Stomp 7. White Summer 8. Kashmir
Disc 3 (58:58) 1. Over The Top 2. Noise Solo 3. Achilles Last Stand 4. Stairway To Heaven 5. Whole Lotta Love 6. Rock and Roll