長年所属したアトランティックを離れストーンズはCBSレコードへ全面移籍します。そして移籍後第1弾アルバムとして86年3月に発売されたのがこのダーティ・ワークです。移籍後初アルバムということでアナログ盤は大変気合の入った装丁(赤色シュリンク・米盤はシングル・ジャケットでありながらレコードを収容する部分の内側まで印刷)が施されて発売されれました。尚、このアルバムをもってストーンズの新作スタジオアルバムのアナログ盤国産プレスは最後になりました。全米チャートでは4位を記録するなど順調な成功を収めました。しかしご存知の通り制作の裏側ではミックとキースの対立は抜き差しならないものになっていたのです。ミックはソロ活動を優先していたのです。キースとの純粋な共作は3曲にとどまり、ビルがベースを弾いた曲も3曲のみ。チャーリーと関係も険悪になってしまいツアーは行われませんでた。しかし89年の全米ツアーではこのアルバムからシングルカットされたワン・ヒットとハーレム・シャッフルが演奏されています。またクロージング・ナンバーをキースが歌っており、もう1曲キースのヴォーカル曲が収録される予定もあったとか。この後88年にはキースのソロアルバムが発売される訳ですからこれも興味深い逸話ですね。さて移籍初のアルバムということでプロデュースにはこの時代の大人気プロデューサーであったスティーヴ・リリーホワイトを迎えています。またゲストが豪華なことは有名です。ジミー・ペイジやボビー・ウォーマック、トム・ウェイツ、ジミー・クリフといった今までのストーンズではあり得ないぐらいの豪華なメンツです。そしてやはりこのアルバムの制作を主導したのはキースであるのは想像できます。とは言えオール・ザ・ウェイ・ダウンではベースレスで演奏されるカッコよすぎるナンバーが収録されています。(ライブで聴いてみたい!)さてそして何より強調したいのはアナログ盤としての音の良さです。CDとアナログ盤との端境期にあって抜群の音質です。US盤はかのRLカットとして有名ですが今回はやはり母国主義ということでUK盤をご紹介することにしました。それはこのアルバムのUK盤というのが赤色のフィルムでシュリンクされていた為中味がUK盤なのかヨーロッパ盤(オランダプレス)なのか開封するまで分からなかったのです。割合としては半々ぐらいではなかったかと思います。今回再現するにあたって使用したディスクは両面「★マトリックス1」のエキセレント・コンディションの正真正銘のUK盤です。またクロージング・ナンバーであるスリープ・トゥナイトの後には85年12月に亡くなったイアン・スチュワートのピアノ(演奏しているのはキー・トゥ・ハイ・ウェイ)が隠しトラックとして収録されています。
Taken from the original UK LP (Rolling Stones Records, CBS 86321) (40:34)
1. One Hit (To The Body) 2. Fight 3. Harlem Shuffle 4. Hold Back 5. Too Rude 6. Winning Ugly 7. Back To Zero 8. Dirty Work 9. Had It With You 10. Sleep Tonight 11. Key To The Highway (Piano played by Ian Stewart)*Secret Track